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[エッセイお仕事小説]銀座東洋物語。

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ホテルは幸せな仕事。二十代半ばで転職し続けたどり着いたホテルは働く人も泊まる人も幸せなホテルだった。著者が経験した仕事をエッセンスに、小説風にまとめました。昭和の仕事の仕方はこん…
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銀座東洋物語。4(忘れられない面接)

銀座東洋物語。4(忘れられない面接)

 そんなこんながあって、私の就職活動の方向性は当初のものから180℃変換した。というより、帰国して二年近くがたち、そろそろ本気で正社員のポジションにつかなければと焦ったところに、例のごとく、Japan Timesの求人欄に銀座東洋の求人欄が舞い降りたのだった。
 あの頃の求人広告といえば、ラフなのはフォントも変えることなく、新聞記事と同様にすらりと書かれているものがほとんどで、数字の幅寄せもなくア

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銀座東洋物語。3(あのころの海外駐在)

銀座東洋物語。3(あのころの海外駐在)

 そもそも2年半の契約だったのに、10倍以上の競争率で合格しそのころまだ西ドイツだったフランクフルトのその店に仕事を始めたら、どうしたことか虚無感にとらわれてしまった。
 最初の数ヶ月は慣れることに一生懸命になって何も感じなかったが、だんだんと仕事になれました。しかしこれは天性というか、決定的に数字に弱いという特性を発現させたのもこの時期。生来の商売人の才能は発揮して一日の担当部門売上100万円の

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