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#命

空の宇宙・硝子の胎内

空の宇宙・硝子の胎内

赤ん坊が、こちらを見ている。

私の目の前に、ひとつの不可思議な像が見える。
聖母マリア像を模したような、加えて観音か如来を足したような、古今東西の地域で崇められてきた地母神のような、表情の妊婦の像。
頭の髪先から、脚の爪先に至るまで、全身の全てが硝子で造られている。
その妊婦は、阿修羅像のように、手が二本に収まっていなかった。
一対の手は、それこそ天に人々の祈りを伝える聖母のように、嫋やかな指を

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翡翠の碧、血の朱印

翡翠の碧、血の朱印

点翠職人の藍晶はその名を、かつて絹が通った道で繋がれている諸国まで轟かせるほどの、腕前の持ち主だった。
本物の鴗(かわせみ)の羽を、部品となる枠に糊で貼り付けて、一枚一枚花弁を作る。
それから出来た見事な牡丹や蓮の花飾りは、本当に翡翠を削いで作った花弁から、出来たようだった。
硬質な石の色を帯びていながらも、その光沢は生き物の熱が通った滑らかさがあり、筆舌に尽くし難い。
変わった材料の点翠仕上げて

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深海后

深海后、全ての生き物の始まり。この世全ての命の母。鯨のような巨体を擡げ、深海の薄い砂の上に身を明け渡して居る。
暗い海底の活火山のように、ぴくりとも動かずに長い長い眠りについている。
この砂も、元々は深海后の古い皮膚の角質が粉々になった屑だった。
水母は、深海后の吐いた息から生まれ、原始的な海藻類は髪から零れ落ちて生まれた。
魚は、深海后から剥がれ落ちた古い鱗が命を経て、海の哺乳類達は、その魚が深

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