松下幸之助と『経営の技法』#24

 「法と経営学」の観点から、松下幸之助を読み解いてみます。
 テキストは、「運命を生かす」(PHP研究所)。日めくりカレンダーのように、一日一言紹介されています。その一言ずつを、該当する日付ごとに、読み解いていきます。

1.3/10の金言
 いつも先々を見て、研究を重ね、常に先を行く。

2.3/10の概要
 松下幸之助氏は、以下のように話しています。
 幕末の土佐の檜垣清治という人物の、坂本龍馬との関わりの話として、坂本龍馬に会うたびに、①大きな刀は不要、と話し、②刀でなくピストルの時代、と話し、③武器ではなく歴史の勉強、と話し、④万国公法の勉強、と話した、という。坂本龍馬はいつも先々を見ていた。

3.内部統制(下の正三角形)の問題
 まず、社長が率いる会社の内部の問題から考えましょう。
 松下幸之助氏は、経営者のあり方を述べていますが、会社組織が経営者の思うとおりに機能することが当然の前提でしょうから、会社組織のあり方でもあるはずです。
 これは、リスク管理の観点から見た場合、時代に遅れてしまうリスクの問題と見れます。
 すなわち、リスクセンサー機能について言えば、組織が常に問題意識を持ち続けることによって、時代に遅れてしまうリスクに気づく組織になります。さらに、リスクコントロール機能について言えば、時代に遅れないための対策を考え、実行できる組織になります。
 次に、経営の観点から見た場合、単に時代に遅れないだけでなく、時代を先取りできる先進性に関わります。
 すなわち、組織全体が先を目指す意識があるからこそ、チャレンジしようとする経営の方針を、組織全体が受け止め、実行できるのです。

4.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 次に、ガバナンス上の問題を検討しましょう。
 投資家としては、常に時代に対する意識を持つ経営者を選び、または、そうなるように経営者をコントロールすることが、重要な課題になります。

5.おわりに
 もちろん、常に最先端にいることばかりが競争手段ではありません。その場に耐えてとどまることが重要な場合もあります。けれども、そのために自分の置かれた状況に無頓着で良いわけがありません。とどまるにしろ、先端を目指すにしろ、会社の置かれた状況を理解し、競争相手の動きを理解したうえで、会社の差別化を考えなければならないのです。
 どう思いますか?


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