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心理的安全性と身分補償は相反するか

本屋さんで目にしてから気になっていた「心理的安全性のつくりかた」という本をオンラインで購入して読みました。

これからの時代のチームが困難を乗り越えるには心理的安全性が重要だということです。

拾いキーワード

・「心理的安全性」=組織やチーム全体の成果に向けた、率直な意見、素朴な質問、そして違和感の指摘が、いつでも、誰もが気兼ねなく言えること

・心理的安全性が低い職場=「チームのために行動しても、罰を受ける」という不安やリスクのある職場

・心理的安全性が高い=「健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をする」ことに力を注げる職場

・心理的安全性が高いが基準(Standard)が低い職場はヌルい職場。心理的安全性が低く基準も低い職場はサムい職場。心理的安全性が低く基準が高い職場はキツい職場。心理的安全性が高く基準も高い職場は学習する職場◎

私の社会人生活における心理的安全性

私の約11年の社会人人生においてありがたくもこの4つの職場類型を体験することができました。

新人3年間は「ヌルい職場よりの学習する職場」

本社部門に異動した2年間は昭和の名残残る「キツい職場」

配転で2年間は「学習する職場よりのキツい職場」

その後関連会社に2年間出向していた間は「学習する職場よりのヌルい職場」

マネジメント職1年目に「サムい職場」

マネジメント職2年目はメンバーチェンジにより「ヌルい職場よりのサムい職場」

あくまでこの分類は私自身の成熟度合いと主観の面も大きいので他のメンバーからみて果たしてどうなのかという視点はありますが、結果的に裁量権が少なくなると、心理的安全性は下がってしまうという本文にはなるほどと思いました。

出向2年間で気づいていた心理的安全性の大切さ

この2年間はキツい職場からの異動だったので、多少のヌルさは感じながらも、前4年間と同一分野の業務を担当させてもらえたおかげで組織運営について考えさせられる2年間になりました。

まずは率直に意見を言える風土があること。その上で基準はハイスタンダードに変換していける可能性を感じました。私自身はそれまでの経験をどうメンバーに還元していくかということを常に考えていました。

もちろん、その背景には人員予算面の優位さや外圧の少なさ、あるいは労働組合との密接さというファクターもあるということもわかっていましたが、そこには自分達が本流であるという「チームの歴史」がなく、比較的純粋に組織のために議論を交わすことができるように感じました。

一番印象的だったのは、朝礼で各々がスピーチした際に必ず拍手をしましょうという文化でした。

風通しのよい職場をつくるための取り組みであるなら、発表者には肯定的な姿勢をみせることで心理的ハードルを下げる。

その前の職場で朝礼で話したことに対して先輩からいちいちケチをつけられるのでスピーチ恐怖症になっていたことを思えば、非常に対照的なエピソードでした。

マネンジメント職2年で苦労した部下の権利意識

ここでタイトルの心理的安全性と身分補償の相反性について書こうと思います。

前提としてこの2年間の業務はマニュアルで固められた裁量権のあまりない業務であり、その組織や業務内容は本社の意向で決まってしまうものであるため、意見が通るチャンスは限りなく低いものでした。

語弊はありますが、仕事が単純だと人間関係が難しくなるのは世の常だと思っています。

クビにできない、給料も変わらないのであれば、大抵の人間はコスパを重視して最低限の労働提供をしようとし、悪化すれば「俺、はたらかなくなってもいいんだな!」と逆パワハラよろしく権利をふりかざす。

そこを人の良心に頼ることがやはり限界があるような気がするのです。

そんな「はたらかないおじさん」が一体何を恐れているのかは、かすかに残るプライドなんだろうなと察しはつきますが、かといってその上に被された無茶振りにいちいち付き合っていたらこっちの心理的安全性が、だだ下がるばかりで。

全員中高年の部下たちは、もっと認めて欲しかったのかもしれません。けれど、言い訳がましいようだけど、その能力をOJTだけでリメイクするにはマネージャーひとりのマンパワーでは足りなかった。

だからこそ心理的安全性のある職場は職場単位でのリーダーシップが肝要とはいえ、リーダーに社内のリソースを与える経営陣の配慮はあってほしいのです。人事権はあった方がより良いと思いますがせめて裁量権をどうか!

最後に

少し私見が強くなってしまいましたが、いつかもう一度組織で働くことがあったなら、リーダーになっても、ならなくても、心に柔軟性をもったメンバーでありたい。それがこの本を読んだ感想です。














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