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ポリアモリーな愛のはなし

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記事一覧

ポリアモラスな彼と、私と、彼女とのその後 (1)

さて、3人でのディナーの後、数日の間、彼は静かだった。多分いろいろ考えてるんだろう。私は彼が次に進むために必要と思って(おそらくリズにとってもこの会話が必要と思って)行動したけれど、あの場で彼は困惑の表情だった。私は彼が咀嚼する時間を待った。

仕事の後会えるかな、と彼から連絡が来たのは4日後、リズが来たいと話していたパーティーの3日前だった。私たちは、彼の家の近くのオープンエアのカフェバーで待ち

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ラスベガスの旅 2日目

さて仕事日だ。私の出張朝ごはんの定番、オートミールとバナナを食べてミーティングへ。今日は西海岸メンバーのみでこじんまりした会議なので気楽。途中、ロビーにコーヒーを買いに出たら、彼がいた。今日は昼間はプールに行きたいと言ってたから行くとこかな。そのままお互い目も合わさず通り過ぎる。こういうのはあんまり好きではないなー、もっと自由に彼とコミュニケーションしたいと思う。同じホテルのレストランでよくあるア

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ラスベガスの旅 初日

仕事でラスベガスに行くことになった。僕もついていきたい、と彼が言う。No kidding?と相手にしていなかったら、彼は、僕の仕事は数日なら調整できるし、エリーも夜僕がいたら楽しさもダブルで、仕事もはかどるしみんなハッピーじゃないか、I would miss you so much if you go alone, I just wanna spend time with you and enjo

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ある日のデートin ロサンゼルス(2)

私たちのお気に入りの町、パシフィックパリセーズ。マリブとサンタモニカの間にあるこの明るいこじんまりしたカリフォルニアらしい町は、ベルエアやビバリーヒルズなどに比べてあまり知られていないけれど、海に近く、きっぱり明るくて、セレブリティがカジュアルにその辺りにいるような高級住宅地。小さな個人商店が並ぶ町の中心は、軽いリゾートな雰囲気で、私は好き。

ある夏の午後、すぽっと時間が空いたので、ビーチに行く

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3人の奥さんと1人の旦那さん(2)

とはいえ、ポリアモリーにつきものの不公平感からくる不安や嫉妬の感情は時折激しく4人の関係を脅かす。

楽しいことを私とじゃなくて彼女とするなんてずるい、と不機嫌になったり、他の奥様とのデートの時間めがけてメールを大量に送ってその時間を台無しにしてしまったり。

彼女の方が何年も長く彼と過ごしている、私のことは彼女みたいに好きじゃないのかも、と静かに涙を流したり。

(決められた他の奥さんの定例日だ

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3人の奥さんと1人の旦那さん(1)

NetflixにThree Wives One Husband という、アメリカ ユタ州にあるポリアモリーの集落に迫るドキュメンタリーがあって、これが面白い。ポリアモリーに生きる人、またポリアモリーに興味関心のある方におすすめなので、少しだけ内容をシェア。

番組では、ここまでのところ、主に2つの家族が取り上げられていて、一人一人が素直に無条件に愛し愛される幸せを堪能している一方、ポリアモリーにつ

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元カノに会った話(4)

真剣に私の話に耳を傾けた後、リズは、こう言った。
『私たちの関係は私たちで決めるもの。エリーと彼との関係も、2人で決めるものと思う。エリーと彼との間に、何かさらにコミュニケーションしなければならないことがあるのかもと思うけれど、2人の間のことは、私が何かを言うものではないと思うの。
私が言えるのは、私と彼との関係は、2人の間の、特別で、かけがえがないもの。そしてこれからも続いていくもの。でもそれは

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元カノに会った話(3)

2人の絆の強さに諦めのような感情の一方、リズを好きになる気持ちもわかるなとも思いはじめていた。聡明で、愛情深く、さっぱりとして、セクシー(魅力的な、というようなセクシー)。こんな面倒な出会い方じゃなかったら、友達になれたかもしれない。

アルゼンチンから来ている彼女と面と向かって話せる機会も限られてるし、私もありのまま話してしまおう、と思って、彼に、“思ってること、話していい?”と聞いた。彼は、も

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ある日のデート in ロサンゼルス(1)

ある土曜日は、ヨガのクラスから始まった。その日のクラスはアイアンガーという、ロープやベルトやらを使う中級クラス。彼は膝の調子が良くないようで、少し調整しながらポーズをとっている。エクササイズを一緒にする彼はいつもながらセクシーで、ソワソワしてしまう。私はそのいたずらそうな目に弱い。なんで私の人生にこんな人が飛び込んできたんだろう?と考える。

それから、ビーチ沿いをドライブして、Big Duma

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元カノに会った話(1)

彼は、今日はピックアップしていくよ、一緒に行こう、と言った。美しいビーチサイドをドライブして、15分前くらいに、ピアのカフェに着く。平日だからかすぐに席に通された。いつもは外の席を待つけど、その日は中の席にした。

彼は私のワンピースが気に入ったようで、今日はいつも以上に素敵だ、とニッコリした。落ち着かないのでレストルームへ行き、鏡で肩紐の位置を整え、リップを塗り直して、ハーフアップにした髪を心な

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元カノに会うことにした話

私が嫉妬心で爆発するたび、彼は、彼の誠実さで一生懸命に私とコミュニケーションを重ねようとしてくれた。ポリーであることは大前提なので、彼は自分がリズを大好きであることを謝るわけではない。それは私が求めていることでもない。彼は、ポリーである自分として、愛する人が傷ついているそのことに、心から寄り添おうとしてくれていた。

私も自分自身がある部分ポリアモリーなので、彼の言わんとすることはわかる。私は心の

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元カノへの嫉妬(3)

こんなこともあった。

マリブに別荘を持つ彼の友人のインスタに彼がタグづけされていて、朝焼けを見に行った、と美しい動画の投稿があった。そこには彼の嬉しそうな顔と、そしてとなりに、同じように幸せそうな、リズが、いた。

その日は用事があると確かに彼は言っていた。そして、アルゼンチンからリズが訪ねてきていることも知ってたから、あまりこちらからは連絡をせずに、リズとの限られた時間を楽しむとよいよ、と気軽

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元カノへの嫉妬 (2)

さて、元カノの写真がベッドサイドテーブルにずっと飾ってあったことに気づいた話の続き。

これはポリーであること、だけじゃなく、彼の特徴。普通に考えたらわかることが彼にはわからないみたいな時がたまにある。だから仕方ないとも思った。しかし、なんでわかんないかな、そんな当たり前のことが。。。

あまりに苦しいので、何に対してショックを受けて、怒っているのか。よーく考えてみた。

私がショックだったのは"

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元カノへの嫉妬 (1)

しばらくして、関係も落ち着いて来た頃、トイレに立った彼の後ろのベッドサイドにいつも置いてあったヤシの木の絵の写真立てが目に入った。その日はふと、その後ろに写真があることに気づいて、お母さんかな?とヤシの木をめくって後ろを見ると、なんとそれはリズと彼の付き合っていた頃の2ショットだった。

一瞬あたまが真っ白になり、何にも考えられなくなってしまった。いつから?なんでここに?元カノの写真、ベッドサイド

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