ラスベガスの旅 初日
仕事でラスベガスに行くことになった。僕もついていきたい、と彼が言う。No kidding?と相手にしていなかったら、彼は、僕の仕事は数日なら調整できるし、エリーも夜僕がいたら楽しさもダブルで、仕事もはかどるしみんなハッピーじゃないか、I would miss you so much if you go alone, I just wanna spend time with you and enjoy Vegas together with you, ともう一人で盛り上がっている。私は昼間は私はコンフェレンスやミーティングや、たまには仕事での夜のパーティーもあるから仕事モードだし、夜突然バーに誘われたりとかもあるだろうからいいよこなくて、と言ったけれど、結局、キラキラした目で、全4泊の出張の前3泊に、彼は仕事を調整してついてきた。
アメリカでは仕事で泊まるようなホテルはだいたいセミダブルのツイン、場合によってはダブルベットひとつ。だから家族が一人ついてきても宿泊費もかからないし、出張に家族や彼が同行してくるというのは私の会社でもたまに見る。ポリシーで許していない会社ももちろんあるけれど、うちは結構その辺は自由なほう。
とはいえ、私はポリアモリで、彼は私の結婚相手でもないわけで、オープンマリッジだということを特に仕事の関係者にはあんまり説明したくない。どこでも自由に好きな人に愛情を表現していたいけれど、説明が面倒だし、仕事に関係ないことで酒のつまみにはなりたくないし。ということで、飛行機は隣に席を取りつつも、待合スペースでは別々に行動することにした。ロスからベガス便はよく遅延するけれど、今日も同じく遅延で、乗り込むまでが長かった。隣の席に座って、前後数列は関係者がいないことを確認してから、ほっと一息。スパイ映画の主人公みたいだなと思いつつ、自分らしくいられないのはどうも息が詰まるなとも思う。このめんどくささは、公言していないポリアモリやオープンマリッジの方は共通の悩みなのかも、と思う。彼とブランケットの下で手を繋いで小さな声で話しをしつつ、ベガスに降り立った。
ここからホテルまでは別行動。先に私がチェックインして、彼にRoomナンバーをテキストした。ホテルのジムを調べてきた彼が、部屋に到着。どの部屋に同僚がいるか分からないので、廊下では静かに、という約束にしていたから、彼は声を出さずにエリーと言ってにっこりした。ドアを後ろ手に閉める彼と見つめ合いながら近づき、ゆっくりと目を閉じながら、鼻で鼻に、唇で唇にそっと触れて彼を確かめる。私の背中を包み込む彼の腕が、ぎゅーっと私を抱きしめた。
初日は、ヴェネチアンあたりにある前から食べたかったペルービアン(ペルー料理)のレストランへ。この店の系列店がWeHoにあるんだけれど、LVの店はペルーと日本料理のフュージョンと言うから気になっていた。私の泊まっているのは今回はストリップの南側で、ここはどちらかと言うと北、あまりメインのお店でもないから、うっかり同僚にも会いづらいかなとここにした。
ラテンのルーツも持つ彼は、この日本とペルーの融合というのにいたく感動していた。僕とエリーにPerfect Fitだと言って、珍しくお酒を口にした。料理はもちろんとても美しくて美味しくて、リラックスした素晴らしいディナーになった。
外に出るとすでに夜がふけて、ベガスらしい夜の風景になっていた。こうなると、ストリップ歩きは帽子をまぶかにかぶって洋服をかなりカジュアルに変えれば誰かに会う心配も少ない。(ベガスらしくドレスアップしたいけど、今回は仕方ない!)彼と歩きながら、ベラージオの噴水を見たり、明日のディナーの計画を立てたり、アイスクリームを食べたり、ずんずんホテルを目指す。やっぱり彼が来てくれてよかったな。ホテル周辺で歩くペースを変えて、私が先に部屋に戻り、シャワーを浴びる。彼はブラックジャックで少しドルをすって戻ってきた。
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