元カノに会った話(3)
2人の絆の強さに諦めのような感情の一方、リズを好きになる気持ちもわかるなとも思いはじめていた。聡明で、愛情深く、さっぱりとして、セクシー(魅力的な、というようなセクシー)。こんな面倒な出会い方じゃなかったら、友達になれたかもしれない。
アルゼンチンから来ている彼女と面と向かって話せる機会も限られてるし、私もありのまま話してしまおう、と思って、彼に、“思ってること、話していい?”と聞いた。彼は、もちろん、と言った。私はぐーっと息を吸い込んで、伝わり方に間違いのないよう気をつけながら、2人への気持ちを言葉に紡いだ。
まず、リズの写真をベッドサイドで見つけてすごくショックを受けた事件について話した。そして私は、彼がリズのことを、リズがいま口にした以上の感情で愛していると感じている、と伝えた。リズは、特別に考えていてくれること、嬉しい!ありがとう!と美しい笑顔で彼に言った。彼は呆気にとられているようだった。写真事件のこと、今リズに伝える必要がある?とだけ言った。
それから私は、今日の話を聞いて、2人は長年連れ添った夫婦のように見えること、私はずっと、彼には安定した恋人としての愛情関係が私以外の誰かともあったらいいと思っていたということ、そして私から見たら、2人は(セックスを含めた)恋人関係に戻ったらいいんじゃないかと本気で思った、と伝えた。
彼もリズも驚いていて、時が止まった。すっかり忘れていたけれど、リズは彼がポリアモリーを自認していること、もしかしたら知らないのかもしれない。彼は、リズと、わたしと、両方がどう思っているのか、掴みかねているようだった。リズはただただ、呆気にとられていた。
リズに会うと決めた時から私は今日のことを考えに考え尽くしてきた。そしてシミュレーションの一つは、2人が本当にお互いを必要としている関係だったら、ポリアモリーな彼の幸せのためにも、フィジカルな面も含めて、彼を真剣に愛してほしいと伝える、というものだった。リズは、それに値する人と思った。だから、彼の将来の幸せを思って、私から見た、彼のリズへの想いを精一杯伝えた。
やり切った感が、あった。
#ポリアモリー #モノアモリー #複数恋愛 #恋愛 #オープンリレーション
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?