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『フラジャイル』弱さからの出発 松岡正剛 Ⅰ-2

『フラジャイル』弱さからの出発 松岡正剛 Ⅰ-2

Ⅰ ウイーク・ソートで?

僕が初めて「フラジャイル」という言葉を意識に留めたのは、ステイングの『フラジャイル』だろう。

ステイングは人間の愚かさを嘆き『フラジャイル』として伝えた。

松岡正剛が記す“フラジャイル”は多様な“フラジャイル”だ。

 おおむね「弱さ」は「強さ」の設定によって派生する。
「強さ」の相対として「弱さ」は浮かび上がり、そして深淵さを帯びる。

松岡はここでは単純な二項対

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蓮實重彦「伯爵夫人」

蓮實重彦「伯爵夫人」

蓮實重彦「伯爵夫人」読了。手元にありながら久しく読むことなく済ませていた。

改めて読み始めると久々に読書の楽しみ、ページをめくるのがもどかしく覚えてくるわくわく感を感じながら一気に読了。

この高揚感はいくつかの原因がある。

一つは間違いなくその猥雑さである。卑猥な言葉がポンポンと機関銃のように飛び交い、しかも毅然として使われ実に小気味よい。単に猥雑な言葉にとどまってはいない。言葉を律する峻烈

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