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【経済】日本の貿易事情と、グローバル化について。

貿易について

国境を跨いでモノが自由に出入り出来ないと、市場は国内だけに限定される。モノを作るメーカーからすると、自国のマーケットだけを相手にするより、世界を相手にした方が儲けやすい。消費者からしても外国の安い商品が入ってきて、価格や品質面で競争が起きた方が、いいモノをより安く買えるメリットがある。自由に貿易が出来れば、売る側にも買う側にもチャンスが出来る。それを世界規模で推進しているのが、WTO(世界貿易機関)だ。市場を世界規模でオープンにするということは、第二次世界大戦前のブロック経済の反省があるから。
WTOには現在、約150カ国以上加盟しているが、大所帯すぎて話し合いが遅々として進まない傾向がある。それで、都合のいい国同士が協定を結んで関税を引き下げようというFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)などが広がっている。

・ブロック経済について触れた記事

日本の貿易事情

日本は中国、アメリカ、ドイツに次ぐ世界第4位の「貿易大国」。貿易は、国内外の経済動向や産業の構造変化などによって、取り引きされる品目が変化する。
日本は資源がとぼしく、原油などの燃料資源や工業原料などの大部分を海外から輸入して、それを加工・製品化して輸出する加工貿易を得意として経済成長を遂げてきたが、日本の貿易構造はさまざまな変遷を経て今日にいたってる。
戦後は、原材料・素材加工型製品、軽工業・雑貨品の輸出が中心でしたが、その後、1960年代は鉄鋼、船舶など重化学工業が発展し、重厚長大型産業製品が輸出の主力となりました。70~80年代は、日本産業の競争力が大幅に高まり、電子・電気機器、輸送機器、精密機器など加工組立型製品の輸出が主力となりました。80年代の日本の高度成長期の時代には、貿易不均衡による貿易摩擦が継続的に生ずるようになったことなどから、日本メーカーの海外進出、海外現地生産が積極的に進められました。90年代に入ると、自動車やITなどの高度な技術力や知識力を必要とする高付加価値のハイテク製品をめぐる競争時代となりました。現在では、経済グローバル化時代を迎え、バイオテクノロジーや太陽光発電などの新エネルギーなど新たな産業分野も生まれ、産業・ビジネスの環境はめまぐるしく変化し、さらに中国など新興国の台頭や各国間での自由貿易協定(FTA)の締結など、新たな競争時代を迎えて、日本の産業・貿易構造は大きな転換期に直面している。

・日本の貿易収支について
2011年からは東日本大震災や歴史的な円高、海外経済の下振れなどで輸出が2年ぶりに減少に転じる一方、原油価格の高止まりなどが原因で貿易赤字に影響した。2016年からは原油安による貿易赤字の縮小と旅行収支の黒字転換などが要因で貿易黒字に転換した。

・日本の主な輸出品

・日本の主な輸入品

日本の貿易の課題

産業の空洞化とは、国内産業が海外へ移転することにより、国内の産業が空洞化(中身がなくなってしまうこと)することをいう。産業の海外進出にともない日本国内の製造工場などが減ってしまい、すなわち働く先も少なくなる。そして、モノづくりで支えられてきた技術水準が保てないという問題が生じてしまい、この対策としては、さらなる先端技術の開発や新しい産業を興すことで、輸出できるモノづくりや国内の需要を拡大させていくことが必要とされる。

私たちが食べるモノのうち、国内で生産されているモノでまかなえている割合を食料自給率という。日本の食料自給率は熱量換算で約38%で、日本でまかなえるのは半分にも満たないのが実情。世界の主要国と比べてもその比率がいかに低いかがわかります。このように日本では多くの食料を輸入に頼っているため、つねに安全・安心な食料を安定して確保することが求められる。 
近年、中国やインドなどの新興国では、急激な人口増加によって自国の食料だけではまかないきれなくなってきているため、これらの国々でも食料を輸入で確保しよういう傾向が強くなってきている。そうなると、今後は日本とこれらの国々が限られた食料資源をうばい合うことにもなりかねない。また、外国での飢饉などがおこると輸出される農産物が減少してしまい、日本に必要な食料が十分に入って来なくなる可能性も出てくる。 
そのため、商社では、安全・安心な食料を安定的に確保するために、海外の農業生産者に資金援助や技術提供、物流支援などするとともに、自ら現地で農業生産に取り組むなどしています。国内でも経営、販売、物流などの面で農業生産者の育成や支援を行うほか、近年では、日本の農産物の輸出を支援しながら、直接農産物の生産にも取り組みはじめる商社も出てきた。

いま私たちの生活は貿易取引によって支えられているが、この貿易取引のめぐみを受けられるのは、"世界の国・地域と円滑に自由な貿易取引ができる"ことが前提となっている。
その貿易自由化の促進を図るためのルールを決めている国際機関がWTO。しかし多くの国が参加するWTOでは、経済発展に対応した新たなルール作りが進まず、近年では特定の国・地域間での合意によってルールを決める自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)締結の動きが活発になっています。日本でも、2002年からFTA、EPAの交渉が積極的に進められている。
そして、2010年に米国が、環太平洋地域での経済連携協定の交渉を推進しだしました。これが環太平洋パートナーシップ協定(TPP)です。基本的にはこれまでのEPAと同じように、国境を越えた円滑な経済・貿易活動のために必要なルールを決めるものですが、対象となる分野が多く、これまでよりも高いレベルの自由化が目標とされていました。日本も国内の議論を経て、TPPに参加しましたが、一方で米国は2017年に就任したトランプ大統領がTPPからの離脱を決定したため、結局TPPは米国を除く11カ国の参加で2018年12月30日に発効されました。 さらにその先の大きな枠組みの経済連携協定の構想もあり、TPPはその道筋になるともいわれています。貿易の自由化の流れを促進し、次世代のルール作りに参加することは、貿易立国である日本に広く利益をもたらすものとなることでしょう。

資源・エネルギー(石油、石炭、原子力、LNG(液化天然ガス))のほとんどを海外からの輸入に依存している日本。近年、中国、インドなど新興国の経済成長とともに、それぞれの国々が工業製品の原料となる資源やエネルギーを確保しようとする動きが活発となり、日本がこれまで通りの必要な量を同じ価格で確保することは、非常に難しくなってきました。また、これらの資源・エネルギーの使用の増加は、地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素などの排出量が増えることにつながり、地球環境に悪影響をおよぼすことが問題となっています。地球環境問題の対応のために、資源やエネルギーの確保と同時に、省エネルギーや省資源化を進めること、また新エネルギー(太陽光発電、風力発電など)やリサイクル技術などの新技術の開発が求められていて、商社はこれらの課題解決に積極的に取り組んでいます。

グローバル化のメリットとデメリット

ヒト・モノ・カネ・情報がインターネットなどの普及によって、自由に行き来するようになって、グローバル化が進展した。モノの移動が自由化されることによって、最も価格の安いところから原材料を調達し、最も人件費が安いところで生産された製品を、世界中のどこでも売れるようになる。生産や流通が最適化することによって、消費者は安く良いサービスや商品を手に入れることができる。また、カネの自由度が増すことによって、企業の資金調達の選択肢も広がる。(クラウドファンディングやベンチャーファンドなど)

グローバル化によって起こるのはメリットだけではない。消費者は良いモノをより安く手に入れるために情報をたくさん仕入れることが出来るので、買ってもらうためには価格を安く設定せざるを得ない。その結果、様々なモノやサービスで価格下落の圧力がかかり続けることになる。今の日本がデフレスパイラルから抜け出せないのは、政府の対応だけでなく、中国や韓国、東南アジアなどから安い製品が入ってくるからというのも一因としてある。グローバル化によって、先進国では内外価格差が解消されるまでデフレ圧力がかかり続け、新興国では内外価格差が解消されるまでインフレ圧力がかかり続ける。

機械化された工場内の単純作業は、昔は日本国内で工場労働者が行っていたが、現在では価格の安い海外に雇用が流出している。単純な作業はどんどん海外に雇用が流出するので、仕事のスキルを高めて代替の効かない人間になるか、発展途上国の人たちと同じ安い賃金で働くしかない。日本全体で言えば、新興国に出来ない高度なソフト産業や先端技術のビジネス化へ、産業構造を大きく変えないといけない。

経済がグローバル化すると各国の結びつきが強くなる。各国の経済がお互いに依存し合って、離れるに離れられなくなってしまう。そうなると、何か問題が起きた時に、その影響は1箇所に留まらず、世界中に波及してしまう。第一次世界大戦後のアメリカから始まった世界恐慌や、オイルショックなどが、この現象に当てはまる。

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