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社会人の不完全さ、有害な「忠実さ」
小学校四、五年生頃までだったと思う。私は教師という存在に対して奇妙な勘違いをしていた。例えば、私のクラスで算数の授業が行われていたとする。その隣のクラスでも同じく算数の授業が別の教師によって行われている。そのとき、それぞれの教師はそれぞれの教室で、一言一句違わぬ言葉を、寸分の狂いもないタイミングで発していると思い込んでいた。他の科目、他の教師についても同様の幻想を抱いていた。
どうすればそんな
読書メモ:『はじめての人類学』 奥野克巳 1章 近代人類学が誕生するまで
◎「人類学」という用語をめぐって
人類学(Anthoropology)=人間(anthropos)+学(logy)
国によって異なる名称
イギリス
・自然人類学:人間の身体的特徴を比較分類、系統関係や変化を考察
・先史考古学:遺跡からの出土品(土器や動物の骨、植物の種子など)から先史時代の人間を再構成
・社会人類学:諸民族の社会や文化の研究、イギリスの伝統では、家族、親族、婚姻、集団を重視し研究
読書メモ:『はじめての人類学』 奥野克巳 はじめに
人類学が問い続けて来たもの=人間とは何か
経済人類学、芸術人類学、医療人類学、観光人類学、映像人類学、心理人類学、宗教人類学など多岐にわたる下位分野の共通の問い
人類学の最重要人物たち
ブロニスワフ・マリノフスキ(1884-1942)
クロード・レヴィ=ストロース(1908-2009)
フランツ・ボアズ(1858-1942)
ティム・インゴルド(1948-)
1章
「人類学」の定義づけ
20
日記:ハノイの寛容(2024.4.27)
二泓の黄色い湖が床に広がっている。
ハノイのカフェの二階の席でココナッツコーヒーを飲んでいる。客は先にいたカップルが一組と、学生風の女と私の三人。そこに小型犬を連れたもう一組のカップルが入って来る。犬はリードに繋がれてはおらず、室内の涼しさの中で、各テーブルを巡り始める。
犬は先客のカップルのもとへ行き、女の方の足に飛びつく。女は笑顔で犬に手を舐めさせる。男の方の靴も舐める。男の方も煙たがら
三木成夫を読んだ記憶から
人間の臓器の内で唯一、意思によってコントロールができる(ときにはしなければならない)ものが、肺である。旅立つ前の最後の晩餐、故郷の味をまだ充分に身体に蓄えていないのに、胃は、これ以上の食べ物を拒否する。自分の意思で胃を動かして、消化を早め、さらなる味を迎える隙間を用意することはできない。しかし肺は、意思によってその動きを変えることができる。息を潜めて隠れなければならないとき。森の奥で澄んだ空気を
もっとみる亜熱帯の鳥の鳴き声で目覚める
亜熱帯の鳥の鳴き声が、夢の中に分け入ってくる。そこに沈んだ私の意識を捕まえて、現に釣り上げる。カーテンの隙間から漏れ出た光が、瞼の裏に滲んでくる。光が目に馴染んだ頃、遅れて、すでに活動を始めている人々の、まだ私には分からない言葉と、通りを走るバイクの音が耳に届いてくる。
ベトナムに来てからニ週間。目覚めの手続きは、大体決まっている。日本では、セットした目覚まし時計の騒音に眠りを壊されるか、その
話すこと、書くこと、延いては無価値のままで存在すること
いつの頃からか、話すこと、書くことが苦手である。とはいえ、学生時代の塾講師のアルバイトも含め、7年近く、教師の仕事をしているから、人前で話すことに緊張する、といった類の苦手では、多分ない。
自分の話す内容に、書く内容に、いつしか価値が感じられなくなった。元々、自分の内から価値のある言葉など出てきたことはないことに、気がついてしまった。そういう感覚が近いと思う。友人や会社の人間、子供たちは、なぜ