ののこ

どなたが読んで下さるのか存じませんが、徒然なるままにぽつりぽつりと。

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最近の記事

何かをしたい気持ちと 何もしたくない気持ちのせめぎ合い どちらにしろあした考えようと考えている 今日この頃のわたし

    • ラヴ・レター(ズ)

      どうして彼が東京に行ったのか、理由はもうすっかり忘れてしまったけれど、2年生の夏休みが終わる頃、上京したときに新宿駅でイラン人から買ったという偽造テレカが同封された手紙をもらった。 もちろんそんなもの売買するのは違法だし、それをプレゼントするなんてちょっとバカみたいだけれど、ポケベル全盛期にお金のない学生たちは結構普通に使っていた。 手紙にはその日捕まえたという実物大に描かれたカブトムシの絵も添えられていた。 字は汚かったけれど、カブトムシの絵はうまかった。 甘い言葉のひとつ

      • 正偽の芸能プロダクション

        今田耕司さんと鈴木おさむさんの舞台「正偽の芸能プロダクション」の初日と2日目の2公演を観劇してきた。 感想をひとことで言えば、しんどい。 どの角度からみてもしんどい舞台だった。 先ずオープニングで流れる漢&D.Oのスタンド・バイ・ミー。 少年時代の兼近大樹を連想させる歌詞がスクリーンに映し出され、EXITファンであれば初っ端からしんどい。 主人公は今田耕司演じる芸能プロダクションの社長殿山なのだが、どうしてもりんたろー。の役である葵を軸に観てしまう、ほぼダブル主演の物語り

        • むき出し読後感

          何年も前から少しずつ書きためていたという兼近大樹の小説「むき出し」。 地方ゆえ、発売日翌日でないと入手が難しい。10月28日自宅に届くのを楽しみにしていた。 郵便配達が来るのはいつも午後なので、昼食後自宅の周りを晩秋の暖かい陽射しに照らされた街路樹がその表紙みたいだなぁと、うまくもなんともない写真を撮りながらプラプラと散歩をした。 横断歩道を渡って自宅と反対側の歩道を歩いていると向かい側に赤いバイクを見つけたので急いで帰宅し、ポストから封筒を取り出し中身をむき出した。 プロ

          a year later

          ツイッターでトレンド入りした「金木犀」の文字で何の代わり映えもしない毎日にもそろそろ秋が近づいてきたことを知った。 薄暗い休憩室で夕べの残り物と冷凍食品ばかりの彩りも悪い、ただ腹を満たすためだけの弁当を1人でボソボソと食べながらスマホでネットニュースを眺めていた。 東京都の新規感染者は何人でしたと、天気予報の最高気温かなにかのように今日も知りたくもないウイルスの感染者数が報告されていた。 1年以上続く感染予防のための自粛生活に疲れたと、テレビの昼の短いニュース番組でも街頭イン

          a year later

          本当は約束叶わないの知ってるけど、もしかしたら明日は!って思っていたら毎日生きられる。 希望は捨てずに✨

          本当は約束叶わないの知ってるけど、もしかしたら明日は!って思っていたら毎日生きられる。 希望は捨てずに✨

          激推し!ニューカマー

          最近HANCEさんっていうアーティストにハマってます。 インスタのストーリーを見ていたら流れてきた広告で「マーブルの旅人」という曲を聴いたんですけど、あのテの広告で初めてスワイプアップしましたw すごい疾走感のある曲!!ぶっ飛ばしすぎです。 MOON CHILDのrequiem for the man of nomadやスガシカオのストーリーみたいな疾走感がある曲は好きなのですが、このスピード感はぶっちぎりで最速でした。 オジェでした。 更に歌詞がまたいい! 旅人ですよ!?旅

          激推し!ニューカマー

          スーパームーン

          アパートの敷地内の公園で子供と母親たち数組が「空」しか見えない南東の暗い空を見上げている。 「こんばんわ。今もう、見えないんですね」 「さっきまでちょっと明るかったんですけどね。たぶんあの、、、よく見ると見えるような気がしますよ?」 誰なのか知らないけれど、声をかけたら何もない夜空を指差してそう応えてくれた。 今夜はスーパームーンで皆既月食だ。 まさにすっかり月が隠れているタイミングで部屋を出てきてしまった。 5月とはいえ夜はまだ肌寒いのにユの字みたいに並んだ4棟のアパート

          スーパームーン

          さよならおばあちゃん

          EXITのりんたろー。さんの介護施設で働いていた経験の記事を読み、自分と祖母の関係性の希薄さについて深く考えてしまった。 家に帰るまで待ちきれず、予約した週刊新潮を書店内に併設されたドトールで開いた。 りんたろー。さんの介護施設での経験談はネット記事で何度も読んだことがあった。 しかし新潮の記事の最後、りんたろー。さんご自身のおばあさまとの会話の部分を読んで、不覚にも涙が出てしまった。 他愛もないおばあちゃんと孫の会話。 私はこんな風に祖母に一度も優しくしたことがなかった。

          さよならおばあちゃん

          無題~その3

          帰り道タラの芽を採って帰ったので、たぶん5月になっていたんだと思う。 当時夫と二人でやっていた不動産の仕事のため物件を見に、震災の被害が最も大きかった沿岸地方に行った。 当日の朝突然言われたので慌ててコンビニでおにぎりや飲み物を買って、子供たちも連れて行った。 家族全員で遠出した最後のドライブだった。 高速道路を北上し、沿岸にある久慈市まで行った。 海から離れた町は目に見えた被害は感じられなかったが、海沿いの国道を南下すると左手には青く穏やかな海、右手には信じられないほどの瓦

          無題~その3

          無題~その2

          3月の父の三回忌には東京から妹も帰郷するはずだったが叶わなかった。 せっかく帰ったところで食料品もトイレットペーパーもカツカツだったし、ガスの供給も次はいつになるかわからないということで、入浴も毎日できなかった。 だけど本当の被災地の生活を思えばお腹を空かせることもなく、寒くないというだけで充分な暮らしだった。 地震が発生したときから多分ひと月くらいして夫が帰ってきた。 その頃から地震そのものより日本中が福島の原発の話しでもちきりになっていた。 福島産の農産物のみならず、遠

          無題~その2

          無題~その1

          「大変だったでしょ?」 「怖かったよね?大丈夫だった?」 そう声をかけてもらう度、きっと東京や千葉のほうが酷かったんじゃないかと思い、誰に対してなのかよくわからないけれどなんとなく申し訳ない気持ちになった。 もちろん私の住む街でも被害を受けた建物はたくさんあったし、数日間ライフラインが止まったり、暫く物資がなくて不便ではあっけれど、我が家の被害といえば当時住んでいた家の二階にあった熱帯魚の水槽の水が溢れ、後日数匹の小さな魚が壁と水槽を据えた棚の間から煮干しみたいになって発見さ

          無題~その1

          文章や絵画、音楽って不思議ですね。 会ったこともない、私の存在を知らない人が作り出したそれらがどうして私の心を揺さぶるのでしょう。 しばらくぶりに大好きな人の紡ぎだす言葉に触れ、その内容はとても私的なことなのだけれど、ひと言ひと言がとてもいとおしく感じられ、心が震えました。

          文章や絵画、音楽って不思議ですね。 会ったこともない、私の存在を知らない人が作り出したそれらがどうして私の心を揺さぶるのでしょう。 しばらくぶりに大好きな人の紡ぎだす言葉に触れ、その内容はとても私的なことなのだけれど、ひと言ひと言がとてもいとおしく感じられ、心が震えました。

          満たされて…

          Twitterから訪ねて来てくれたあなた、正直なところ、このタイトルと写真に「欲求不満のエロBBAがまたよからぬ妄想しているな?」と思って釣られましたよね? ふふふ、残念でした。 1月最後の日曜日、ひと月後、83歳になる母が「歌うまおばあちゃんの音楽&お話コンサート~戦後から今、語り継ぐ未来へ」と題して地元商業施設のエントランスホールでコンサートを開きました。 母のために作っていただいたオリジナル曲や冬にまつわる歌10数曲、1時間のなかなかボリューミーなコンサートでした。

          満たされて…

          女のマンションから少し歩いて表通りまで出た。 部屋の中はエアコンで快適だったけれど、外は蒸し暑くベッタリと空気が身体中にまとわりついてきて不快だった。 テレビの収録が終わるのが何時になるか判らないと言った手前、帰るにはまだ早い時間だからどうしようかと迷ったが、交差点の赤信号のせいでスピードを緩めたタクシーに反射的に手を挙げてしまった。 自宅マンションを告げると運転手は 「あの辺は芸能人がたくさん住んでますよね?お客さんも誰か見たことありますか?」と話しかけてきた。 「いや、

          プライド

          「今日さぁ、泊まってもいい?」 タバコに火を着けながら彼は言った。 いつもは終わったらさっさと帰ってしまうくせに。 「どしたの?珍しい」 「最近アイツずっと家にいんのよ。ちょっとウザくて」 結婚したいって言っていたくせに酷い男。 そういうダメなところに惹かれてしまったんだけど、知っていて逢っている私も最低だって思う。 でもまだ結婚しているわけじゃないからと私たちは言い訳をしながらこうして時々二人しか知らない時間をここで過ごしていた。 地方の仕事や深夜までの仕事が多いから

          プライド