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#現代詩

【詩】むぢのまち

【詩】むぢのまち

むぢのまち

/とわさき芽ぐみ

 

 

むぢゆんむぢゆんと唾を吐く

 

コンクリートに満ちる解放

 

鬼さんこちら、手の鳴るほうへ

 

フラッシュをたき影をもぎ取る

 

ピクセルで洗/荒う半導体

 

何も知らないハンドルを切る

 

ねおん、ねおんと鳴く仔猫

 

自由って、萎びたフライドポテトの歪みのこと

 

あるいは、一滴だけ腹にしょうゆを湛えた魚のこと

 

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【詩】恥じてなお

【詩】恥じてなお

眼があって

私をじっと、凝視している

瞳孔に映る私は

ピントのボケた虫の羽みたいに

フラりフラりと

どこにも目的が定まらないまま

フラりフラりと

死んでゆく蝶のように

中身のなさを露呈している。

果たして、この、眼は、

それを見つけようとして

あるいは

凝視される。という目的を与えようとして

私に視線を与えているのか。

もはや意味をなさない靴底で地面をひたりと感じながら

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【詩】Short-Forest

【詩】Short-Forest



Short-Forest

短い森を消去法で選択してボタンのないコントローラー持たされて
パンクしたコーラの泡をぶちまけて生えてくる花を摘んで
電線にシャボン玉ぶつけていく

足跡がないから歩けない
でも、やっぱり湯気はあたたかそうだからコントローラーは手に馴染みきってふやけ始めたぐらいだけど
それぐらいわたしの手として手だから

蹴りたい石が蹴りやすいかどうかなんて知らない

手放しでスキッ

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【詩】ぽすと・とうきょう

【詩】ぽすと・とうきょう



ぽすと・とうきょう
              /とわさき芽ぐみ

ざらりとした声色の
夕立が街々の大きくうねるストローの中を
駆け巡って
脆いエンターキーを
腐ったエンターキーを
ことごとく叩き割ってゆく

ひらがなでできたはやくちことば
とうきょうとっきょきょかきょく
となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ

とうきょうは孵化していたのだ
いつのまに

ざらりとした木漏れ日のなかで
小さくう

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ツインテール無双、非対称

君が老けてくなあ、と思って

ひたすらタイピングの音を聞いている

こむずかしい背中を殴りたくなるけど

カフェオレを飲んでるからやめておく

そういえばわたしは紐靴が履けなかった

ベリベリとテープでくっつけては

走ったつもりでいたなあ

ポニーテールは似合わなくて

ツインテールでこばかになった

こっぱずかしい記憶を殴った

こっぱみじんになった右脳

のうのうと生きては休み

休んでは息

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【詩】山手線の最終回

山手線の最終地点はラップに包まれたジャングルジム

ぴりっ、って上手く切れなかったから

【刃の部分にご注意ください】

包みきれていないところがあるな

性急に請求されます青春を

ちあんがわるいちゃんねるに

ゲームの雑魚キャラのなまえを、ただの通りすがりとして打ち込んでおく

楽しいよね毎日が。

/とわさき芽ぐみ 2020.1.7

【詩】プレミアム・ルーザー

倒れこんで頭頂部を見せ合いながら
絡まった糸電話を踏みつけてゆく数々の足音

リズムは決まっている

改まった顔でブラック・ジョークを言うんじゃないよ

白旗はいつでも掲げたらいい

そしたらマジックインキでスマイルマークを書いてやるよ

ラブ アンド ピース
なんてさ

安堵安堵、君に指紋を

/とわさき芽ぐみ 2020.1.5

すぱっ

すぱっとしたものを

受け継ぐには

すぱっとした精神を

せいしんってなんだ

ゆかいなものではなさそうだ

うつくしいものではあるのだろうか

すぱっとしたものは

歯切れのいいことば

みかづきの光

地層の断面図

すぱっとしたものは

せいしんのくらやみを

嫌うだろうか

そうやって

すぱっ すぱっ すぱっ すぱっ

ちょっと肌寒い朝にはおるような

すぱっ



手に入れたいと思

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きょとん

きょとんとしている

みんな

きょとんとしている

えがおのさきに

むくのくうきょに

みんな

きょとんとしている

うつろなふたえに

むいのじじつに

きょとんとしている

きょとんとしている

からっぽの胃で

きょとんとしている

/とわさき芽ぐみ 2019.8.6

(無題)

人差し指で

絡めとれよ世界

お前には簡単なこったろう

五月蝿い蝿どもは五月のお日和

いかが、いかがいかが?

さよならもgood-byeもadieuも

エディタ

編集返信置き去りにすれば可哀想な入れ歯の嵌めるところのない狭い暗い口

朽ちて朽ちたく、力

腕力で解決しますか世界

エディタはうわ言を打ち込んで

ハローGoogle

オッケーGoogle

スタンバイはいつでも無限に求

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【歌詞】【詩】自意識を薄めろ

作詞・歌 とわさき芽ぐみ
作曲・ハモリ 笠原楓奏(ふーか)

https://twitter.com/Fuka_tanka

自意識を薄めろ

誰もお前のことなど見ちゃいない

ピンク色のTシャツを絞れ

そこに愛は含まれているか?

ただ筒としての役割を終えた

布から滴り落ちる

その妄想で

自意識を薄めろ

自意識を薄めろ

自意識希釈する

濃度はあなたのお好みでどうぞ

Y字バランスで

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ことばなんて

ことばなんて

頼りないよな

無意識と 意識の狭間で

うめいたり わめいたりしながら

それでも伝わることを願ってる

コード信号、受信機の不具合

あるいは

経験値の
向かう方向が
違ったりして

それでも

ことばに置き換えざるを得ない

俺たちの

情けなさを

笑っていろよ お前たちは

/とわさき芽ぐみ 2018.5.27

正真正銘こころからばか

わたしのなかでせかいがとけるころ

あなたはひととてをぬくもらせて

どうぶつえんのかばのはなしなんかしてる

海馬、って、かばのことらしい

あなたはまんぞくげだ

わたしのべっどのわきでは

けたたましくとけいがなりひびき

正真正銘こころからばか
正真正銘こころからばか
正真正銘こころからばか

って おしえてくれるんだ

正真正銘こころからばか

知ってたよそんなこと

こころからばか

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いちばんはじめのふつう

いちばんはじめのふつうを

咥えたまんま

走れ 走れ 犬

犬種はなんだろう

遠くて見えない

走っているから尚更見えない

僕は途方に暮れる

彼女が愛情をくれる

開いた本のページが捲れる

これは恋でもなんでもない

日に焼けた本の ちょっとくすねたことばから

涙がこぼれてしまっただけだ

ありがとう また会いましょうどこまでも

/とわさき芽ぐみ 2018.5.7