見出し画像

「多様性溢れる渋谷の共創施設」で「コミュニティマネジャー」として働くということ 〜日系大手グローバルメーカー、外資系コンサル、外資系スタートアップ3社を経て辿り着いた場所〜

社会に出てからこれまで本当に色んな人と出会い、様々な経験をする中で感じてきたこと。くっきりとした確かな輪郭を帯びてきた自分の考えや価値観などを言語化して、その先の”誰か”に発信してみようかなと思っていた矢先。
所属するロフトワーク株式会社 Layout Unit松井創 さん よりメンバー個々が発信を行うことを提案頂き、満を持してのNoteをスタートする運びとなった。

余談になるが、16の性格診断では何度やってもENFP(広報運動家)であるし、昔からわりかし人前で自分の考えを共有することは嫌ではなく、直近の「コミュニティマネジャー」という仕事の中でも、自身の広報運動家的な要素は結構役に立っているように感じている。

参考:ENFPの性格

上記参考より引用:あなたの職業には興味はない。知りたいのは、あなたが何に憧れ、それを叶えることを夢見ているかだ。あなたの年齢には興味はない。知りたいのは、愛や夢を手に入れるために、人生という冒険のために、馬鹿だと思われても構わないかどうかだ。ORIAH MOUNTAIN DREAMER
参考:Layout Unit
時間、空間、仲間、世間の「4つの間」をテーマに人間の様々な営みを横断した都市環境のデザインに取り組む組織。

また、Layout Unitは「オーシャンズ11のようにそれぞれ1人1人が立ったチーム」を謳い、個々で民間・行政等幅広いクライアントと共に新しい価値創造に努めている。個人的には「会社」でありながらフラットで非常に自由な、それぞれが自分の強みを活かして伸び伸びと仕事のできる組織であると感じている。会社や組織の話はまた別の機会に改めて書いてみようと思う。

前置きだけで長くなってしまいそうなので、この辺りで本題に入ってみることにする。
コロナ渦で多くの人がそれぞれの生き方であったり、それに紐づく大事な価値観を棚卸ししているような気配をFacebookや実際の会話などの中で感じている。そんな中で私は、2019年から2020年にかけてゆっくりと棚卸しをしていたことを、今改めてゆっくりと咀嚼しているような状態である。

このNoteでは、自分の考え方・価値観を中心としながら、日々を豊かに彩ってくれている仕事や働く仲間であったり、渋谷QWSというコミュニティで起きている出来事など幅広く、私のレンズに映るまま発信していこうと思っている。
気の知れた友人等にNoteを始めることを話すと、「想いや考えが沢山ある人なのだから、それをどんどん発信して欲しい」と嬉しくも背中を押してくれる温かいメッセージを頂いた。
繰り返しになるが、自分という1人の人間の考えを発信する中で、それぞれが読んで受け取りたいものだけ。必要なものだけ受け取ってもらえたらと思う。

-

今に至るこれまでの話(日系大手グローバルメーカー、外資系コンサル、外資系スタートアップ 3社での経験)

いわゆる、世間一般がいうところの”王道”などと呼ばれるキャリアをどんどん手放して「本当に自分が幸せを感じながら生きていけそうな方向」へ大きく転換したのは2019年秋の出来事。

ちなみに、これまでのキャリアはざっとこんな感じ。

新卒1社目:日系グローバルメーカー
→欧州、北米、中国を拠点とする海外事業部の人事

2社目:外資系コンサルティング企業
→年間数千人超えの採用を行う企業で主に中途採用業務、並行して
 社内のダイバーシティ・インクルージョン(特にLGBTQメイン)業務を行う

3社目:外資系ユニコーン企業
→新規ポジションに3人目として加わり、海外のチームと連携しながら
 日本におけるポジション立ち上げ

組織の規模も、カルチャーもそれぞれ異なる企業を渡り歩いてきた。
そのような中でも、共通の要素として今も大事にしている「根底に多様性を活かす考えがある」「日本のみならずグローバルにビジネスを展開している」というものはどの組織もくっきりと持っていた。まさか新卒の時には、このようなキャリアを歩むことになるなんて1mmも想像していなかった。
当時はいわゆる「有名な企業」で「役職をアップさせて」「”良い”キャリア」を創るという選択肢しか見えておらず、どこかそれが正解というような気さえしていた。今となっては、ある意味社会のシステムの中で刷り込まれたもの=仕方ないこと であったように思う。

大分県の私立一貫の中高を経て早稲田大学商学部へ進学。
経済的に裕福ではなかったため、地元の国立大学にしか進学できないと言われていたものの、幸いなことに給付型の奨学金3種と返済型の無利子の奨学金1種を頂くことができたため、念願叶って行きたかった大学へ進むことができた。田舎で育った私にとって、漠然と早稲田=人種のるつぼ、というイメージ・憧れが強く、そんな場所なら自分も混じり合ってやっていける気がしていた。実際、4年間という時間を過ごしてもイメージのまま色んな人と出会うことができて、自分にとっては今でも大切な場所である。

大学3年時より、谷口真美先生という今でも尊敬する師の元で海外ビジネス×ダイバーシティ(多様性)について夢中になって学んだ。その影響を受けて、人・組織の分野でキャリアを形成しようと考え新卒時は外資系人事組織コンサルのみを志望していた。漠然と「コンサルになれば色んな会社の問題を、社会を変えていける」と思っていた。が、門戸は狭くまずは人事からキャリアを始めようとして1社目の大手日系グローバルメーカーへ。
創業時からダイバーシティの考えを大事に、経営にも活かそうというスタンスを強く持ち続けている企業であったことから、「日本の歴史のある企業で人事を経験すること」を目標に入社。沢山の企業の良さに触れながらも、人事としての知見をスピード感をもって身につけたいと考え2社目の外資系コンサルティング企業へ転職。
幸いにも、人事としても、コンサルタントとしてもどちらとものキャリアの可能性が広がっておりとても自由、かつスピード感のある職場で働かせて頂いたことには心から感謝している。

そんな環境を飛び出して、1社目と2社目で順調に築きつつあった人事のキャリアを手放して、1から異なる分野で挑戦したいと思ったきっかけは、現在の会社に入社したきっかけでもある「デザイン思考」がベースにある考え方、そして実際に社会の仕組みを考え、新しい価値を創る人たちとの出会いが大きかった。

人・組織の領域でキャリアを築く=人事、人事・組織コンサルタント
一択だった新卒の時から、「社会の仕組みを考え、新しい価値を創る人」という、既存の職種を綺麗に当てはめるのは難しくまだ見当たらないけれど、新たな風が吹いた。
これまでずっと持ち続けていた大きな会社の名前、ポジションの中でどこか縛られていたような感覚。いわゆる「どこどこ会社で人事をやっていて〜」という、カクカクしたものに全力で「今までありがとう、さらば!」と手を振り、自分自身の道を歩き始めるような感覚がそこにあった。

創る人、使う人、使われる人がいる。「創る人」になるために

「社会の仕組み」と「新しい価値」、これについて当時勤務していたコンサルティング企業での上司から話をされたことは、これまで・そしてこれからの意思決定の根底にある。
当時の上司は、元々は大手銀行でのサラリーマンを経て3.11をきっかけにNYへ渡米。その後、現地で英会話スクールや児童養護施設へのボランティア、そこで出会った子供達を教育し、可能性に投資をするということを行ってきた人だった。当時応援していた子供たちは、アントレプレナーとして世界中で自分の事業をもち活躍している。中には有名な海外アーティスト御用達のブランドをつくり、成功している人などもいたりと活躍の場は幅広い。

いわゆるアントレプレナーとして、自分で新しいことを取り組んできた彼はなんというかオーラがあり、大きな器を持った人で、よく気にかけて頂いて色んな話をした。
そんな彼と話をした時、世の中には「創る人、使う人、使われる人」の3種類の人がいることを知った。

これまで、どこかなんとなく無意識的に感じていたものに名前が付けられたような感覚だった。
彼が退職する時、これから「創る人」になっていくことを楽しみにしているという、メッセージを頂きしみじみと自分の今後について改めて思いを馳せた。

実際に最先端と言われる企業の人事を経験してみて、そしてコンサルタントという高い報酬をクライアントからもらいながら働く人たちを目にする中で、キャリアというものを超えて生き方について思い巡らすことが増えていた。
言葉を選ばずに言えば、高いお金をもらってなんだかとても凄そうなことをしているように見える(実際「すごい」ことなのかもしれない)けれど、それ以上にその人たちは、「何のためにやっているのか?」「本当に心からそれをやりたいのか?」「幸せなのか?」という問いがふつふつと湧いていた。

この会社で働く●●な自分が好き、という自分の存在以前に所属先の組織ありきな人たちをみた時に強い違和感をもつようになっていた。
●●という会社の看板が、タイトルが外れてもこの人たちは幸せでいられるのか?
そんな中で、これまでずっと想い続けていた人事という仕事は「会社」があることでうまれる仕事であると思ったとき、そして「コンサルタントは本当に企業や社会を変えられるのか?」と考え始めていた頃には、次のドアが開いていた。

クリエイティブカンパニーへの転職とコミュニティマネジャーという仕事

「1つ1つの組織、1人1人の個人だけでできることには限りがあるけれど、それぞれの強みを元に活かして何か一緒に創ろうとすることで可能性は広がる」

システムデザインに関連する本を読んだり、実際に様々な立場の人とコラボレーションしながら仕事をする人たちを目にする中で、また自分自身の根底にありとても大事にしている違いを活かす「ダイバーシティ」の考えを胸に「行政、民間、企業等色んなステークホルダーと共に新しい価値を生み出していきたい」そう思った時に辿り着いたのが、”コラボレーション”を謳う外資系のコワーキングビジネスを行うユニコーン企業だった。NYから赴任した上司のもと、新しいポジションを0から創るというのは想像以上に大変なものだったけれどユニコーン企業ならではのカオスや、利用者である多くのアントレプレナー達の働き方を近くでみることができたことは自身のキャリアを考える上でもとてもいい経験になった。社内公用語が英語だったのも必死で英語を学ぶ貴重な経験になった。

入社前に思い描いていた実際のコラボレーションの中に入っていくことができず、利用者であるお客さん同士のコラボレーションの「場」をファシリティ面で整え、場所を貸すことがメインである仕事に乖離を感じ、一通り経験したと思えた後任が入ってきたタイミングで、早くも元々思い描いていた道への軌道修正を試みて、その後ようやく念願叶って今いる心地の良い場所に辿り着いた。
現在は株式会社ロフトワーク のLayout Unitに所属し、直近は去年11月にオープンしたSHIBUYA QWSで「コミュニティマネジャー」という仕事をしている。
コワーキングスペースではない共創施設で「問い」を起点に学生、主婦、会社員、個人事業主、起業家、研究者、アーティスト等がフラットに集い、0→1の社会価値創造に向けた活動を行うコミュニティである。
「問い」といえば哲学的な、高尚なものに聞こえてしまうかもしれないが、ここでは日常の中で「?」と思う些細な違和感、気付きから生まれる問いを指す。問いから生まれる、所属や肩書きは関係のないコミュニティだ。

私は、コミュニティマネジャーとして活動するプロジェクト(QWSでは3名以上のチームを指す)やその他幅広く「会員活動を支援すること」を仕事としている。会員さんとの面談を行い、第三者としてアイデアや事業に意見を言うこともあれば、活動を加速させるような親和性を感じる会員同士を繋げたり、正解のない中で日々楽しみながらコミュニティづくりに関わっている。

仕事を通じて、たくさんの会員の方とコミュニケーションを行う(=これ自体が大事な仕事)中で、こんなにも問いを起点とした繋がり・コミュニティは豊かなものなのかと毎日のように感じている。
実際に、会員さんからも
・「誰も自分が正義だ」と主張しすぎることなく、それぞれ柔らかいスタンスで話ができる
・個々のプロジェクトや、個人の領域もとても幅広いのでQWSにくるだけでとてもインスピレーションを受ける
など、”これまで会ったことのない唯一のコミュニティである”といった声を聞くことが多く、その声のどれもに共感する。
「問いの感性を磨く」ことを支援する場所で働いていると、自分自身も「問い、問うこと」がご飯を食べるのと同じくらいの日常になった。

QWSについて気になる方は、先日「プロジェクト」や「多様性」をテーマに会員さんへインタビューしたこちらの記事をぜひ読んで頂けたらと思う。記事の終盤に会員さんからみた「国際会議のようなイメージのQWS」について述べられている。

「XX売り上げたい、稼ぐためのビジネス」ではなく、「〜〜という価値を創る事業、事業にせずともそういうことがやりたい」という純粋な、内から湧き出る気持ちに素直で在り続ける会員さんたちは豊かだなと思う。

そして、QWSというのは社会の中では1つの小さなコミュニティにすぎないかもしれないけれど、この豊かな考え方、それぞれの在り方が渋谷を超えて世の中に広がっていったらとても面白いことが起きると感じている。

今、思っていること

これまでそれぞれの企業で経験した様々な出来事、色んな人たちとの数知れぬ出会いによって、譲れない大事な価値観が研ぎ澄まされた。沢山洗練されて今、ここにいると思う。

過去に勤めていた3社で出会った同世代、また自分より上の世代の人等幅広い人から「転職」に関する相談を持ちかけられることは多く、そんな中で誰もが自分らしい生き方を求めていて、誰もが幸せに暮らしたいのだと感じている。
実際に人事の仕事をしていた時、毎月100名近くの候補者と面談をする中でもそれぞれが感じる日々の仕事の中での違和感、希望に触れてきた。
もう、そろそろ「いい会社で〜、●●の仕事〜、イコール幸せ」、という等式は成り立たなくなってきているんじゃないかなと思う。ありのままの自分でいられて、些細でも日々幸せややりがいのようなものを感じられる仕事を健やかな気持ちでできること。
誰かの決めた「いい会社、 いい仕事」の呪縛から脱却して、勇気を持って自分が思う「いい仕事」を定義して、全うすること。自分自身のwell-beingにもっと丁寧に、妥協せずにこだわり続ける先にお金では手に入れることのできない幸せな生活が待っていると思う。

肩の力を抜いて、ゆっくりと深く呼吸をして。「今日も自分は自分だったな」と感じられることが何よりの幸せなんじゃないかな、と思いながら明日も今週もその先も、ずっと自分と繋がり続けて豊かに生きていきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?