いちやなぎ

京都在住 いちやなぎという名で音楽をやっています。1人でギターもって歌ったり時にはバン…

いちやなぎ

京都在住 いちやなぎという名で音楽をやっています。1人でギターもって歌ったり時にはバンドでも。ここでは詩やエッセイ雑文など自由に文章を書きます。 初の小説集「さりとて裸でちくわ笛」発刊

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最近の記事

チキンラーメンみたいな日

目を覚ます。 やってしまったという気持ちがにょきょき芽を出す。お空は日暮れ色。 今日のお昼、チキンラーメンを食べた。 子供の頃、コマーシャルを見てまんまと食べたくなり、母親の持つ買い物カゴにこっそり入れ、例に倣って卵一つ落とし、湯を入れ、期待膨らませながら犬のように待ち、丼をあけて、さあいざ、しかし膨らませた期待は頼りなく、みるみるうちに萎んでいく。 期待したほどでは無かった。 それから、コマーシャルに乗せられ、買わされて、うーん、やっぱり思った程ではない、というのを何度

    • さりとて草履で坊ちゃん日記

      よっつの草履はぺたんぺたん(仮) 時間に余裕をもった筈なのに、気づけば余裕をどこかに落っことしちゃって、結果余裕がないなんて事は想定範囲内の事で、どれだけ余裕もったとしても結局は余裕がなくなるのは僕の人生において、瑣末な事、一々気にしていては身がもたぬということで、ある意味余裕を持って、ぎりちょん、発車一分前に、電車に滑り込む。 先に余裕をもって乗車していたタニザワさんの横の席に座る。彼は本日お供していただく男、先輩。(今回の「さりとて裸でちくわ笛」のどれかの話で、彼をモ

      • おばけなんて怖かない!

        おばけなんて怖くない、と今では思っている。 小さい頃には、今ではとんと姿を消した心霊や宇宙人を扱うあやしい番組を見て、寝るときに後悔するという、ごく人並みの経験をしている。もちろん一度や二度じゃなく。 しかし最近では怖くて夜も眠れないなんてことは、まあない。 僕が唯一大人っぽくなれているところかもしれない。 僕の場合、怖くなってしまう条件は暗闇にあった。昔から、身の毛がよだつ思いをするのは決まって暗いときだった。逆に明るささえあれば、大体耐え忍ぶことができた。 僕の周りで

        • 食い倒れ的小論文

          1 序論 飯を食うのは大事なことで、命を明日へと持ち越すに必要不可欠な行為であるはずなんだけども、昨今、というか、いつ頃からか、もう僕の物心ついた時にはそのきらいがあったように思うのだけれど、この命を継続させている行為に対する敬意のようなものが希薄であるなあ、と漠然と思い起こしてみたが、それも致し方なし。 現代、飽食、娯楽多角多用、時短、効率。 と、決めつけてしまうのもなんだか寂しい。何がと問われると答えるのに困ってしまうけれど、とにかくなんだか漠然としない蟠りがある。恭し

        チキンラーメンみたいな日

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        •      ぐうたらのあなぐら
          120本
        • ぽんぴろ展覧会
          1本
        • ぽんぴろぽんぱん音楽日記
          9本
        • 短編小説
          2本
        • 掌編
          2本
        • album
          3本

        記事

          ぽんぴろぽんぱん音楽日記(2024夏)

          8月1日 noura mint sey mail/Arbina ヌーラメントセイマリはモーニタリアという国のアーティスト モーニタリアはアフリカは西サハラのお隣(もちろんこれを書くにあたって調べました) グリオスタイルのムーア音楽を現代バンドサウンドに踏襲した(らしい)彼女の音楽は、僕としては、マリのバンドsoghoybluesの匂いを感じるなと思ったらお隣の国なのね。 8月2日 ベルアンドセバスチャン/another sunny day 夏のはじめに、古本屋「三密堂

          ぽんぴろぽんぱん音楽日記(2024夏)

          スイカ畑からこんにちは

          パカンと二つに割ったスイカをスプーンでくり抜いて食べ、ボウル型にしていく。 祖母の畑で育ったスイカ、毎年夏になると沢山もらって毎日のように食べていたのだけれど大抵、家族みんなが先に飽きてしまって、僕が大半を食べることになり、食べ過ぎて、手洗いでびっくり、出したモノが真っ赤だわなんて事すらあって、そんな事あってもお構いなしにひと夏中食べ続けるのは、そりゃあ勿論、スイカが大好物であり、僕の中では全果物の中で一等賞、どれだけ食べたって飽きないのだった。 というのは、実家に住んで

          スイカ畑からこんにちは

          ぽんぴろ展覧会

          入り口はあちらで出口はこちらであります。 お客さまが今立っておられるのは、入り口と出口のちょうど真ん中でございます。 あなたがもし、出口からお入りになった時、それは、入り口となりましょう。 あなたがもし、入り口からお入りになった時は、それはやっぱり入り口となるのです。 では、入り口から入って入り口から出た場合、又、出口から入って出口から出た場合、、、。 この辺で、よしときましょう。 楽しんでください。 1 「街へ靴を買いに行くところなんだよ、靴ベラしか持ってない」

          ぽんぴろ展覧会

          都市の潮目に泣きっ面

          すったもんだ日記 8月2日 新横浜まででよいのに東京までのチケットを買ってしまい、まあ差額払戻せばいいかと思っていたら、払い戻せませんと大きな駅員さんにつっけんどんにつっぱねられてしまい、こちらが間違えたんだから文句言う資格もないかと、とぼとぼ改札をくぐり、気分転換に駅のコンビニにはいって、アイスコーヒーsサイズを買ったのに、mサイズのボタンを押してしまう、ここでもミス。 「sサイズを買ったんですがmサイズを押してしまいました」 慌てふためく僕に対して店員の彼女は落ち

          都市の潮目に泣きっ面

          掴み損ねた毎日を

          1 夜のディープスポット 夜目には速いのかどうか判別つかない川の流れ、黒色に塗られた風景に紛れ込んだ蛙の大勢が、ゲコゲコ野太く鳴いている。蛙は水草につかまって流されないようにしているのだろうか。 そんな中、なぜ自死はいけないのかという話をする。 やっぱりいけないことなのかしら。 川は眠らないのだなと遠くを眺めながら、なぜ自ら命を絶ってはいけないのか、その答えは川の流れの中に刻み込まれているんじゃないかしらと思ってみたけれど、雄大な自然の前では愚問、塵芥同然。川辺は湿気て髪の

          掴み損ねた毎日を

          巡りの雨

          「巡りの雨はあなたのため、そして僕のため(仮)」 めぐりのあめだ!めぐりのあめだ! 小さな男の子が叫び、母親は「恵み」のでしょ?なんて笑って、最近は今日のような、急なざんざ降りが多くって、昨日だってそうで、部屋にこもっていて室外機の音がうるさいなと窓を開ければ、雨がばっさばっさ落ちてる音だった。 今日はぐずついた天気が一日中続いて、夕方になってもう我慢ならぬと堰を切ったように雨が一気に降り出した。大人と違って子供ははしゃいで、なんだか嬉しそう。 「巡りの雨」とってもいい言葉

          イカにまみれた憂鬱を

          「イカにまみれた憂鬱なんてものがあるらしいと巷で噂になっているのは嘘が誠か(仮)」 濡れた路面にこびりついた血、一瞬ぎょっとしたが、よく見るとそれはただの赤い落葉で、驚かされた仕返しに、その紅い落ち葉を踏み抜いてから横断歩道を渡る。 濡れた落ち葉はどこか生々しい。ぬらぬらと、葉脈がしっかり見えて、木の枝についてるものには感じ得ない何かが潜んでいる、気がしてならない。今の気分と合間って余計にそれは、心の中に張り付いて葉脈が頭の中を這うようにして、離れてくれない。草いきれに包ま

          イカにまみれた憂鬱を

          月夜の山路に虎はいが栗を食う

          「月夜の晩は、虎や、いが栗に気をつけて(仮)」 店の外に売りに出されている百圓本を買って開いたらね千圓札が挟まっていまして、九百圓の儲けですよ、ははは」 そう笑いながら話すのは近くのお寺の住職さん。僕はこの手の話が好物である。 ある人は同じ店で古本を買い求めて、ヘソクリが入っていて中身はなんと五万、お店の人に伝えてちゃんと返したという話をした後でである。自分を話のオチにつかっている。 生臭坊主なんて言葉があるけれど、僕としてはそうやって砕けたお話をきかせてくれるほうがよっ

          月夜の山路に虎はいが栗を食う

          うずまきストローをくぐりぬける類いのあれこれ

          「うずまきストローは宇宙につながっていると博士は語る(仮)」 ストローでまっすぐになってるんでなく、こう途中で、くるっと豚のしっぽみたいに渦巻いてるの、見たことありますでしょうか? 使い捨てのじゃなくてプラスチックの、幼児用で、僕は小さい頃にミッキーマウスが乗っかってる青色のを持ってて、というか兄のお下がりだったのかもしれなくて、(ストローのお下がりなんてありえるのだろうか?)まあ何方でもよいのだけれど、そんな、くるっと渦巻いたストローが好きだった。やってくるジュースを見つ

          うずまきストローをくぐりぬける類いのあれこれ

          神様はソフトクリーム

          神様はソフトクリームに宿るのか?(仮) 「お待たせしました」 はいはい。 げ。あらま。 お待たせしましたなんて滅相もありません、僕は全然待ってなんかいなくて、先程買った本の解説から読もうとほんの数行読んで、これは先に読まない方がいい類いのものかもしれないと、途中で読むのやめたその時、注文してからすぐ、店員さんが和かな笑顔をもってして運んできてくれたのはホット珈琲。 そんな僕の体には細かい汗が滲み、喉はからから、それにくわえて空調が効いてるのか効いていないのか、湿気ている

          神様はソフトクリーム

          とめどなく立ち止まる日記

          作家というわけじゃない。 けど、だけど。 最近小説集なるものをつくって、それがありがたいことに作品を置いてくれるという(本当にありがたいことに)場所がほんの幾つかあって、だから僕は今日、街の本屋さんをまわる積もりだったのだけれど、目の前には屋台、屋台、屋台の連続、雑踏、たこ焼き、焼きそば、金魚掬いにメダカ掬いにドジョウ掬いまで、、 あれま。 思いもよらぬ、お祭りに足を止めてしまうのは人としては間違ってはいないと思う。 小さな子供が御籤をひいてる、牛ステーキが刺さった串を持

          とめどなく立ち止まる日記

          春の残り物とらっきょう壺

          連作随筆 前編 「甘酸っぱい春の残り物」(仮) ① 今日はとっても良い天気、こんな日は何かしでかしてやろうという気になってくる。 さてどうしたものかしらんと、その前にシャワーを浴びて体を綺麗にする、ギター弾いて、ぽんぴろぴんと歌う、トマトジュースを飲んで、さあ出立。 柔らかい日差しに満ちた往来に出る。 そうだ、味噌屋に行こうといことで自転車を走らせる。空気の抜けた少し頼りない車輪をころがして、鼻歌交じりに街をゆく。 春の残り物をいただいているような気になってくる。そん

          春の残り物とらっきょう壺