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     ぐうたらのあなぐら

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日常で思ったこと自由に書きます。ここはぐうたらのあなぐらです。
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記事一覧

巡りの雨

巡りの雨

「巡りの雨はあなたのため、そして僕のため(仮)」

めぐりのあめだ!めぐりのあめだ!
小さな男の子が叫び、母親は「恵み」のでしょ?なんて笑って、最近は今日のような、急なざんざ降りが多くって、昨日だってそうで、部屋にこもっていて室外機の音がうるさいなと窓を開ければ、雨がばっさばっさ落ちてる音だった。
今日はぐずついた天気が一日中続いて、夕方になってもう我慢ならぬと堰を切ったように雨が一気に降り出した

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イカにまみれた憂鬱を

イカにまみれた憂鬱を

「イカにまみれた憂鬱なんてものがあるらしいと巷で噂になっているのは嘘が誠か(仮)」

濡れた路面にこびりついた血、一瞬ぎょっとしたが、よく見るとそれはただの赤い落葉で、驚かされた仕返しに、その紅い落ち葉を踏み抜いてから横断歩道を渡る。
濡れた落ち葉はどこか生々しい。ぬらぬらと、葉脈がしっかり見えて、木の枝についてるものには感じ得ない何かが潜んでいる、気がしてならない。今の気分と合間って余計にそれは

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月夜の山路に虎はいが栗を食う

月夜の山路に虎はいが栗を食う

「月夜の晩は、虎や、いが栗に気をつけて(仮)」

店の外に売りに出されている百圓本を買って開いたらね千圓札が挟まっていまして、九百圓の儲けですよ、ははは」

そう笑いながら話すのは近くのお寺の住職さん。僕はこの手の話が好物である。
ある人は同じ店で古本を買い求めて、ヘソクリが入っていて中身はなんと五万、お店の人に伝えてちゃんと返したという話をした後でである。自分を話のオチにつかっている。
生臭坊主

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うずまきストローをくぐりぬける類いのあれこれ

うずまきストローをくぐりぬける類いのあれこれ

「うずまきストローは宇宙につながっていると博士は語る(仮)」

ストローでまっすぐになってるんでなく、こう途中で、くるっと豚のしっぽみたいに渦巻いてるの、見たことありますでしょうか?
使い捨てのじゃなくてプラスチックの、幼児用で、僕は小さい頃にミッキーマウスが乗っかってる青色のを持ってて、というか兄のお下がりだったのかもしれなくて、(ストローのお下がりなんてありえるのだろうか?)まあ何方でもよいの

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神様はソフトクリーム

神様はソフトクリーム

神様はソフトクリームに宿るのか?(仮)

「お待たせしました」

はいはい。
げ。あらま。

お待たせしましたなんて滅相もありません、僕は全然待ってなんかいなくて、先程買った本の解説から読もうとほんの数行読んで、これは先に読まない方がいい類いのものかもしれないと、途中で読むのやめたその時、注文してからすぐ、店員さんが和かな笑顔をもってして運んできてくれたのはホット珈琲。
そんな僕の体には細かい汗が

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とめどなく立ち止まる日記

とめどなく立ち止まる日記

作家というわけじゃない。
けど、だけど。
最近小説集なるものをつくって、それがありがたいことに作品を置いてくれるという(本当にありがたいことに)場所がほんの幾つかあって、だから僕は今日、街の本屋さんをまわる積もりだったのだけれど、目の前には屋台、屋台、屋台の連続、雑踏、たこ焼き、焼きそば、金魚掬いにメダカ掬いにドジョウ掬いまで、、

あれま。

思いもよらぬ、お祭りに足を止めてしまうのは人としては

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春の残り物とらっきょう壺

春の残り物とらっきょう壺

連作随筆 前編

「甘酸っぱい春の残り物」(仮)



今日はとっても良い天気、こんな日は何かしでかしてやろうという気になってくる。
さてどうしたものかしらんと、その前にシャワーを浴びて体を綺麗にする、ギター弾いて、ぽんぴろぴんと歌う、トマトジュースを飲んで、さあ出立。
柔らかい日差しに満ちた往来に出る。
そうだ、味噌屋に行こうといことで自転車を走らせる。空気の抜けた少し頼りない車輪をころがし

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呼ばれて飛び出て偽イラハイ〜最果ての雨の中から〜

呼ばれて飛び出て偽イラハイ〜最果ての雨の中から〜

呼ばれて飛び出て偽イラハイ〜最果ての雨の中から〜(仮)

顛末記



立派なホタルイカだなあ、酢味噌でいただくのが好物なんだなあ、なんて。此処は富山、薬売りの街、米騒動発端の地、寒ブリがうまくて黒部ダムがあって立山連峰があって、ホタルイカミュージアムがあって、、。
はじめて歌いにやってきた。ここ問屋町、問屋さんの町ということで大きな倉庫がずらりと並ぶ、その一角に家具屋、そこで歌わせてもらった。

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めくってしまえ金色の日々

めくってしまえ金色の日々

めくれる金色の日々(仮)

酔っ払いながらほぼ回らない頭で買ってきたカップラーメンには手をつけず、冷蔵庫に入れたままだったビールと手付かずのスナック菓子で、お腹のわずかな隙間を埋めてしまう。
もう一缶、のっぽのがあるなあ、でもどうしようかな、なんて考えていると大きな眠気がやってきて、寝床にごろん。それが昨夜。

今は近所のスーパーマーケット、お昼。
昨日無駄に買ってしまったラーメンをそのまま昼飯に

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お外にむかってうちうち内々に

お外にむかってうちうち内々に

人様に創作物を披露するようになって10年程になる、、かもしれない。
記念日があるわけでもなんでもなく、ただなんとなくだけれど、おそらくそう。
十代限定のバンドオーディション用に拵えた曲を大学の同級生であるバンドメンバーに聴かせた時がはじめではないかと自分では記憶している。
まだ10年そこそこしか経ていないことに驚く。
僕は小さい頃から創作することが好きだったから、もっと長い事続けた気になってしまっ

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どうか午前は穏やかに、ソマリア海賊

どうか午前は穏やかに、ソマリア海賊

「今の仕事の前はね自衛隊にいたんですよ」
「へえそりゃすごい」
「アフリカにいたんです、海をパトロールしてソマリア海賊を取り締まっていました」
京の町に佇む古本屋「三密堂」で何やら興味深い話が耳に飛び込んできた。
店番である僕は、いったん手を止めてお勘定場に座って会話に耳をかたむける。
午前の穏やかな日差しに、通りを歩く、様々な国の観光客、隣のラーメン屋は連日大繁盛で整理券なるものをくばっている、

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サンドされたシャキシャキ言葉たち

サンドされたシャキシャキ言葉たち

栞の言うことにゃ(仮)

「ことばは、自由だ。」
挟んだ栞にはこう書いてある。読みかけの本からひょいと覗ける、この二文字にふと目を留めた。そして少しだけ考えた、果たしてことばって自由なのかしら。

至言であるともとれるし大事な何かが抜け落ちてしまっているのではないかとも思えなくも無い。
僕がこの言葉を目にして最初に考えたのは、これを誰が考えたのだろうということだった。
コピーライターが考えたのか出

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歌は突然ペテンハッタリペッタンコ

歌は突然ペテンハッタリペッタンコ

音楽は人の心に語りかけて不思議な作用をする。心を鼓舞して扇動することだってできるし、お祝いお祭りから弔い争いにまで、なんでもこい。
逆に心を落ち着かせることもできる。
鎮魂と覚醒。

作家の中上健二は「優れた音楽は、この世のものだが何処か違う彼方からやってきたような異界性を伴う」としているが、もっともだと思う。
音楽の起源というものを僕は知らないけれど、神様とのコミュニケーション、結局辿れば宗教的

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なんでもない春の嵐は穏やかに

なんでもない春の嵐は穏やかに

「今回のテストはてんで駄目だったからなあ。殆ど空欄で出しちゃったから点数1桁すら、ありえる」
なんてことを布団の中でぼんやりと考えていた。こんな時、スーパーマンのように微熱がやって来てくれればいいんだけど、そんな事あるわけ無く、体は至って健康であるから、あとは仮病を使うしかない。どうしようか、いっその事、もう一眠りなんて考えている内に、だんだんと頭が冴えてきて、僕は点数が悪い筈が無い、なぜならテス

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