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来たる栞日、まぼろしの福の神
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「ぬるいラーメンは駄目だね」
ツミツさんは車に乗り込んだ後にそう呟いて、というのも彼が先ほど食べたラーメンセットの話し。
確かに、ぬるいラーメンはいけない。
僕が食べた蕎麦は温かったけれど、量が侘しく、それに今日歌いにいくところは長野県松本、信州そば、味の文化財、、何もここで蕎麦を食わなくてよかったなあと後悔したときには、遅かった。「きつねそば」引き換えチケットがひょろり出てきたところだった
月見ル君と僕にゃ宿はなし
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僕が遠出するとなると、落し物やらなんやらの一つ二つのトラブルに見舞われるのが普通で、それを避けることは不可能の近く、殆どあきらめている。
行きの電車、切符を無くして改札を通れなくなってしまった。駅員さんに聞くと「さいどお支払いいただくしかないですね」冷酷な一言、つっけんどんに突き放されてしまう。
彼女の態度や言葉に侮蔑の念が込められていやしないかと疑心暗鬼になる。だって、一つ目の改札は潜れ
アスパラガスは誰の夢
もう大体は、校庭に遊びに出かけてしまっているが、数人室内に残ってる子もいるにはいて、お昼を食べ終わったあとに先生とお喋りしたり、折り紙をしている子、それは女の子ばっかりなものだから、余計に恥ずかしく、そして情けなく、悲しくなってくる。だけれどもどうしても体がうけ付けない。
いつもなら外に飛び出ておにごっこだとか、サッカーだとか海賊ごっこだとか、猫の額ほどの狭い幼稚園のグランドをおもいっきり駆け回っ
おばけなんて怖かない!
おばけなんて怖くない、と今では思っている。
小さい頃には、今ではとんと姿を消した心霊や宇宙人を扱うあやしい番組を見て、寝るときに後悔するという、ごく人並みの経験をしている。もちろん一度や二度じゃなく。
しかし最近では怖くて夜も眠れないなんてことは、まあない。
僕が唯一大人っぽくなれているところかもしれない。
僕の場合、怖くなってしまう条件は暗闇にあった。昔から、身の毛がよだつ思いをするのは決ま
チキンラーメンみたいな日
目を覚ます。
やってしまったという気持ちがにょきょき芽を出す。お空は日暮れ色。
今日のお昼、チキンラーメンを食べた。
子供の頃、コマーシャルを見てまんまと食べたくなり、母親の持つ買い物カゴにこっそり入れ、例に倣って卵一つ落とし、湯を入れ、期待膨らませながら犬のように待ち、丼をあけて、さあいざ、しかし膨らませた期待は頼りなく、みるみるうちに萎んでいく。
期待したほどでは無かった。
それから、コマ
さりとて草履で坊ちゃん日記
よっつの草履はぺたんぺたん(仮)
時間に余裕をもった筈なのに、気づけば余裕をどこかに落っことしちゃって、結果余裕がないなんて事は想定範囲内の事で、どれだけ余裕もったとしても結局は余裕がなくなるのは僕の人生において、瑣末な事、一々気にしていては身がもたぬということで、ある意味余裕を持って、ぎりちょん、発車一分前に、電車に滑り込む。
先に余裕をもって乗車していたタニザワさんの横の席に座る。彼は本日
イカにまみれた憂鬱を
「イカにまみれた憂鬱なんてものがあるらしいと巷で噂になっているのは嘘が誠か(仮)」
濡れた路面にこびりついた血、一瞬ぎょっとしたが、よく見るとそれはただの赤い落葉で、驚かされた仕返しに、その紅い落ち葉を踏み抜いてから横断歩道を渡る。
濡れた落ち葉はどこか生々しい。ぬらぬらと、葉脈がしっかり見えて、木の枝についてるものには感じ得ない何かが潜んでいる、気がしてならない。今の気分と合間って余計にそれは
月夜の山路に虎はいが栗を食う
「月夜の晩は、虎や、いが栗に気をつけて(仮)」
店の外に売りに出されている百圓本を買って開いたらね千圓札が挟まっていまして、九百圓の儲けですよ、ははは」
そう笑いながら話すのは近くのお寺の住職さん。僕はこの手の話が好物である。
ある人は同じ店で古本を買い求めて、ヘソクリが入っていて中身はなんと五万、お店の人に伝えてちゃんと返したという話をした後でである。自分を話のオチにつかっている。
生臭坊主
うずまきストローをくぐりぬける類いのあれこれ
「うずまきストローは宇宙につながっていると博士は語る(仮)」
ストローでまっすぐになってるんでなく、こう途中で、くるっと豚のしっぽみたいに渦巻いてるの、見たことありますでしょうか?
使い捨てのじゃなくてプラスチックの、幼児用で、僕は小さい頃にミッキーマウスが乗っかってる青色のを持ってて、というか兄のお下がりだったのかもしれなくて、(ストローのお下がりなんてありえるのだろうか?)まあ何方でもよいの
神様はソフトクリーム
神様はソフトクリームに宿るのか?(仮)
「お待たせしました」
はいはい。
げ。あらま。
お待たせしましたなんて滅相もありません、僕は全然待ってなんかいなくて、先程買った本の解説から読もうとほんの数行読んで、これは先に読まない方がいい類いのものかもしれないと、途中で読むのやめたその時、注文してからすぐ、店員さんが和かな笑顔をもってして運んできてくれたのはホット珈琲。
そんな僕の体には細かい汗が