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短編小説

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N夫人のちいさな図書館 後編

N夫人のちいさな図書館 後編

おそるおそる中に入ってみることにした。

「ごめんください、、」と心の中でだけ唱えてドアを開ける。玄関のたたきに立ってしばし部屋の中をみまわした。
まず目に飛び込んできたのは、大人の顔の大きさほどあるオウムだ。チェーンに繋がれているわけでもなく、むっくりと止まり木に鎮座している。下に敷かれた新聞紙が糞だらけになっているところを見るとずっとそこにとまっているのだろう。僕が部屋から入ってくると、ぬうっ

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N夫人のちいさな図書館 前編

N夫人のちいさな図書館 前編

風は湿めりけのある寒さを連れてくる。
濡れたアスファルトに薄汚れた落ち葉が刺青のように張り付いている。その上をしゅみしゅみと歩く。

トントンしゅみしゅみパシャ。
トントンしゅみしゅみパシャ。

濡れたってかまわないと水溜りを避けずに歩く。そんな大人は中々いないだろうと笑けてくる。まさに大供だ。

小さい頃、靴が濡れてしまうと気持ち悪くってよく、ぐずっていたことを思い出す。どうにも我慢出来きずに泣

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