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掌編

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ちょっとした物語
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でんえんぼっか

でんえんぼっか

今日は三日月がお空に浮かぶ明るい夜

双子の男の子二人が原っぱで腰掛けながらお話をしています。
二人は顔と背丈と服装がだいたい同じで、兄の方は鼻の先っちょがほんのり赤くて、弟は耳が大きいので、みんな「赤っ鼻の兄」と「でか耳の弟」で覚えていました。この2人は仲良しでよく一緒にいます。

「今日は月が綺麗な夜で気持ちがいいなあ。
あのバナナみたいな月の上からしょんべんしてみてえな。さぞ気持ちいいんだろ

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夢急行

夢急行

私は新幹線に急いで乗り込まなくてはならなかった。何かに駆り立てられるように、焦っていた。
なぜ急いでいるのか、なぜ新幹線に乗り込まなくてはいけないのか自分でもよく分からない。ただただ私は目の前の新幹線に乗り込まなくてはいけなくて、そしてもう時間が無かった。

発車の警笛が鳴り響いて新幹線はゆっくりと動き出した。嗚呼もう駄目だと思い、立ち止まって呆然と新幹線を虚な目で見つめた。もう少しだったのにと後

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