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韓国ベストセラー「パリで弁当を売る女」自伝が面白かった話。

きっかけはYouTube

あまり、自伝などに興味がない私が自伝を読むきっかけとなったのは、今ぽくYouTubeでした。
日頃、アジア圏の商ビジネスのリサーチがてらYouTubeで他国では何が流行っていて、流行る理由や民族性の違い、持続可能性等を予想するのがコロナ中に生まれた新しい趣味なのですが、アルゴリズムで再生されたのは 韓国の起業家らしい男性と、派手目の中年女性のトークでした。

話す雰囲気や内容的に知りたい情報が出そうな気配はなかったけれど、その中年女性は英国長者番付でイギリス女王よりも、ヴィクトリアベッカム夫妻よりも順位が上で、その資産はなんと5年ちょっとで築き上げたということを知り、話し方やパッと見はそんなにクレバーには見えなかったのもあって彼女に興味を持ったのがきっかけです。

英国長者番付でヴィクトリア・ベッカム夫妻よりも上?

どれくらいかは知らなくても、あのベッカム夫妻の総資産がものすごいことは誰しもわかる話で、長年にわたる世界的なキャリアを持った夫妻だからこそ、成せる結果だから何も不思議な点はないですよね。

けれど、彼らの上にアジア人の女性がいて、富豪2世でもなく、アメリカ生まれでもヨーロッパ生まれでもない、韓国の田舎生まれの女性が5年ほどでベッカム夫妻を超えたと言うことで、彼女を調べれば調べるほど面白かったので彼女の自伝を読んでみました。
結論、めちゃくちゃ良かった!

この本の著者は英国に本社を構えるKellyDeli 創業者であるKelly Choiさんの自伝です。

日本ではまだ発売されておらず、파리에서 도시락을 파는 여자 というタイトルで韓国で発売されていて、直訳して「パリで弁当を売る女」として少しご紹介したいと思います。

全内容を事細かく書けるレベルで愛読しましたが、いつか日本で発売されるかもなので大枠だけ好きな部分をご紹介しながらの学生時代以来の感想文を書きたいと思います(汗)

成功の裏には日本人の匠が存在していた

彼女は1969年に韓国の田舎生まれの大変貧しい生い立ちで、お金がない&女の子だからと高校に行かせてもらえず、自らの意志で昼間は服のミシン工場で働きながら、夜間高校に通う彼女が、徐々に自身の夢を追いながら直感的な行動で、なんの用意もなく日本へ留学に来たり、フランスに留学をしたりして日々奮闘しながら成長するサクセスストーリです。

フランス語が得意でもないけれど、フランスで友達の会社を手伝い始め、立ち上げから約8年で会社を閉じるまでCFOのような役割を務めた挙句、最後には自身が1億円の借金を背負う経緯や、事業失敗要因の詳細が書かれており、よくある話ではあるけれど、起業を考えている人であれば参考にしておくと良い失敗事例であるので、日本翻訳版が出た際は是非読んで頂きたい1冊です。

私が特に面白く読んだ部分は、彼女が挫折を経験し、過去を振り返り、それまでの人生の選択やタイミング、そして挫折、受領、新たなエネルギーを生み出すきっかけ、新たな開拓精神、全てが善良なマインドである部分など、すごく共感できる部分が多かったんですよね。
中堅経営者が読んでもグッと目頭が熱くなるような、自分と重なる場面が多々ある内容です。

韓国生まれの彼女が異国の地で成功と挫折、そして再起を行う中、彼女を成功に導いた恩師は日本人であったことも、大枠的に私と似た境遇だったので、すごく感情移入しながら読みました。

また、英国長座番付345位(2020年)にアジア人女性が君臨する影には日本の匠が1からのスキルを無償で伝授したことも、日本の読者としては誇り高く、大変素晴らしいお話です。

ヨーロッパ内・スーパー即席寿司弁当のシェアNo.1

彼女は1億円の借金を抱えながら、スーパーで販売員が手作り寿司(ロール巻き寿司など)を作り、販売する事業モデルを選び、計画し、創業5年で年商500億円にまで成長を果たしました。今尚も成長を続けている企業ですが、飲食業に関わったことのない彼女に寿司作りを1から教えたのが、フランスで鮨職人をしていた山本さんという匠。しかも無償で半年にかけて毎日、彼女の家に来てゼロから教えてくれたそうで、これまたすごい話。

匠の山本さんは、フランスで繁盛していた鮨屋を年齢により閉めるタイミングに、大学の教授のオファーが来ていた頃、ちょうど彼女と出会ったのも、彼女の引き寄せ感とも言える絶妙なタイミングの重なりで、人生の可能性をすごく感じるストーリーなのも面白いかったです。

本に登場する彼女の師匠である山本さんは、パリで行列を作る鮨屋で、現地の日本大使館も行事がある度に山本さんの鮨を頼んでいたらしく。彼の詳細も知りたく調べたんですが、日本名(漢字)が分からず、私はフランスに行ったこともないので、全く山本さんの情報がないですが知っている方は是非、共有をお願いします。

山本さんは今でも彼女と親密で、現在も彼女の会社にアドバイスをしており、ケリーさんは独身である山本さんが心配で、自分の隣の家を買って、山本さんにプレゼントしたんだとか。(彼女のYouTubeで知った)

ちなみに、このケリーさんは40代でマイナス1億から再スタートを始めたのですが、成功までの5年間に仕事だけでなく、運命的な出会いと結婚、そして出産までをも同時期の5年内に成したんですって。彼女の生き方は女性経営者だけでなく、沢山の女性達に希望や勇気や夢をももたらす存在です。ケリーさんの旦那さんはエンジニア出身で現在、同社で彼女と同じく会長職になっています。

旦那さんは仕事よりプライベート・家族重視な方で、お二人の生き方は本当真似したい!心からそう思えました。

下記のリンクはThe timesでの記事で山本さんとケリーさんのツーショットです。このケリーさん、歌手Aiさんぽくも見えますねw 

善良なマインドは大きなエネルギーを生む

私の人生観の一つに、「愛が全ての根底にあるべき」っていう考えがあるのですが、ここで言う愛とは恋愛の愛に限らず、全てにおいての善良なマインドのことを指しています。

愛が根底にあってこそ、勇気が持てたり、希望が見えたりすると思うんですが、勇気や希望が先に来ることはまずないと言う考え方です。

保身や自己利益が目的の思考や行動(総してエネルギー)ではなく、自分以外の者や物事に対する姿勢が善良であるには、生き方や思考自体が善良であるべきで、そのような人は前者よりも大きなプラスエネルギーを自ら作れる能力に長けていると思えるんです。

世間一般的に、こう言う人を「前向きで明るい人」っていうと思いますが、ちょっと違うかもだけど、近いものはあります。

自分の人生を振り返ると、私のエネルギー源は愛情(誰かのため)だったな〜そして、私の失敗は保身の故だったな〜と思えるんですよね。私が今に至るのも誰かのために生きてきたからで、自分のためだけでは、こんなに頑張れない。頑張りたくもないわけです。

人は誰かのために頑張れるもので、そんな頑張りは多くの人を喜ばせ、助けますから、今後も善良なマインドでプラスエネルギーを生み出して行きたいと思いますし、社員や弊社サービスをご利用になっている小売事業者様達にも是非、そんなマインドを持って欲しいなと心から願っています。

商業は誰かのためにやるものですし、プラスエネルギーはプラスエネルギーを増幅させるので、誰かのために頑張れれば、見えない誰かにも感謝できる日がいずれ訪れます。これが心から理解できた時、更なる階段を登れるようになり、一つ高い位置での目線が持て、さらに視野が広がるんですよね。

この業界でゼロから始めて、一段ずつ登り、少しだけ登れた今、私ができる最大限のエネルギーを放出し、次世代に繋げて行きたいと思っています。最近になって、こういう事が本当の意味での大人になるってことかな?と思えたりもします。

誰のために何のために自分は生きるか?

私は若い頃から、周りにマザーテレサとか、母性が強い、愛情深いとか言われますが、ここ数年前までは自分が愛情深い人だと思っていませんでした。

私の表現は決して柔らかくないし、優しいキャラクターでもないんです…。とってもストレートな表現で毒舌な傾向にありますが、それでも母性が強いと言われてきたので、自分では意味不明でした。

ただ「良かれと」マインドが遺伝子にあるようで(笑)
私はどんなタイミングや出来事にも自身の保身やメリットをよりも、相手の方を先に考えてしまう傾向があり、直感的に良かれと注意や助言等の言動を躊躇なく行うお節介タイプです。
これを言ったら私のイメージは落ちるかな?相手がショックかな?などは考えません。相手が不利なことを知っているのに、教えない方が誰得?と思うんですよね。なので、私からすれば気づいたから、とりあえず言った、やった。程度のレベルですが、第三者からすればそれが愛情に映るようです。

今の事業に乗り出したのも、私がやりたかったわけじゃなく、たまたま日本で最初に私が考えた。タイミングが重なった。たまたま私はその業界で続けてきただけ。そんなレベルでした。詳細まで考えたまでは良かったけれど、形にするのは漠然とした不安だけで、ビビっている私の背中を押してくれたのは尊敬する日本企業の先輩経営者達でした。

「これが出来るのはお前しかいない」なぜ、最初は私がしないとならないのか?を理解できるまで何度も説明してくれて、私のメンター達は損得関係なく深い善良なエネルギーで私に注いでくれた時間は愛情そのものだと思っています。正しい事だからと言って、わざわざエネルギーを注ぐこと自体、とても疲れる行為なんです。これは、愛なくしては出来ないんですよね。

その愛情を受けて、勇気を持ち、飛び込み、切り拓き、自分を毎日奮い立たせながら今に至ります。誰かのために開拓者となるのは孤独であり、時には彷徨うこともあります。

そんな中、自己利益重視な起業家達が形だけは成していくのを見ると、やっぱり資本主義世界ではそうあるべきか... 私にはない素質だな... と落胆する事もありました。単に目立ちたいとか、競争心などもない私が、ただただ小売業者を想って作った事業を、焼畑式の荒らし者達から守り、大成させられるのか?

漠然とした不安を抱える中で、この本に出会い、相手を守りすぎるがために新たな攻めを行わず、起きていない問題を妄想しては不安に感じていたのが、私の弱さだったな〜と改めて思えました。この本の著作であるケリー・チョイさんの生き様や考え方は、私と大変似ていて、私と似たような考え方でも偉業は成せられるんだな!と感動し勇気を貰えた部分も大きかったです。

彼女の経営理念の1つで、シンプルに感心したのは、スーパーの弁当はコスパ重視だから、安い食材を選ばざるを得ないはずだけど、彼女の会社は安くて美味しいけど、フィリピン産のエビは使わないと断言しており、その理由はフィリピン産エビの労働力は子供が多いからとか。
その他にも様々なポリシーがあり、自社のメリットだけではなく、より遠くを見る視野の広さや考え方に共感や尊敬の心が持てました。

彼女は、私がこのままの私であり続けながら、成したい像の完成版であり、起業して18年目にして、ようやくロールモデルに出会った感で、こんな人が存在するんだ!と知れただけで嬉しかったです。

なんの接点もないけれど、彼女とお茶する日が間違いなく来る気がするのは何故だろうか?もはや、オンニー(姐さん)と思っています(笑)それくらい等身大な経営者の自伝で読みやすく、難しくもなく、時には泣ける本でした。

この本を読み、彼女が行った全てのプラス行動を私も実践しようと思って、最近いろいろと少しずつ始めてみたら、少しずつ変化が起きているこの頃です。

この本は女性起業家だけではなく、中堅経営者や全ての大人に是非読んで貰いたい1冊です。
日本ではあまり韓国人経営者の本は発売されることがないですが、この本は韓国とか関係なく、アジア生まれの中年がゼロから他国で偉業を成すサクセスストーリーなので、是非 日本でも発売される日が来ることを期待して、noteにしました。

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