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相手の言葉を下敷きにして、決めゼリフを作ったり大団円感を醸し出したりする(離れたところにある言葉を下敷きにするver.) ~ドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の場合

ジャネー「(口うるさいクローデットにキレる)あんたがどこの国から来たかなんて知らない。でも、ここはアメリカだ!」

クローデット「(裏から手を回してジャネーを追い出す)あんた気をつけな。ここはアメリカじゃない。刑務所だ。そしてあたしはここの古株でね」

ドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」(第3話)




◆概要

【相手の言葉を下敷きにして、決めゼリフを作ったり大団円感を醸し出したりする(離れたところにある言葉を下敷きにするver.)】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:ドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」(第3話)

▶1

本作の主要キャラの1人・クローデット(60歳頃の女性)。

彼女はハイチ出身だがアメリカで罪を犯し、いまはアメリカの女子刑務所に収監されている

なお、彼女は①殺人犯であり、しかも②この刑務所の古株であり、さらには③礼儀やマナーに口うるさい性格のため、他の囚人から恐れられていた。


クローデットはいま、

・Step12人部屋に収監されている。

・Step2:で、第3話序盤のことだ。同房者が交代することになった。

・Step3:新しくやってきたのはジャネーという若い囚人だ。


ジャネーがやって来て早々、

・Step4クローデットはまくし立てた。曰く「ここではあたしのルールにしたがってもらうよ。いいかい?」「気が滅入るから昼間から寝るな!」「汚したら掃除!もしも私側の床に汚れが残っていたら承知しないからね」「食べ物にはフタをすること!食べ残しのカップ麺に虫がたかるなんてごめんだからね」云々。

・Step5うるせぇババアだなぁ……。間もなくジャネーはキレた。彼女は叫んだ「私は好きな時に寝るんだよ、ババア!」「あんたがどこの国から来たかなんて知らない。でも、ここはアメリカだ!私はカップ麺でも何でも好きな時に食べる!」。――「ここはアメリカ、自由の国。お前の言いなりにはならねぇよ!」という意味だ。

・Step6:クローデットは、無言でジャネーを睨みつけた


いろいろあって第3話終盤。

・Step7唐突にジャネーが別の房に移動することになった。

・Step8:ジャネーは訳がわからない。えっ、もう移動?いきなりどういうことだ!?

・Step9:困惑するジャネー。そんな彼女に向かってクローデットは悠々と言った「あんた気をつけな。ここはアメリカじゃない。刑務所だ。そしてあたしはここの古株でね」。――上述の通り、クローデットはこの刑務所の古株であり、そしてどうやら刑務官にも顔が利くらしい。彼女は「同房の女が気に食わない。別の房に移動させてくれ」と裏で手を回したのだろう。

・Step10:このクソババアが!ジャネーは刑務官に促され、無言で房を出て行った


▶2

ご注目いただきたいのは、「あんた気をつけな。ここはアメリカじゃない。刑務所だ。そしてあたしはここの古株でね」というクローデットのセリフである。

要するに「この前はよくも口ごたえしてくれたね。この刑務所では私に逆らったら生きていけないよ。覚えておきな」というわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白くない。

そこで【相手の言葉を下敷きにして、決めゼリフを作ったり大団円感を醸し出したりする(離れたところにある言葉を下敷きにするver.)】という技法の出番だ。


改めてクローデットのセリフをご覧いただきたい。

「あんた気をつけな。ここはアメリカじゃない!刑務所だ。そしてあたしはここの古株でね」。

これはジャネーの「あんたがどこの国から来たかなんて知らない。でも、ここはアメリカだ」を踏まえたものであって、相手の言葉を下敷きにしたことで格好いい決めゼリフになったといえるだろう。


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