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「キャラAたちがカフェで話をしていると→背後からモブキャラ同士の会話が聞こえてきた。曰く『あっ、そこいじらないでねぇ』」という演出によって、Aたちの話題が「センシティブな領域=Aの<地雷>を踏みかねない危険な領域」に入っていることを暗示する ~アニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」の場合

カフェの店員「(ステージの機材を調整しながら)あっ、そこいじらないでねぇ。えっと、待って、ボリューム上げすぎてる。……楽奈ちゃん、OKだよ!」

アニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」(第2話)




◆概要

【「キャラAたちがカフェで話をしていると→背後からモブキャラ同士の会話が聞こえてきた。曰く『あっ、そこいじらないでねぇ』」という演出によって、Aたちの話題が「センシティブな領域=Aの<地雷>を踏みかねない危険な領域」に入っていることを暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」(第2話)

▶1

本作の主要キャラの1人・愛音(「あのん」と読む。高1女子)。


彼女は、

・Step1:バンドを組みたいと考えていた。愛音自身はギターボーカル志望であり、それ以外のパートを担当してくれるメンバーを探しているのだが……うーむ、なかなか見つからない


そんなある日のことだ。

・Step2:舞台は、ライブハウス「RiNG」に併設されたおしゃれなカフェ。

・Step3:愛音は、ひょんなことから知り合ったそよ(他校の高1女子)に、「ライブハウスの掲示板を見たんですけど、よさそうな募集がなくて……」なんて相談していた。

・Step4:すると、おや、そよは昨今のバンド事情にやけに詳しい。彼女は「フフッ」と微笑んだ――「前、やってたから」

・Step5:愛音は驚く。そよが通っているのはお嬢様学校だ。へー、お嬢様もバンドを組んだりするんだ!

・Step6:そよは再び微笑んだ「お友達が誘ってくれたのよ」


……と、この時。

・Step7:愛音とそよの背後から、モブキャラ同士の会話が聞こえてきた

・Step8:上述の通り、このカフェはライブハウスに併設しているのだが、カフェ内にも小規模なステージが用意されている。そしていま――ステージ上には2人の若い女性がいた。1人はこのカフェの店員、もう1人はギタリストである

・Step9:2人はアンプなどの機材を調整中だ。カフェの店員がギタリストに言った「あっ、そこいじらないでねぇ。えっと、待って、ボリューム上げすぎてる。……楽奈ちゃん、OKだよ!」


▶2

ご注目いただきたいのは、Step9の「あっ、そこいじらないでねぇ」というセリフである。

これはモブキャラ2人の会話にすぎない。

単なる賑やかしだ。

ただそれだけ。

……のはずなのだが、改めて考えてみるとなかなかどうして意味深なセリフだと思うのだ。


というのも――かつてそよが所属していたのは「CRYCHIC」というバンド

最高のバンドだった。最高のメンバーが揃っていた。

しかしいろいろあって解散に至った。メンバーはいまや離れ離れだ。連絡のつかない者もいる。


だが、そよはいまなお「CRYCHIC」を愛していた。「CRYCHIC」に執着していた。どうにかして再結成したい、あの素晴らしい時間を取り戻したいと願っていた。

要するに、「かつて組んでいたバンド=CRYCHIC」はそよにとっていまも特別なものであり、最近知り合ったばかりの愛音になぞ踏み込んでほしくない神聖な領域なのだ。

そよは外面のいい少女であり、いつも優しく微笑んでいるものの――上記Step5や6では心中穏やかではなかっただろう。

「あっ、そこいじらないでねぇ」というモブキャラのセリフは、そんなそよの心の声を代弁していると言えると思うのだ。


つまり、【「キャラAたちがカフェで話をしていると→背後からモブキャラ同士の会話が聞こえてきた。曰く『あっ、そこいじらないでねぇ』」という演出によって、Aたちの話題が「センシティブな領域=Aの<地雷>を踏みかねない危険な領域」に入っていることを暗示する】というテクニックである。


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