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ログラインを徹底解説【Part3:これがログラインの公式だ!!】

引き続き、ログラインについてご説明します。

※本記事はPart3。Part1からご覧になることをお勧めします。


Part1-2の振り返り


Part1ではログラインの目的を、Part2ではログラインの書き方や書く時のコツをご紹介してきました。


本記事では、<ログラインの公式(formula / template)>を3つご紹介します。


参考サイト一覧


本記事を書くにあたり、以下の8つのサイトを参考にしました。いずれも、ハリウッド映画の脚本執筆術に関する英語サイトです。


▶参考サイトA:Filmarket Hub


▶参考サイトB:MasterClass

https://www.masterclass.com/articles/screenwriting-tips-how-to-write-a-logline


▶参考サイトC:NFI


▶参考サイトD:Studiobinder


▶参考サイトE:IndieWire


▶参考サイトF:New York Film Academy


▶参考サイトG:RAINDANCE


▶参考サイトH:SCRIPT READER PRO


公式って何だろう?


<1>

本記事では、ログラインの公式をご紹介します。


ところで<公式>というと、「おっ!XやらYやらを埋めていくだけで素晴らしいログラインを作れるのかな?」と感じる方もいるかもしれませんが、しかしそれは誤解です。

参考サイトE曰く、

While it may be tempting to simply take the formula above and plug in the details of your story, I would highly advise against it as it will never yield the best results.

「穴埋め式にログラインを作りたくなるかもしれませんが、それでは最良のものを作ることはできないでしょう。絶対にお勧めしません」。


<2>

重要なのは、ログラインの構造を理解することです。

すべての医師が<人体の構造(人間の体には心臓、胃、肺などがあって……)>を理解しているように、ログラインを作ろうという方はすべからく<ログラインの構造>を理解しておく必要がある


そして本記事で<ログラインの公式>をご紹介するのは、それを知っておくとログラインの構造を理解しやすくなるからです。


公式その1


<1>

最初に取り上げるのは、参考サイトDのこの公式です。

When [INCITING INCIDENT] happens, [OUR PROTAGONIST] decides [TO DO ACTION] against [ANTAGONIST].

すなわち、【「インサイティング・インシデント」が起きた時、「主人公」は「敵対者」に対して「行動を起こす」ことを決意する】


何だかわかるようなわからぬような公式ですが……ご安心ください!この後ご説明します。

※補足:「インサイティング・インシデント」については、Part2でご説明済みです。そちらをご参照くださいませ!


<2>

さて。

ここで一度、映画「羊たちの沈黙」のログラインを見てみましょう。

A young F.B.I. cadet must confide in an incarcerated and manipulative killer to receive his help on catching another serial killer who skins his victims.

日本語に訳すと、「若きFBI士官候補生は、獄中の<人心を操る殺人鬼>に心を打ち明けなければならない。<被害者の皮を剥ぐ連続殺人犯>を捕まえるためには」なんて具合でしょうか。


で、これを上述の公式に沿って整理すると……

・インサイティング・インシデント:<被害者の皮を剥ぐ連続殺人犯>を捕まえようとする時

・主人公:若きFBI士官候補生

・敵対者:獄中の<人心を操る殺人鬼>

・行動:心を打ち明ける


「羊たちの沈黙」を見たことがある方ならすっとご理解いただけると思いますが、あの物語では、主人公(クラリス)の敵対者は<獄中の殺人鬼(レクター博士)>、そして<クラリスが自身のトラウマと向き合うこと>です。

連続殺人犯(バッファロー・ビル)はそのきっかけ(インサイティング・インシデント)に過ぎません。


<3>

それにしても……いやぁ、これさすがにいいログラインですよねー!

「FBI士官候補生が殺人犯を捕まえるために獄中の殺人鬼に心を打ち明けるって、どういうこと!?」とメチャクチャ気になります。まさに脚本を読んでみたくなるログライン!


公式その2


<1>

続いて、参考サイトBの公式をご紹介しましょう。

[protagonist] + [inciting incident] + [protagonist’s goal] + [central conflict]

【「主人公」+「インサイティング・インシデント」+「主人公の目標」+「中心的な対立」】です。


<2>

ここでは、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のログラインを見てみましょう。

A young man is transported to the past, where he must reunite his parents before he and his future cease to exist.

日本語に訳すと、【1人の青年が過去に飛ばされた。青年はそこで、彼の両親を歴史通りにくっつけなければならない。彼自身と彼の未来が消滅してしまう前に】


これを上述の公式に沿って整理すると、

・主人公:1人の青年

・インサイティング・インシデント:過去に飛ばされたことで

・主人公の目標:両親を歴史通りにくっつける

・中心的な対立:彼自身と彼の未来が消滅してしまう前に

……となります。


これまたワクワクするログラインですよねー!


公式その3


<1>

3つ目にご紹介するのは、参考サイトHの公式です。

Protagonist + Struggle with Antagonist + Death Stakes

すなわち、【「主人公」+「敵対者との対立」+「危険性」】


<2>

今回は、映画「セブン」のログラインを見てみましょう。

Two detectives - a rookie and a veteran - attempt to catch a serial killer who uses the seven deadly sins as his modus operandi  before he kills again. 

日本語にすると「新人とベテラン、2人の刑事が<七つの大罪を手口とする連続殺人犯>を逮捕しようと奮闘する。殺人犯が次の事件を起こす前に捕まえるのだ」


これを上述の公式に沿って整理すると……

・主人公:2人の刑事

・敵対者との対立:<七つの大罪を手口とする連続殺人犯>を逮捕する

・危険性:連続殺人犯が次の殺人を犯す


【危険性(stakes)】というのがややわかりづらいかと思いますが、これは<もしも主人公が敵対者との戦いに負けた場合に起こるであろう悲劇・惨劇>を指していると考えるとよさそうです。

「セブン」では、殺人犯を捕まえるのが遅れると……そう!次の犠牲者が出てしまう。これが【危険性】です。



以上3つの公式をご紹介しました。

ログラインの構造を理解するのにお役立てくださいねー!



続きはこちら


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ログラインを徹底解説【Part2:ログラインはこうやって書くのだ!!】


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(担当:三葉)

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