見出し画像

ログラインを徹底解説【Part1:ログラインって何だ!?】

ログラインって何だ?


<1>

【ログライン(logline)】なるものをご存知でしょうか?


具体例を1つあげてみると、

A young F.B.I. cadet must confide in an incarcerated and manipulative killer to receive his help on catching another serial killer who skins his victims.

……これがログライン。


ちなみにこれ、映画「羊たちの沈黙」のログラインです(以下でご紹介する参考サイトDより引用しました)。

日本語に訳すと、「若きFBI士官候補生は、獄中の<人心を操る殺人鬼>に心を打ち明けなければならない。<被害者の皮を剥ぐ連続殺人犯>を捕まえるためには」なんて具合でしょうか。


<2>

「ログラインかぁ……どこかで聞いたことがある気がするなぁ」

「創作術の本を読んでいるとちょくちょく出てくるよね。でもいまいち意味がわからない言葉なんだよなぁ」

……なんて方が多いかと思います。


本記事では、「そもそもログラインは何のために存在するのだろうか?」というところから、「ログラインのルールや上手く書くコツ」まで、まるっとご紹介します。

これであなたもログライン・マスターだ!!


参考サイト一覧


本記事を書くにあたり、以下の8つのサイトを参考にしました。いずれも、ハリウッド映画の脚本執筆術に関する英語サイトです。


▶参考サイトA:Filmarket Hub


▶参考サイトB:MasterClass

https://www.masterclass.com/articles/screenwriting-tips-how-to-write-a-logline


▶参考サイトC:NFI


▶参考サイトD:Studiobinder


▶参考サイトE:IndieWire


▶参考サイトF:New York Film Academy


▶参考サイトG:RAINDANCE


▶参考サイトH:SCRIPT READER PRO


まずは、ログラインの<目的>に注目しよう!


<1>

さて!

ログラインに関する書籍やブログを読んでいると、「1-2行程度の短文です」「形容詞を上手く使うのがポイントです」というように外形的な特徴から定義し始める文章をまま見かけますが、これぶっちゃけた話、悪手だと思うんですよ

だって、「えっ!1-2行というのは絶対ですか?3行ではダメなんですか?」なんて不毛な議論に陥りかねませんからね。


<2>

何かを理解しようという時には、外見ではなく、まずはその<目的>に注目するのが得策です。

そう、大切なのは目的!!


だって<ログラインが存在する目的>をしっかり理解できれば、なぜ短文でなければならないのか、なぜ形容詞を上手く使いこなす必要があるのか、自ずとわかるはず。「3行ではダメなんですか?」なんて不毛な議論を避けることができるでしょう。


ということで、「そもそもログラインって何のために存在するの?」というところからスタートしましょう。


ログラインの目的


<1>

まずは、参考サイトDを見てみましょう。


参考サイトDには以下の記述があります。

At any stage of a production, a logline is a tool used to sell your idea.

「ログラインは自分のアイデアを売り込むためのツールです」

うーむ!明快ですね。


参考サイトEにも、

The goal is to sell the idea of the script, rather than the story itself, and the most effective way to do this is with a strong logline.

「目的は、<ストーリーそのもの>ではなく、<脚本のアイデア>を売り込むことです」


<2>

では、<脚本のアイデア>を誰に売り込もうというのでしょうか?


今度は参考サイトBを見てみましょう。

A logline is short description of a movie’s premise, used to attract producers or agents to a script.

「ログラインは、プロデューサーやエージェントに脚本をアピールするために使われます」。


つまりログラインは、【映画会社のプロデューサーやエージェントに<脚本のアイデア>を売り込むためのツール】のようですね。


<3>

引き続き、参考サイトBを見てみましょう。

A great logline can sell someone in Hollywood on your movie idea and make them want to read your script, while a bad logline can turn away potential script readers and make even the most intriguing premise sound boring.

すなわち、「優れたログラインは、ハリウッドの誰かにあなたの映画のアイデアを売り込み、『脚本を読みたい』と思わせることができます」とのこと。


さらに、参考サイトBにはこんな記述もあります。

The goal is to write a logline so enticing that it hooks the listener into reading the entire script.

「読んだ人に『脚本全体を見てみたい』と思ってもらうこと、それがログラインを書く目的です


要するに、【ログラインの目的 = 映画会社のプロデューサーやエージェントに『このアイデアを使った脚本を読んでみたい』と思ってもらうこと】と整理できそうです。


参考サイトCには、より具体的な記述がありました。

The producers may sometimes need to read through several scripts a day. Mind you; most scripts are aimed towards creating feature-length films. Therefore, the producers cannot read through the entirety of every entry they receive. For this reason, a producer will first read the logline of the script before the actual script itself. This will ensure if the entry is worth their time. In a sense, a logline can act as a device to pitch a movie idea to possible investors and producers.

曰く……プロデューサーはクソ忙しい。彼らは、1日に何本もの脚本に目を通さねばならぬ。とてもじゃないがそのすべてを読むことはできない。そこでログラインである。プロデューサーはまずはログラインを読む。そして「おっ!」と目を惹かれた場合のみ、脚本本文にも目を通すのである。


<4>

さて、ログラインの目的がだいぶ見えてきました


ここまで申し上げてきたことをまとめると、

・1:ログラインは、あなたの<脚本のアイデア>を売り込むためのツールである

・2:プロデューサーやエージェントに「ほぉ!これは面白いアイデアだ。脚本を読んでみよう」と思わせることができたら目標達成

・3:ログラインが求められるのは、<プロデューサーやエージェントはクソ忙しく、すべての脚本を読むことができない>というハリウッド映画界の事情ゆえである。つまり、ログラインは現在のハリウッド映画界に最適化したツールなのである

……ということになります。


ログラインのもう1つの目的


<1>

さて、<ログラインはアイデアを売り込むためのツールである>と判明したわけですが……!


ここで、参考サイトCの以下の文章をご覧ください。

It can consist of 30 to 50 words and will function as a short synopsis to draw potential viewers or production deals. The logline will also be the foundation upon which the script will reside. In fact, it is a good standard practice to create a logline before writing the script or screenplay.

すなわち……ログラインはアイデアを売り込むためのツールとして使える。しかしそれだけではない。加えて、「脚本の土台となるものでもある。実際、脚本を書く前にログラインを作成することは、標準的な方法としてよく知られている」とのこと。


続いて、参考サイトEを見てみましょう。

While the logline can serve you well both in written form and verbal form by getting the attention of producers, readers, agents, and anyone else you may want to interest ? you also need to take into account the benefit a strong logline has on yourself as a writer. Screenwriting guru Blake Snyder has often referred to the log line as the DNA of your film, and I believe that statement to be very true. If you have a perfectly constructed logline that genuinely taps into the essence of what your film is all about, then its meaning should resonate on every page of your script. If you’re ever stuck writing a scene, you can always look to that logline and it will push you in the right direction. It helps you to maintain focus on what the core of the story is really about and ultimately, your final screenplay should be a detailed extrapolation of it.

曰く……ログラインは、単なる売り込みのツールではない。脚本家が脚本を書く時にも役立つはずだ。ログラインとは<映画のDNA>であり、もしそのログラインが優れていれば、脚本のすべてのページがログラインに基づくものになっているだろう。もし執筆に行き詰ったならログラインに立ち戻ればいい。ログラインが正しい方向に導いてくれる


<2>

要するに、【ログラインは<売り込みのツール>だが、それだけではない。執筆時にも使えるのだ!】というわけですね。


ログラインには目的が2つある。だから混乱を招く


<1>

ここまでご説明してきた通り、ログラインには目的が2つあります。

・目的1:アイデアを売り込むためのツール(プロデューサーやエージェントに「ほぉ!これは面白いアイデアだ。脚本を読んでみよう」と思わせることができたら目標達成)

・目的2:執筆時に役立つツール


そして、<前者が主、後者が従>後者はおまけ程度に認識しておくと間違いないと思います。


<2>

で、ですね。

この<目的が2つある>というのが厄介なところなんですよ。


だって、初学者はそんなことは知りませんからね。ログラインに関する文章を読んでいると、「えっ。さっきと言っていることが違う気がするんだけど……結局、売り込むためのツールなの?自分用の執筆ツールなの?」と混乱してしまうのです。

例えば、私は初めて「SAVE THE CATの法則」を読んだ時にかなり混乱しました……。


今後ログラインに関する文章を読む時には、「はて。この文章では、ログラインという言葉をどちらの意味で使っているのだろうか?<アイデアを売り込むためのツール>という意味だろうか?それとも<執筆時に役立つツール>?あるいは両方?」と見定めることをお勧めします。



続きはこちら

---🌞---

関連

---🌞---

最新情報はTwitterで!

---🌞---

 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

この記事が参加している募集

最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したサポートはすべてコンテンツ制作に使います!