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初戦で圧勝→調子に乗る→ところが2戦目では大苦戦→「じつは初戦ではいくつかの偶然が重なり、その結果として圧勝できたのだ」と明らかになる→初戦と同じステップを踏むことでどうにか勝利する

鳥子「あれ……?」
空魚「『あれ……』じゃないよ!効かないじゃん!」

アニメ「裏世界ピクニック」(第1話)


◆概要

【初戦で圧勝→調子に乗る→ところが2戦目では大苦戦→「じつは初戦ではいくつかの偶然が重なり、その結果として圧勝できたのだ」と明らかになる→初戦と同じステップを踏むことでどうにか勝利する】は「戦闘」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「裏世界ピクニック」(第1話)

▶1

本作の舞台は「裏世界」。私たちには到底理解し得ぬ魑魅魍魎がはびこる異世界だ。

空魚(大学2年生の女性、主人公)は、パートナーの鳥子(空魚と同い年の女性)と共にそんな世界を探索している。


▶2

第1話、空魚と鳥子は「くねくね」なる化け物と2回戦う。本記事ではこの戦いに注目したい。


・Step1:第1話冒頭、空魚と鳥子はくねくねに遭遇した。2人は精神攻撃を受けつつも、岩塩の塊をぶつけて見事勝利。そして、くねくねがドロップしたお宝をゲットした。

・Step2:その後、2人は元の世界に無事帰還。

・Step3:1週間後、鳥子が言った「くねくねを狩りにいこう!」。曰く、もうくねくねの倒し方はわかっている。岩塩の塊をぶつければいいのだ。楽勝だ。さぁ、お宝をゲットして稼ごうよ!

・Step4:というわけで第1話後半、2人は再び裏世界へ。そしてくねくねを発見。早速鳥子が岩塩の塊を投げつけた。ところが……えっ!?効果がない!くねくねは平然としている。

・Step5:間もなく、くねくねの精神攻撃が始まった。2人は大ピンチだ。

・Step6:空魚は考える。必死に考える。なぜ効かない?なぜ倒せない?考えに考え、そして彼女は前回の戦いと今回の戦いとの相違に気がついた。じつはくねくねを倒すには、「空魚が精神攻撃を受けて発狂しかける → その上でくねくねを目で見て認識する → 鳥子が物理的にくねくねを攻撃する」というステップを踏む必要があったのだ。前回の戦いでは、偶然にもこの条件が満たされていた。だから勝てた。そう、重要なのは岩塩の塊ではなかった!

・Step7:というわけで、2人は上記ステップを踏むことで今回もどうにか勝利。お宝をゲットしたのだった。


▶3

以上をまとめると……

・1:主人公は恐るべき敵に遭遇する。ところが、意外にもあっさりと勝利。かくして彼は調子に乗る。

・2:2回目の戦い。主人公は余裕しゃくしゃくだ。だが今度は勝てない。主人公は一転窮地に陥る。

・3:主人公は考える。なぜ倒せぬのか?必死に考える。そして気がついた「じつは前回の戦いは幸運に恵まれていたのだ。いくつかの偶然が重なった結果として勝利できたのだ」と。

・4:主人公は「前回の戦いで偶然満たされていた条件 = 敵を倒す方法」を見出す。そしてそれにしたがって行動し、勝利を収めた。


▶4

この展開、じつにいいと思うのだ。

というのも……

・魅力1:「1回目の戦いではあっさり勝利したのに、2回目の戦いでは窮地に陥る」という流れがいい。「えっ!今回は攻撃が通じないの?どうして!?」と読者・鑑賞者にワクワクしてもらえるだろう。

・魅力2:1回目の戦いでは「強敵相手にスパッと格好よく勝利する主人公」を描ける。

・魅力3:一方2回目の戦いでは「窮地に陥りながらも希望を捨てず、創意工夫の末に勝利する主人公」を描ける。1回目の戦いとはまた違った格好よさであり、読者・鑑賞者を魅了できるだろう。

・魅力4:さらに、2回目の戦いは単純なバトルではない。「前回の戦いで偶然満たされていた条件 = 敵を倒す方法」を探す戦い、言わばミステリの様相を呈す。一口に「敵との戦い」といっても1回目とはまったく異なるそれであり、読者・鑑賞者を飽きさせることがない。

・魅力5:1回目の戦いで勝利した後、主人公が調子に乗るのもいい。だって人間味があるではないか!多くの読者・鑑賞者は主人公に親しみを感じてくれるだろう。


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