相手の言葉の「含意・ニュアンス」を、わざと無視して回答する ~映画「プラダを着た悪魔」の場合
◆概要
【相手の言葉の「含意・ニュアンス」を、わざと無視して回答する】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「プラダを着た悪魔」
▶1
本作の主人公は、アンドレア(若い女性)。
彼女は
・Step1:ジャーナリスト志望だ。知的で文化的な雑誌で働きたいと考えている。
・Step2:しかし、まずは出版業界で経験を積むことが重要だ。というわけで大学を卒業後、彼女はファッション誌の編集部に就職し、編集長のアシスタントとして働き始めた。
・Step3:仕事は忙しい。猛烈に忙しい。分刻みのスケジュールが夜遅くまで続く。アンドレアはたくさんの失敗を重ねつつも、どうにか食らいついていった。
そんなある日のことだ。
・Step4:アンドレアに会うべく、父が田舎から出てきた。
・Step5:久々の再会を喜ぶ2人。
・Step6:だが父はすぐに表情を硬くして「お前が心配なんだよ」。そう、父は娘アンドレアを心配して会いに来たのだ。
・Step7:父は続けた「夜中の2時にオフィスからメールを送ってくるし、給料も最悪だ。それに執筆もしていない」。
・Step8:アンドレアが笑う「そんなことないわ。メール書いたでしょ?」。
・Step9:父はやれやれという感じで微笑んでから、「ジャーナリストになるためにスタンフォード大学の法科大学院を断っておきながら、ジャーナリストの道に進んでいないのはどうしてだ?」
・Step10:アンドレアが言う「パパ、私を信じて。いまの仕事を頑張ればあらゆる扉が開くのよ!」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「執筆もしていない」という父のセリフ、そして「そんなことないわ。メール書いたでしょ?」というアンドレアのセリフである。
父の言う「執筆」が「ジャーナリストとしての仕事」を意味しているのは明らかだ。「お前、ジャーナリストになりたいと言って就職したのにちっとも原稿を書いていないだろ?どうなっているんだ?大丈夫なのか?」と心配しているわけだ。
そんな父の想いは無論アンドレアに伝わっている。
ところが彼女は「そんなことないわ。メール書いたでしょ?」とわざとボケてみせた。
その結果、何が起きたか?
場の雰囲気が和んだ。
アンドレアはおそらくは父想いの娘。少しでも父の心配・不安を緩和したいと考え、【相手の言葉の「含意・ニュアンス」を、わざと無視して回答する】という技法を使ったのだろう。
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