見出し画像

相手が口にした「名言・格言」にいちゃもんをつけることで、反論したり皮肉ったりする ~映画「セブン・サイコパス」の場合

復讐反対派のハンス「ガンジーの言葉を借りれば、『”目には目を”では世界中のすべての人が盲目になるだけだ(An eye for an eye leaves the whole world blind.)』。私はこの言葉を心から信じている」

復讐賛成派のビリー「いや、そうはならないね。だって最後に1人だけ片目のやつが残る。盲目の人はどうやってそいつの目を潰すんだ?片目のやつはただ走って茂みに隠れればいい。それだけで逃げ切れる。つまりガンジーは間違っている!」

映画「セブン・サイコパス」




◆概要

【相手が口にした「名言・格言」にいちゃもんをつけることで、反論したり皮肉ったりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「セブン・サイコパス」

▶1

本作の主要キャラの1人・ビリー(40代頃の男性)。

彼は、サイコパスである。かなり過激な思想の持ち主だ。また、他人の気持ちがよくわからないらしく、突飛な言動で周りを驚かせることが少なくない。


いろいろあってある日、

・Step1:ビリーが、友人ハンスとドライブしていた時のことだ。

・Step2:ハンスはかつて娘を殺され、犯人に復讐した経験がある。その彼が自らの過去をふりかえって、言った「復讐は虚しいことだ」

・Step3:ハンス曰く「ガンジーの言葉を借りれば、『”目には目を”では世界中のすべての人が盲目になるだけだ(An eye for an eye leaves the whole world blind.)』。私はこの言葉を心から信じている」

※補足:これはガンジーが言ったとされる格言である。「復讐や暴力の連鎖は誰も幸せにしない。全員が不幸になるだけだ → 非暴力や寛容さこそが重要だ」という意味。


一方、

・Step4ビリーは復讐賛成派である。やられたらやり返すのが当然じゃないか!

・Step5:というわけで、彼は反論を開始した「いや、そうはならないね。だって最後に1人だけ片目のやつが残る。盲目の人はどうやってそいつの目を潰すんだ?片目のやつはただ走って茂みに隠れればいい。それだけで逃げ切れる。つまりガンジーは間違っている!」。――要するに「交互に目を潰していけば、最後には『盲目の人 = 再起不能なほど大ダメージを受けた人』と『片目の人 = ダメージは受けつつもまだ余力がある人』に分かれる。全員が揃って全盲になるわけではない」「したがって、いち早く相手をコテンパンに叩き潰すべきなんだ」と言っているわけだ。


▶2

ご注目いただきたいのは、「いや、そうはならないね。だって最後に1人だけ片目のやつが残る。盲目の人はどうやってそいつの目を潰すんだ?片目のやつはただ走って茂みに隠れればいい。それだけで逃げ切れる。つまりガンジーは間違っている!」というビリーのセリフである。

要するに「復讐は虚しいだって?んなわけあるか!やられたらやり返すべきだ!」と反対したわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白くない。

そこで【相手が口にした「名言・格言」にいちゃもんをつけることで、反論したり皮肉ったりする】という技法の出番だ。


改めて一連のやりとりをご覧いただきたい。

まずはハンスが「"目には目を"では世界中の人が盲目になるだけだ」と偉人の格言を引用した。それに対してビリーは「いや、そうはならないね」と屁理屈をこねた。

「復讐は虚しいだって?んなわけあるか!やられたらやり返すべきだ!」と言うのと比べて、ぐっと印象的でウィットに富んだセリフになったといえるだろう。


◆他のアイデアも見る👀

この記事が参加している募集

最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したサポートはすべてコンテンツ制作に使います!