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【変身って何?】魔法少女の変身論|「ババア・イン・ザ・魔法少女」

前回までのあらすじ

 三葉と清水は面白マンガを発見し、幸せな時間を過ごしたのだった!詳細は第1回第2回(本記事の前に読むことをお勧めします)。

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キドジロウ「ババア・イン・ザ・魔法少女」


※pixivでも同じマンガをご覧になれます(こちらの方が読みやすいのでお勧めです)。なお、「二子」はキドジロウさんの変名です。

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魔法少女の「成熟」と「若返り」

三葉「さて、第1回第2回に引き続き、『魔法少女』について考えてまいりましょう」

清水「承知しました」

三葉「今回注目するのは……魔法少女ものにおける『<変身>の意味』!」

清水「『<変身>の意味』ですか」

三葉「とても興味深いことに、本作の『変身』は、従来の『魔法少女もの』のそれとはまったく別物なんですよ」

清水「ほぉ」

三葉「そもそも伝統的な『魔法少女もの』における『変身』とは……」

清水「ふむ。『<変身>=<一時的な成熟>』、と」

三葉「ところが本作では、お婆さんが若い女性に変身する。つまり、『変身』が意味しているのは『一時的な若返り』。『成熟』とは真逆なんですよ

清水「なるほど」

三葉「これを上の図になぞらえて整理すると、以下のようになります」

清水「ふむふむ」

三葉「そしてこの逆転は、いまの時代を象徴しているといえるでしょう」

清水「なるほど……これは面白いですね」


【妄想】魔法少女になった“ババア”は何をするのか?

三葉「それでは最後に、本作の今後の展開を妄想してみましょう」

清水「はい」

三葉「作者のキドジロウさんが実際に続編をお描きになるかわかりませんが……先ほどの図を踏まえて考えると、このあとのストーリーのアイデアが浮かんできますね」

清水「ほぉ」

三葉「上図でご説明した『魔法少女が一時的に<若くてかわいい自分>に戻って、高齢者のままでは難しかったことを成し遂げる』の部分ですが……パッと思いつくのは恋ですよね

清水「ふむ!」

三葉「そして、『魔法少女もの』には以下のようなテンプレ的展開(複数の作品で見られるあるあるネタ)があります

三葉「このテンプレに則ることにしましょう」

清水「ふむふむ」

三葉「すなわち……魔法少女として活躍する中、お婆さんはある男性と出会う。若くてハツラツとした好青年です。お婆さんはやがて恋に落ちる

清水「ほぉ」

三葉「このあたり、お婆さんのワクワクソワソワ具合をしっかり描きたいですね……って私が描くわけではありませんが」

清水「ふむ」

三葉「例えば妙にオシャレに目覚めたり、セサミンを飲むようになったり、昔読んだマンガを引っ張り出してステッキの振り方を研究したり、『最近敵の出現が少ないようだけれど……パトロールでもしましょうか』なんて言い出したり……まぁ、読者がニヤニヤしてしまうようなエピソードはいくらでも盛り込めそうです」

清水「確かに」

三葉「しかし……」

清水「……」

三葉青年は変身後のお婆さん、すなわち、若くてかわいい乙女に恋してしまう。お婆さんは悩む。本当の自分を愛してほしい。しかし変身が解ければ……そこにいるのは老婆。『青年から愛されたい』なんて無茶な願望だということはよくわかっている。でも、でも……」

清水「うーむ……お婆さんには幸せになってほしいが……厳しいか……」

三葉「さて、ここで『魔法少女もの』でよく見られるテンプレ的展開をもう1つ思い出してみましょう」

三葉「このテンプレに則るならば……やがてお婆さんは、『普通のお婆さんであることも悪くない』、『寧ろ、無理に若返る方が不自然ではないか』と考えるようになる

清水「ふむ」

三葉そして決心する。変身前の姿で青年に会おう、と。そしてこれを最後にしよう、と」

清水「ううっ、お婆さん……」

三葉お婆さんは待ち合わせ場所へ向かう。青年が立っている。お婆さんが駆け寄……ろうとするが、足がもつれて上手く走れない。よろよろと近づく。青年が振り返る。するとそれは……」

清水「……」

三葉なんと!お爺さんだったのです!

清水「……ん?」

三葉お爺さんも魔法の力で若返り、青年になっていたわけですね。そして丁度その日、お爺さんも本当の姿をお婆さんに示し、真実を伝えようとしていたのだった……という次第です」

清水「ふーむ」

三葉「真実を知った2人は手に手を取り合って大喜び。その後、2人は仲よく暮らしましたとさ。めでたしめでたし」

清水「なるほど」

三葉「本作の特徴を活かしつつも、『魔法少女もの』的なストーリー展開になっているのではないかと自負しております。どうです?」

清水「うーむ……ややご都合主義が激しい気もしますが……私としては、お婆さんが幸せそうなのでもうそれだけで満足です」

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)

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