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よく似たキャラが登場する場合、「A氏といる時には2人の共通点を、B氏といる時には2人の相違点を強調する」と書き分ける

おやっさん「僕もねぇ、昔はねぇ、命知らずの冒険よくしましたよー!名のある山はほとんど制覇したね。えーとね、チョモラマンとか」
一条「……」
おやっさん「チョモラマン大変だったなぁ!」

特撮ドラマ「仮面ライダークウガ」(第5話)


◆概要

【よく似たキャラが登場する場合、「A氏といる時には2人の共通点を、B氏といる時には2人の相違点を強調する」と書き分ける】は、創作の技術の1つである。


このテクニックには2つのメリットがある。

第1に、エピソードを作りやすくなるはずだ。何しろ、「A氏といる時には2人の共通点が強調されるエピソードを、B氏といる時には相違点が強調されるエピソードを作ろう」と意識すればいいのだ。ルールが明確だから創作が捗る。

第2に、読者・鑑賞者が2人の共通点と相違点を理解しやすくなるはずだ。もしも1つのエピソード内で共通点・相違点を同時に描いてしまうと、両者が打ち消し合い、読者・鑑賞者の頭の中には何も残らないおそれがある。だからこそ、「A氏といる時には2人の共通点を、B氏といる時には2人の相違点を強調する」と書き分けるべきなのだ。


◆事例研究

◇事例:特撮ドラマ「仮面ライダークウガ」(第5-6話)

▶1

五代(主人公)と一条(副主人公)はよく似たキャラだ。「バディもの」では正反対のキャラがタッグを組むことが多いが、本作は違う。よく似た2人がタッグを組むのである。

とはいえ、2人は別々の人間。もちろん相違点だってある。

そして第5-6話では、2人の共通点と相違点が見事に書き分けられている。今回は、この書き分けに注目しよう。


▶2

まず、桜子(五代の友人、古代文字の専門家)の前にいる時、2人の言動はそっくりだ

よく言えば、真面目で一所懸命。悪く言えば、<正義>のためなら自分のことも周りのことも平然と犠牲にしてしまう。そして、他人の気持ちに鈍いところがある。

桜子はそんな2人にイライラ、ムカムカ、ヤキモキさせられっぱなしだ


▶3

一方、おやっさん(五代の育ての親)の前では、2人の相違が明確になる

おやっさんはかなりとぼけたキャラだ。本気なのか冗談なのかわからぬことばかり口にしている。また、勘違いや記憶違いも多い。五代は、そんなおやっさんと波長が合うらしい。一緒になってボケたり、ツッコみを入れたりしている。

対する一条はクソ真面目な男。彼はおやっさんが苦手なようだ。おやっさんと2人きりになると明らかに言葉数が少なくなるし、しばらくして五代がやってきた時には「ハァ、助かった」という安堵の表情を浮かべていた。

また、おやっさんがチョモランマを「チョモラマン」と言い間違えた時には面と向かって指摘せず、もちろんツッコんだりもせず、後から「チョモランマだと伝えておいてくれ」と五代に依頼している。恥をかかせてはまずいと思ったのか……いや、誤りを指摘するとさらに面倒なことになりそうだから指摘しなかっただけかもしれない。


▶4

以上をまとめると……

・桜子と共にいるシーンでは:2人の共通点が強調されている

・おやっさんと共にいるシーンでは:2人の相違点が強調されている


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