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「キャラAが1人だけ少し高いところに座っている」という演出によって、「A=広い視野で客観的に物事を捉え、仲間に気づきを与えるキャラ」と暗示する ~アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の場合

侑「気になってたんだけど、同好会ってなんで廃部になったの?」
侑「かすみちゃんもせつ菜ちゃんもファンに届けたいものがあるんだね」

アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」(第2話)




◆概要

【「キャラAが1人だけ少し高いところに座っている」という演出によって、「A=広い視野で客観的に物事を捉え、仲間に気づきを与えるキャラ」と暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」(第2話)

▶1

本作の主要キャラの1人・かすみ(高1女子)。


彼女は、

・Step1:高校の「スクールアイドル同好会」の一員だ。かわいいものが大好きで、「アイドルたるもの何よりもかわいくなければならぬ!」という信念を抱いていた。

・Step2:ところが、部長のせつ菜(「せつな」と読む)は格好よくて情熱的なパフォーマンスを好む「パッション」の人だった。

・Step3:ライブが迫る中、せつ菜の指導にも力が入る。そして知らず知らずの内に「パッションあふれるアイドルになること」をかすみに強要してしまった。

・Step4:かくして、かすみはキレた。私は「かわいい」がやりたいの!部長にはついていけない!!

・Step5:これをきっかけに同好会は解散することになる。


だが、

・Step6かすみは諦めない。何が何でもスクールアイドルになるのだ!

・Step7:というわけで、かすみは新メンバーの歩夢、そしてマネジャー兼プロデューサーのような立場から関わることになった侑と3人で活動を再開した。

・Step8:かすみは張り切る。張り切りまくる。

・Step9:しかしある日、侑と会話する中で……うっ!かすみは気がついた。いつの間にやら彼女は、「かわいいアイドルになること」を歩夢に強要してしまっていたのだ。私、自分がされて嫌だったことを人にしちゃってるじゃん……。彼女は顔を青くする。


▶2

Step9、かすみは侑と言葉を交わす。そして同好会が廃部に至った経緯や、自身の信念について話す中で、自らの誤りを自覚する……。


ご注目いただきたいのは、このシーンの侑のふるまいだ。

彼女は「同好会ってなんで廃部になったの?」などと質問を投げかけ、かすみの考えや気持ちを聞き出す。さらに、「かすみちゃんもせつ菜ちゃんもファンに届けたいものがあるんだね」とかすみの言葉を整理する。その結果として、かすみは自身がせつ菜と同じことをしていると自覚するに至る――。


そう、このシーンの侑はまるでカウンセラーかメンターだ。

とはいえ、おそらく彼女は意識してカウンセラーやメンターになろうとしているのではない。「侑=マネジャー兼プロデューサーであり、アイドル志望ではない」というのが重要なのだろう。アイドルになるべく一所懸命のかすみや歩夢とは違う。だから、広い視野で客観的に物事を捉えることができるのだ


そして、侑のこの特別さは視覚的にも表現されている

このシーンでは侑、かすみ、歩夢の3人がベンチに腰かけているのだが、ベンチは階段状になっており、かすみと歩夢は1段目、侑だけは2段目に座っている。つまり、1人だけ少し高いところにいるのだ。

「広い視野で客観的に物事を捉え、かすみに気づきを与える」という侑の役柄に相応しいポジションと言えるだろう。


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