「極端に劣ったもの」や「下品なもの」など、比較対象として持ち出した時点で失礼にあたるものと比較することで、強く叱ったり批判したりする ~映画「帰ってきたヒトラー」の場合
◆概要
【「極端に劣ったもの」や「下品なもの」など、比較対象として持ち出した時点で失礼にあたるものと比較することで、強く叱ったり批判したりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「帰ってきたヒトラー」
▶1
本作の主人公は、ヒトラー。
かのナチスドイツの総統である。
理由は一切不明だが――
・Step1:敗戦寸前の1945年から、2014年にタイムスリップしてきたヒトラー。
・Step2:彼は現在のドイツ社会に戸惑い、ショックを受ける。
・Step3:だがその後、各地を旅したり、様々な人の声を聞いたりする内に、いまのドイツがどうなっているのか、どのような問題を抱えているのかを理解していった。
そんなある日、
・Step4:ヒトラーが、ネオナチの青年たちに会いに行った時のことだ。
・Step5:ネオナチといえば、ヒトラーやナチスの思想を受け継ぐ政治運動・組織である。ヒトラーはワクワクしていた。
・Step6:ところが実際に会ってみると……こっ、こいつらには信念がない!覚悟がない!腰抜けだ!
というわけで面会後、
・Step7:ヒトラーは怒り狂った「あいつらはナチズムの継承者ではない!クズだ!クズだ!クズの中のクズだ!」「第四帝国の建設だと?あいつらにはイケアの棚も組み立てられんわ!」。
※補足:「第四帝国」は「ナチスドイツ(=第三帝国)の後を継ぐ国家」という意味。つまり「第四帝国の建設」とは「ヒトラーやナチスドイツの思想を継承し、偉大なるドイツを再び作り上げるぞ!」という意味である。
▶2
ご注目いただきたいのは、「第四帝国の建設だと?あいつらにはイケアの棚も組み立てられんわ!」というヒトラーのセリフである。
要するに「やつらはただのクズ!あいつらにナチスドイツの復活なんて無理だ!」と怒り狂っているわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白くない。
そこで【「極端に劣ったもの」や「下品なもの」など、比較対象として持ち出した時点で失礼にあたるものと比較することで、強く叱ったり批判したりする】という技法の出番だ。
改めてヒトラーのセリフをご覧いただきたい。
「第四帝国の建設だと?あいつらにはイケアの棚も組み立てられんわ!」。
そう、彼は「イケアの棚の組み立て = 誰もが簡単にできること」を比較対象として持ち出すことで、ネオナチの青年たちを罵っているわけだ。
「やつらはただのクズ!あいつらにナチスドイツの復活なんて無理だ!」を「第四帝国の建設だと?あいつらにはイケアの棚も組み立てられんわ!」に置き換えたことで、ユニークなセリフになったといえるだろう。
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