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【週末投稿】つれづれ有用植物#239(サルトリイバラ科サルトリイバラ属:シオデ)

北海道から九州の山野に自生している雄雌異株のツル性植物です。
アイヌ語のシュウオンデが訛ってシオデとなった説 が有力なのだそう。
漢字表記では「牛尾菜」と書きます。由来は「若い茎の先に巻きひげが集ま った様子を牛の尾に例えた」と言われています。
※ユリ科に分類している所もあります(本稿ではAPGⅣ体系を採用)。

群落を形成することはなく、排水が良く落葉が堆積した林間に分散して自生しますが、発生地が限られているため見つけるのが難しと言われています。

葉は互生して、長さ5〜15cmの卵状長楕円形をしており5〜7脈があります。やや厚くて光沢があります。葉柄は長さ1〜2.5cmくらいで、基部に托葉の変形した巻ひげがあり、これで絡みつきながら成長してゆきます。

赤みを帯びるものや緑色のものなどの変異もあるそうです。
そして7〜8月には小さな可愛らしい緑色の花を咲かせます。

【雄花:花被片がそり返り、葯が線形で曲がる】
【雌花】

果実は 1cm くらいの液果が10個程度に果房状に付き、それぞれに2個の種子が入っています。秋に成熟して黒色になります。

【シオデの果実】

サルトリイバラ属の特徴的な形状です。
同じ属のサルトリイバラは、こんな感じの実を付けます(実の規模によりシオデの果実の様な果房状になります)

【サルトリイバラの果実】

晩秋には地上部が枯れて地下部に新たな芽を形成し、越冬します。
自生地で地面に落下した種子は、翌春に地下で発芽し、発根してそのまま地中で越冬し、地上に芽が出るのは翌々春になります。

実はシオデは人気のある山菜「山菜の女王」とも呼ばれています。
初夏に若芽の太くて長い部分を採ります。
形状やアスパラガスに似た風味と歯ざわりがあり、クセが無く美味しいといわれ「山のアスパラガス」とも呼ばれています。

【シオデのお浸し】

アスパラガス同様にマヨネーズ和えで食べる他、茹でてからお浸しや、ゴマ和え、天ぷら、油炒めなどで人々に楽しまれています。

■知っていますか?山のアスパラガス「シオデ」(12分強)
田舎暮らしシェフあしぇっと八ヶ岳TV 様

株養成期間が長くて、収量が低く、収穫期間も短いため、営利栽培はあまり多く行われていません。しかし通販で苗などが販売されており、ファンを魅了している様です

■山菜採り初心者が【シオデ】を採って食べてみた(26分)
シゲキックス ジーマ 様

サルトリイバラ属の近縁種である「タチシオデ」というのも同様に山菜として利用されています。シオデに比べると太さが1/3~1/5位と細くて成長が早く、地面から茎だけを出して立っているように見えるそうで、山菜としては区別されない事もある様です。さらに、雄しべの葯が楕円形、花被片が平開、葉の裏面が粉白色、花期が5〜6月、北海道には分布していない等の違いがあります。

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