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【週末投稿】つれづれ有用植物#27(クスノキ科:ワニナシ属 アボカド)

昭和から平成になった頃から、だいぶ日本の食文化に溶け込んだアボカド。
色が爽やかで「森のバター」とも呼ばれる、植物性脂肪分が豊富な実です。そのため実が充実するまでに、多くの時間が必要で果実の成熟には10か月から15か月要するようです。

比較的大きな種を有するアボカドは、なんとアメリカ大陸で既に絶滅した巨大動物に合わせて「共進化」したものだと考えられているのだそうです。種を超えて、共に大きくなる現象、不思議ですね。

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さてこのアボカド、水栽培で種から芽を出させて、鉢栽培されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。葉の色が綺麗ですので観葉植物として楽しめます。関東以南では種から育てた(実生)の露地植えアボカドの木が、結構大きくなっているお庭や鉢植えを見かけます。いつか実を付けるだろうと期待している方も多いのではないでしょうか。

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しかし、残念な事をお知らせしなければなりません。
実生の木は、花をさかせるまでには気の遠くなる時間が必要です。園芸書には実生は4~6年で結実すると記載を見る事がありますが、日本では数十年たってもなかなか開花しません。ものによっては50年以上してから開花し始めるものまであります。

そのため通常は、開花経験のある枝を耐寒性のあるアボカド台木に接ぎ木した苗を使って栽培します。これらの接ぎ木苗は数年で開花します。
国内通販で販売されているので、興味のあるかたはご購入してみるのも良いと思います。「ゆす村農園」さんのアボカド苗は、品種管理がしっかりしてますよ。

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さて、日本国内のお店で売っているアボカドの品種は、「ハス種」が多いです。品種によっては耐寒性に違いがありますので、冬に零下になる地域は耐寒性を気にした品種にするか、温室栽培にするのが良いでしょう。ちなみに、ハス種は耐寒性が無いタイプです。
耐寒性があるといっても幼苗は耐寒性があまり無い様なのである程度大きくするまでは、暖かい所で冬越しした方が無難です。

アボカドは雄花と雌花が出るタイミングが違います。
午前と午後により開花するAタイプ(午前♀、午後♂)とBタイプ(午前♂、午後♀)の2種類があります。これらを組み合わせて育てると、結実がより確実になります。

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同じクスノキ科で属が違いますが、タブノキという植物があります。
こちらは直径1cmくらいの実を付け、アボカドに近い味がするそうです。こちらは実は小さいですが、線香の材料(つなぎ材としてのタブ粉)や染料として利用されています。クスノキ科の植物はいろいろと魅力がいっぱいありそうですね。

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