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【週末投稿】つれづれ有用植物#87(イネ科マコモ属:マコモ)

田んぼの耕作放棄地の有力な植物として、最近注目を集めているのがイネ科の「マコモ」です。栽培は古く、稲作が始まる前から人との関わりが有った様です。古事記や日本書紀にも「マコモ」が登場するほど食用や薬用として用いられ親しまれていた様です。

マコモは水辺に群生するイネ科の多年草で、別名「ハナガツミ」と呼ばれます。東アジアを原産とし、葦(あし)の仲間の植物です。日本では、全国の川や湖の水辺で見ることができましたが、現在は部分的に生息している様です。

穂は細かく枝分かれして小さく、2m以上の草丈まで成長します。
夏から秋にかけて開花します。上の穂が雌花で淡い黄みどり色をしており、下の穂が紫色をした雄花です。穂は落ち易く風に乗り四方へ飛散します。葉は刈って「むしろ」に利用されました。

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さて、このマコモと土壌菌の共生関係が面白いのです。
黒穂菌という菌糸の一種が、このマコモに寄生すると、新芽が通常以上に肥大します。この肥大した部分「マコモダケ」と呼び食用にします。
黒穂菌にはいくつかの種があり、大麦や裸麦に寄生するもの、トウモロコシに寄生するもの等があります。いずれも植物のある部位を肥大させますが、こちらは病気に感染した扱いになります。

マコモダケの収穫は秋です。
新芽の根元がじゅうぶんに肥大したらすぐに収穫します。収穫時期には「旬」があり、時期が遅れると、組織内に真っ黒な黒穂菌の胞子が斑点状に混じり、食感・食味も落ちて、商品価値は失われます。
しかしこれは食用に関する事で、黒い顔料(マコモズミ)として、お歯黒、眉墨、漆器などに用いられてきました。

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新鮮な「マコモダケ」は生でも美味しくいただけます。癖がなく、僅かな甘みとヤングコーンの様な香りがするそうです。またさっと茹でたり、グリル焼きや、炒めものにも向いています。

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茎を粉末にした「マコモ粉末」は、水またはお湯で溶かしてマコモ茶として利用したり、入浴剤として利用される方もいらっしゃいます。種はワイルドライスとして、古くから食用とされていました。近年では、スローフード運動の一環としても注目されており、商品化もされている様です。

マコモには水質浄化の働きを持ち、多くの生物の生育環境を作るといわれています。柔らかい芽や茎の回りは餌場、産卵場所、隠れ場所として様々な水棲生物が利用します。冬は白鳥などの水鳥が餌をついばみにやってきます。

マコモも優れた植物なんですね。
PinguBanana はこの不思議な植物に魅せられて、苗を買ってしまいました。とさ。

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