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【週末投稿】つれづれ有用植物#64(コウヤワラビ科クサソテツ属:クサソテツ)

染井吉野の開花が終わり、下草が生え始める頃に先に光合成を独り占めしようと、我先にシダ類独特の鮮緑色の巻葉(栄養葉)を出すので、とても目立ちます。地域によって呼び方が違うのですが、コゴミ、コゴメ、ガンソウなど呼ばれています。

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山菜は面白いもので、該当の山菜が大好きでその生態に詳しい人は、季節になると、散歩がてらにいつもの生えている場所をチェックしに行ったり、何かの移動途中でも、不意にお目当ての山菜から話しかけられて、パッと目に入ってくる事もあります。普段から気に掛けている事が大きいのでしょうね。知らない人達にとっては、ただの「雑草」ですから視界に入っても、ただの風景の一部として見過ごされてしまいます。

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さてこのクサソテツ、日本人には古くから馴染み深い山菜のひとつでした。5月上旬から6月中旬に渦巻状に丸まった幼葉を採取して、お浸し、サラダ、胡麻和え、天ぷらなどに利用されてきました。他の山菜と違い、アクが無いために調理が簡単で少量であれば生でも食べられます。

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林の中にはほとんど生えず、山道の道端や崖の下など水はけがよく湿った比較的陽当たりの良い斜面などを好みます。大抵は群生しているのである程度の収穫が望めるのがうれしいです。草が生える前に出揃うので見つけやすいですが、成長が非常に早いので、その場所ごとに収穫期間が短く限られるため、ある程度事前の偵察が必要です(笑)。

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最近は、山菜を愛する園芸家の為に通信販売などで、クサソテツの苗も入手できる様になりましたので、ぜひ活用して楽しんでみるのも良いかもしれませんよ。

似た植物に、キヨタキシダ(イワデンタ科ヘラシダ属)の若芽の「赤コゴミ」というものがあります。生え方もクサソテツと違い、群生せず一本ずつ生えていることが多く、一度に沢山収穫しにくいそうです。そのため「イッポンコゴミ」とも呼ばれています。茎が鈍い赤色で、鱗片のようなものもくっついています。赤コゴミに対して、クサソテツを「青コゴミ」と呼びます。

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【赤コゴミ、イッポンコゴミ】

青こごみに比べて赤こごみの方が、クセが少なく柔らかいので美味しいと感じる人が多いそうですよ。

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