ルポ【パレスチナ難民キャンプ④ [試合の日]】
皆様こんにちは。
前回の投稿は下記のリンクからご覧になれます。
ヨルダンに春が訪れました。待ちわびた暖かな日差しに歓喜する一方で、花粉症の身にとってはつらい時期でもあります。
(一見すると桜のようにも見えますが、これはアーモンドの花です。ヨルダン国内では春になると至る所で目にすることができます)
実はこのところ、難民キャンプへ訪問できていません。
その理由として、学校の冬休みと重なったこともありますが、いつも訪問にあたって帯同してくれていたムハンマドさんの体調が芳しくないことが大きな理由です。
この地区は、国内に点在する難民キャンプのなかでも特に治安面が問題視されており、私が所属しているボランティア団体の職員でさえもキャンプ内部には入ったことが今までないようです。
訪問にあたってリスクは避けたいということで、しばらくの間お休みを頂いていました。大事に至るほどのものではないようですが、彼の体調が快方に向かうことを心から祈るばかりです。
【2018年11月17日(土)】
先週は大雨の予報が出ていたことから活動は中止となった。終日、自宅で待機していたのだが、自分の住んでいるアンマンの地区では一滴も降ることはなかった。
この日も7:30にバカアのバス停にてコーチ陣と合流し、活動先へと向かった。
学校到着後、今日は外部のチームとの試合ということもあって短時間のミニゲームをはじめとした軽めの練習を行った。
(試合中の一枚)
試合は前半に男子同士、次いで後半に男子対女子というような形で実施された。
男子はルールを把握しているためこちらも審判業に専念できるが、女子の方はまだルールを理解しきれていない子が多いことから適宜教えつつプレーしなければならない。また、男子以上に力の差が大きいため、時には劣勢のチームに助っ人として一時的に参加することもある。
また、私が試合に参加するにあたって心掛けていることが2つある。
① ルールを守らせること。
② ただ自分がシュートを決めて勝たせるのではなく、あくまでもアシスト側に回って子どものいいプレーを引き出せるようお膳立てをすること。
(例えば自分が相手を引きつけてフリーになった子にパスを出したり、サイドから上がってゴール前にボールを落としたりするなど。)
「もっとうまくなりたい」「また勝ちたい」というような高いモチベーションを維持するための方法として、「より多くの成功体験」を味わうことが一つとしてよく取り上げられる。そのため、そういった経験ができるような環境を子ども達に提供できるよう常に意識している。
私がクラブにコーチとして参加した当初は、試合に負けても笑っているような子どもが多かったが、徐々に「悔しい」「勝ちたい」というような姿勢や感情が随所に見られるようになった。これだけでも立派な成長である。
午前中の活動が終わった後はいつも通りマフムードさんのお宅で昼食を頂いた。その際、ムハンマドさんとマフムードさんに、難民の人達は健康保険証を持っているかどうか聞いてみた。
なぜいきなりこんな質問をしたのか、それはUNRWAのホームページなどでバカアに限らず国内のパレスチナ難民の多くは健康保険証を持っていないという情報を事前に得ていたためである。
「ヨルダン人は100%とまではいかないが大多数は所持している。しかし、パレスチナ難民の多くは健康保険証を持っていない。仕事を持っていない人も多くいる」
UNRWAの報告によると、バカアキャンプで暮らすパレスチナ難民の46%は健康保険を所持しておらず、そういったことから健康問題においては国内難民キャンプのなかでも低い水準にあるという。また、住民の32%が貧困ライン以下の収入での生活を余儀なくされており、そういったことも背景の一つとして考えられる。
実際の医療の現場も、今後機会を見つけて訪問してみたいと思う。
昼食後に土曜塾へ向かう道中、相変わらずゴミや排水で散らかっている通りを見て、キャンプ内でゴミ回収のシステムはあるのかをマフムードさんに尋ねてみたところ「ゴミ回収業者が毎日回収には来ている」ということだったが、「それにしても散らかっているなぁ」といった旨を伝えるとそれ以上の返事が返ってくることはなかった。
この日の土曜塾では英語とアラビア語の授業を行ったり来たりしながら見学させてもらった。そしてすべてのスケジュールをこなした後に、マフムードさんが勤めている学校を来週見学させてもらえないかを尋ねてみた。
「歓迎するよ。朝が早いから土曜日泊まりに来てもいいけど、どうだい」
快諾されたうえに難民キャンプ内でのホームステイという願ってもない提案を受け、二つ返事で訪問する旨を伝えた。
以上が11月17日の内容になります。
次回は土曜日の活動に加え、ホームステイ中に伺ったお話、日曜日の学校見学について綴っていきます。
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