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自尊心を買う1日。

今年の夏は、東京オリンピックだった。
2021年なのに東京2020オリンピックと言われていて違和感があった。今年の夏は、両親と沖縄旅行に行くはずだったのだけれど、世界的伝染病の蔓延があり中止にした。
これからあと何度、両親との夏を過ごせるのだろうか。平均寿命まではあと10年ほどあるが、『元気に足が動き歩けるうちに両親と旅行』には、あと何度行けるのだろうかと、キャンセルの手続きをしながら思った。

去年初めて両親と旅行に行った。いくまでの過程は、色々大変だった。両親も私も旅行という<贅沢>を自分たちだけのためにしたことがなかった。だから行くまでの心の葛藤と変化は大きかった。ただ結果今となっては、行ってよかったと思う。

さて本題。

自尊心とは、自尊心とは、自分で自分のことを誇らしく思う心を意味する。簡単にいうと、自分への高評価ということである。
WEBILO辞書より

<自分のことを誇らしく思うこと>なんていう『自慢話』や『鼻高々』との境界線が極めて難しい問題に踏み込むのは、なかなか難易度が高い。でも、近からず遠からずの考え方として『誰かから大切だ思ってもらう』ということは、決して難しいことではない。こちらは、妄想力とお金を使えば案外簡単に手に入る。

私は、定期的にとても落ち込む。『私には、荷が重すぎる』『私には、できるはずもないのに』『私はダメな人間だ』そう思う時期があるのだ。そしてそう思う時期がやってくると私は、休みを1日使って『誰かに私はが大切な人なんだ』と思わせてくれる事をする。誰かが、<私だけを見てくれる時間>・<私を大切に扱ってくれる時間>・<私が気持ちよくなるように一生懸命私に尽くしてくれる1日>を過ごすようにするのだ。

①お気に入りのワンピースにお出かけ用ハイヒールを履く
まずはお出かけ準備。シャワーを浴びて少し濃いめのお化粧を施しお気に入りのワンピースを着る。テンションが高まる香水を少しだけ足元につけて少し高めのハイヒールを履く。度付きのサングラスをかけ家を出る

②行きつけの美容室で朝予約を入れシャンプーセットをする
行きつけの美容室を予約しシャンプーとスキャルプ・トリートメント・セットをしてもらう。スキャルプとは、頭皮の毛穴の汚れをしっかり落とすケア。美容室に、カットやパーマではなく髪のお手入れだけに行くというのが、ちょっと私のテンションを上げる。美容師さんは、私だけのためにケアを頑張ってしてくれる。誰かにこうして、わたしだけの為にケアしてもらう事がわたしはここにいてもいいんだという気分にさせてくれる。そして少しきれいになった私は、少しスッキリして見える。

③開店直後のデパートに行く
テンションがあがったところでデパートへ行く。開店直後のデパートは、私が道の真ん中を歩くと両側の店員さん達が深々とお辞儀をしてくれる。ここは心を強く持ち<謙遜>という言葉を忘れ『私は、王妃!みなさんおはようざます!』という気分で歩くのが大切だ。そして私の後ろを歩く人々は、某アニメの花輪くんでいうところのじいや達。わたしは、大切にされている。そうイメージして颯爽と歩くのだ。

④トイレはデパートで
ショッピングモールなどのトイレとデパートのトイレは大きく違う。トイレの広さ。鏡の大きさ。ドレッサールームの有無。そして何より出てくる石鹸の量の違い。洗面台に手をかかげると、勝手に1回手を洗う分の泡が出てくることが主流となってきた今。老舗デパートの泡の量は、確実にショッピングモールより多い気がする。わたしはこの泡の量で、大切にされてるんだと思うことができる。

⑤ランチではスパークリングを飲む
ランチでは、スパークリングを開ける。あの華奢なグラスに注がれる飲み物を見るだけで特別な気分になる。昼間からグラスでアルコールを頼む背徳感。そして頼んだら何でも出てきて洗い物をする必要もない。泡がグラスの中で泳ぐのを見ながら食事をする。この頃には、少し笑顔も出てくるようになる。

⑥エステかマッサージに行く
美容室で外見を綺麗にして外を楽しんだ後は、中身の疲れをとって内側から綺麗にしてもらう。わたしを癒すためだけに使われる約1時間の施術。<人>に私を大切に扱ってもらうことによって、ダメダメな気持ちは、少しづつなくなっていく。

⑦花束を買う
小さな花束を買う。家のお風呂・トイレ・玄関に花があると何だか生活が充実している気分になる。なくても生きていけるけれど、あると華やぐ。家に帰ってからも今の気持ちが続くように贅沢気分の残り香を家に置いておきたいのだ。

⑧夕食は、デパ地下で
デパ地下のちょっと高めのサラダやデリを。少しづつ、たくさんの種類購入する。夕食は、外食よりおうち時間を過ごすことにする。少しづつ現実に慣らしていくために。きれいになった部屋に、花を飾って優雅な食事をする。実は、このデパ地下デリと花束を、<大切にされた。特別扱いされた>という充実感とつなげる。これを最後に持っていくことを何度もくり返すことによって、私の脳は、花とデパ地下デリを買って家で過ごすだけで、脳が勘違いして満足感と充実感を味わうことができるようになった。

ということで私は、なかなか<自尊心を自分から生み出す事>はできないけれどお金と時間と勝手な妄想を思う存分発揮して<自分は他人に大切にされる価値のある人間>ということを実感することによって、自尊心に似たような気持ちは、どうにか保たれているような気がする。

話は戻って……両親との旅行の話。私にとっては、贅沢だった。もちろん両親にとってもそれは贅沢なものだった。けれどあと何度私たちは、元気に旅に出ることができるのだろう。『行ってよかった。』そう思ったのは、3人で共通の楽しい話題ができたことだ。『あの時楽しかったね。おいしかったね』そういう話題ができたときに、『きっとこの思い出は、足が立たなくなり旅行に行けなくなった時に寂しいや残念ばかりじゃなく楽しい話の種になる』そう思った。そう考えると私は、今回の旅行で『未来の楽しさを買ったのだ』そう思った。そしてそうやって<誰かを大切にする時間>というのも<誰かに大切にされる価値のある人間>という事にお金と時間を使うのと同じぐらい自尊心に似たようなmのが満たされた。何となく未来を生きてるような気がした。《今を過ごしながら未来を生きる。》そう思うと何でもすることができた。そうすることで未来の自分が価値のある人間になれたような気がしたからなのかもしれない。

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