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現代詩の世界2022-6

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ますます六月の大気である。
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記事一覧

2022/6/28『野ばら少女』

痛みを感じる夏の川原を 裸の少女は棘のある世界の 地球儀を飛び越える アルファベット、川岸…

2022/6/24『きつねうどん』

まさかわたしが「終末論」を語るとは 終わらない世界が続いて行く 夏の日が続いて行く 楽園か…

2022/6/21『アンリエッタ』

ひろがる世界のすみずみから わたしを呼ぶものの声がする とてつもなく大きな声で アンリエッ…

2022/6/15『サクラガイ』

奇妙なものがサクラガイの後ろから現れた たぶん百年前からその貝殻の後ろに隠れていたのだと…

2022/6/14『緑子(みどりこ)』

神は語らねばならない わたしがそれを聞くために わたしはまた語らねばならない 神がそれを聞…

2022/6/13『温子ラブ』

ピーターはふつつかな帽子をとり 挨拶をする勲章の授与式の午前 ノルマンディーの海岸の アホ…

2022/6/11『神々の饗宴』

あの星まで行くのだと唇をとがらした ワイラーの計量する垂直の茎 ラボアジェの空気密度は密閉された南米の 雨量と水量と地下の河 皮膚下の混乱するアダージョ ある神秘的女性の混乱せる乳房の ハマカーン、熱水の噴出する、鉱脈の泥と筋肉と轟音は 我等を案内する仮面のギリシャ人 航海の安全を祈る賑やかな布旗、それと愛欲のキス 神々はボトルを並べて、局在する素粒子の音響を 古びて新しい、きめこまやかな、サルスベリの樹 肌着を脱ぎ、あつらえた金銀の装飾する銀河からの うすいカナリアを装丁す

2022/6/8『ゴーリアス』

名付けられないもの、ローデシアの兜 九十九里浜のなにもない浜辺を走る 名付けられないもの、…

2022/6/6『旅立ち』

パターソン君は時間の存在を否定した マキシムの法則を改変して 第七次元の大空へと旅立ったの…

2022/6/4『音楽家』

いかなる場合も、トマトの枝から 羽ばたく鳩の新感覚派の物語りとしての ミモザの花はサイレン…

2022/6/1『コーリング』

奇妙な測量が行われている わたしの街のはずれ 古代の都市が発掘されている高台のあたり 東の…