2022/6/11『神々の饗宴』
あの星まで行くのだと唇をとがらした
ワイラーの計量する垂直の茎
ラボアジェの空気密度は密閉された南米の
雨量と水量と地下の河
皮膚下の混乱するアダージョ
ある神秘的女性の混乱せる乳房の
ハマカーン、熱水の噴出する、鉱脈の泥と筋肉と轟音は
我等を案内する仮面のギリシャ人
航海の安全を祈る賑やかな布旗、それと愛欲のキス
神々はボトルを並べて、局在する素粒子の音響を
古びて新しい、きめこまやかな、サルスベリの樹
肌着を脱ぎ、あつらえた金銀の装飾する銀河からの
うすいカナリアを装丁する
忘我、忘我、ステンレスの煮えたぎる魂の宴
距離をおき「うんてい」の端から運命の果てから
わたしの神、乱暴に髪飾りをとりのぞき、落涙する
大理石の神殿の輝きは抑制された巫女たちの歌う声
コンドームをかぶせ、男根の柱は、天を突く
あらゆる可能性からさらに自由となり
時を告げる鶏たちの喉を切り裂いて夜を見上げている
神々は暁を知らないから、ゼウスの耳もとで
手錠はとかれ、手切れはなされ、眠たげな瞼のかたすみ
本来する真鍮の酒の杯のカランと音する時
次元を異にするわたしの宇宙よ
女の乳房の
いまは眠りにつく
それは神々の饗宴。