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2022/6/24『きつねうどん』

まさかわたしが「終末論」を語るとは
終わらない世界が続いて行く
夏の日が続いて行く
楽園からの手紙よりも、カモメたちを追う
砂上から、天上から、渡り鳥から
人間の重たい任務から続いている
グラスにそそぐビール、渡り鳥から
単線の小さな駅の日射しは、オルガンのように
回転盤は星の位置を教える、うどん屋の前で
色あせたのれんをくぐって、終末の日が来る
ナポレオンはきつねうどんをすする
どちらかが間違っている、それとも
どちらともが正しい世界、割りばしの竹筒
戦争を避けてわたしは日本へ脱出した、オルガンのように
ネギは細く刻まれて、七味は大きな容器、ピアノのように
それでは彼はここで「ショパン」を演奏するのか
それのどこが間違いなのだ、妖精がうどんの上を飛ぶ
そしてわたしはバイオリンを演奏する
ああ、それはわたしたちの未来の世界を
汗を流して創造する、平和と平等の世界、カスタネット
君はしばらくぶりに、このメダルを取り出して
うどんの汁で濡れたテーブルの上に、ノーベル平和賞の
メダルを置いて、ながめている、ペリカンとともに
純粋なこころは世界のうちでは、マングースになる
親父さんは、黙ってうどんを湯がく
それは国連本部の「ゲルニカ」の牛に食べさせるためだ
飛行場へは、わたしが運ぶ、クジラとともに
まさか「わたしが」終末論を語るとは
きつねうどん
夏の。