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#39「アーセナルvsニューカッスル<マッチレビュー>PL第19節」

こんちゃ!どうも、いったーです。
今回は、「アーセナルvsニューカッスル<マッチレビュー>PL第19節」について書いていきたいと思います。

 またまた29:00キックオフということで、寒いし眠いし起きるのは辛かったですけども勝ったので全部吹き飛びました。しかも3ゴールも飛び出し、遂にエースストライカーLWGオーバメヤンが2ゴール決め、最高の朝になりました。

チーム紹介

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ホームチーム:アーセナル
監督:ミケル・アルテタ
フォーメーション:4-2-3-1

アウェイチーム:ニューカッスル
監督:スティーブ・ブルース
フォーメーション:4-4-2

プロローグ

 アーセナルは前節ロンドンダービーvsクリスタルパレスではスコアレスドローに終わってしまい、連勝が「3」でストップしてしまいました。攻撃陣は最後の精度が足りず、決定的なチャンスを作れずにいました。CMF勢はトランジションでは高いインテンシティを保ちながらDFをプロテクトすることで4試合連続無失点に貢献しました。
 一方、ニューカッスルは昨年のアーセナルを見ているかのように勝利から遠ざかっています。点は取れない、守り切れないという中途半端な状況に陥っており、起爆剤を必要としています。そのため、この試合では怪我人を復帰させ、多くの選手を入れ替えました。

前半<アーセナル>

〇アーセナルの左右非対称のビルドアップ
〇CMFパーティの局面を動かすパス/LWGオーバメヤンの献身性
〇CBダビ・ルイスの軽率なプレー

〇アーセナルの左右非対称のビルドアップ

 この試合、アーセナルは主に2パターンのビルドアップ方法を採用していました。
 大前提として、アーセナルは2CMFと2CBで菱形を形成し、ビルドアップを展開していきました。CMFジャカがLCBダビ・ルイスの左側に落ち、CMFパーティが頂点となり、相手2CFの”門”(=相手と相手の間)で受ける役割を担いました。この時点でアーセナル4枚(2CMF+2CB)vsニューカッスル2枚(2CF)+(CMF)となり数的優位を作り出しました。
次にビルドアップの2パターンを下記で説明したいと思います。

① RCBホールディングが起点となるパターン

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ボールを持ったRCBホールディングは3つのパスコースを用意していました。
(a) 縦パスをOMFスミス=ロウまたはRSHサカに当てるパス
(b) 左斜め前の”門”で構えているCMFパーティへのパス
(c) 右斜め前のRSBセドリックへのパス

 優先順位でa~cと位置付けました。特に(a)のOMFスミス=ロウまたはRSHサカに縦パスが入れば、高確率でターンし、前を向くことが出来るので攻撃のスイッチとなり周囲の攻撃陣もそれに呼応して動き出します。
 (b)では、このゲームで少ないタッチでパスを捌いていたCMFパーティであれば、ハブのような役割をこなしてくれました。

② CMFジャカが起点となるパターン

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 ボールを持ったCMF(位置的にはLCB)ジャカには3つのパスコースが用意されていました。
(a) 相手CBを釣り出して降りてきたCFラカゼットへの縦パス
(b) WGの位置まで押し上げたLCBティアニーへのパス
(c) 相手2CFの”門”で構えているCMFパーティへのパス

 こちらも、優先順位でa~cと位置付けました。特に、(a)CFラカゼット相手CBを釣り出した状態でボールをキープ出来れば、周囲のLWGオーバメヤンやLSBティアニーが次のアクションを起こし、チャンスに繋がります。
 (b)はLWGオーバメヤンとLSBティアニーの連携でポジションを流動的に取りながら、サイド攻略をめざします。
以上の2パターンがこの試合で存在しました。ニューカッスルが4-4-2を採用し、アーセナルの流動的なビルドアップではフォーメーションの構造上各所でミスマッチが起こり、プレス強度も高くなかったため、容易にボールを進めることが出来ました。

〇CMFパーティの局面を動かすパス/LWGオーバメヤンの献身性

 久しぶりの先発に戻ってきましたCMFトーマス・パーティ。彼の良さであるビルドアップの出口として機能していました。2CMF+2CBで形成される菱形において頂点を務め、少ないタッチでパスを捌きました。また、相手がプレスをハメにきたときの出口として、局面を動かすロングパスも目立ちました。顕著だった前半25分のプレーを図で説明します。

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このシーンでは、CMFジャカのターンもターニングポイントでしたが、CMFパーティが躊躇なく、スペースへランニングしていたOMFスミス=ロウにピタリとロングパスを通しました。あの際にドリブルや手前のLWGオーバメヤンにパスをしていたらチャンスを逃すところでした。状況判断が素晴らしいです。

 また、このプレーで注目したいのが、自陣ゴール前から最後フィニッシュに敵陣で絡んだLWGオーバメヤンです。低い位置で受けた時に、素早くCMFにボールを預け、パス&ムーブで前線に走り始めていたのは、チームへの献身性が高いLWGオーバメヤンだからこそです。

 不調でゴールから遠ざかった時期もありましたが、このようなランニングや守備でのプレスバックはサボらず、ここ最近は継続できていたので、チームリーダーらしい頼もしい背中を前線から見せ、貢献していました。

〇CBダビ・ルイスの軽率なプレー

 前節vsクリスタルパレスでも、述べたように全体的に相手CFに縦パスが入った時の当たりや寄せが充分ではありませんでした。

 <前半28分 相手パントキックから>

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確かに長年の経験から強く当たらずとも守りきれるという自負があるのかもしれませんが、チームの規律という点では見逃せません。わざわざ簡単に前を向かせる必要は無いはずです。レベルの高い対人守備と経験の裏打ちされる予測は素晴らしいものがあるため、若いDFメンバーに技術、経験を守備陣に受け継がせてほしいです。

前半<ニューカッスル>

〇攻め手はRSHアルミロン&CMFシェルビーのコンビ

〇攻め手はRSHアルミロン&CMFシェルビーのコンビ
 
ビルドアップもあまり工夫が見られず、攻撃は単調でした。
大雑把なCFキャロル&ウィルソンに向かって放たれるロングボール
△RSHアルミロンのドリブル
△CMFシェルビーのサイドチェンジ

ラフなCFへの放り込みはセカンドボールがどこにこぼれるかが焦点にあてられましたが、最初の空中戦は勝利するものの、セカンドボールが拾えずに攻撃が単発に終わりました。
<前半23分ロングカウンター>

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 RSHアルミロンがルックアップし、利き足の左足で持ったために、DFラインが下がり、ハーフレーンに構えていたCMFシェルビーがそのラインが下がった背後を大外から走り込んできたCFキャロルに合わせました。彼のシュートはうまくミートせず大ピンチにはなりませんでしたが、アーセナルからすると失点していてもおかしくないシーンでした。

後半<アーセナル>

〇ついに報われた我らがキャプテン。
〇OMFスミス=ロウ&RSHサカ魅惑のコンビ

〇ついに報われた我らがキャプテン。

 LWGオーバメヤンに2ゴールが生まれた後半は、まさに、水を得た魚という表現がぴったりでした。

<伏線回収の1点目>

 またしても起点はCMFパーティでした。今回は“門”でパスを受け、密集地帯を得意のドライブで抜け出し、LWGオーバメヤンが十分にパスを受ける準備時間を与えて、大外のレーンに控えていたLWGオーバメヤンにパスを出しました。

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 彼は左45°という得意の角度までドリブルで運びました。ここで効いたのが、前半の似たような角度から2度仕掛けた1on1でした。

☆1度目は中に切れ込んでシュート
☆2度目は外に流れてクロスを選択

 対峙したDFはその前半の2つのプレーが頭によぎったのでしょう。DFからアクションを起こす攻めのディフェンスが出来ずに、LWGオーバメヤンが仕掛けたことに対応するリアクションの守備を選択せざるを得ませんでした。この一瞬の時間こそ今回のシュートコースを生み出したのです。左45°の得意の角度から何度も年末からチャンスがあったものの、決めることが出来ずに表情が曇る、彼を見てきただけに非常に喜ばしいゴールになりました。LWGオーバメヤン本人にとっても、チームにとっても待望のゴールでした。

<ほぼRSBセドリックのゴール3点目>

 まず子の攻撃の起点となったのは、CMFジャカのサイドチェンジからでした。左に寄せて、右サイドに張っていたRSBセドリックワンタッチで、OMFスミス=ロウに落としました。サイドチェンジの滞空時間でRSHサカがスライドし、素早く3角形を結成しました。

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互いにパス&ムーブを連続し、サイドを攻略にかかりました。しかし1度DFにカットされます。その瞬間のネガティブトランジションでは連動し、奪い返しました。
 奪い返した直後もRSBセドリックがRSHサカにパスし、インナーラップを仕掛けました。このタイミングしかないという時にRSHサカはRSBセドリックにパスを出します。ブカヨ・サカは自らドリブル突破が出来る一方で、球離れのタイミングが絶妙で、賢さサッカーIQの高さが現われました。

 RSBセドリックは、ワンクッションドリブルでPA内に侵入した時点で、ほぼ得点は決しました。あとは、フリーのLWGオーバメヤンにパスし、ゴールネットを揺らしました。ドリブル突破のタイミングで、LWGオーバメヤンが敢えて中に入りすぎずに、ステップを踏んだの“さすが”の一言です。

〇OMFスミス=ロウ&RSHサカの魅惑のデュオ

<60分の2点目>

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このゴールの起点もまたCMFパーティでした。GKレノがクロスを直接キャッチして、そのまま速攻に繋げました。その状況判断と実行する勇気は、No.1を背負うに十分値するものでした。

 そこからCMFパーティが1つ運んで、次の局面にバトンパスしました。ニューカッスルはクロスを上げたため、PA内に多くの人数を送り込んでおり、守備陣の枚数が足りませんでした。LWGオーバメヤンはその数的優位を活かしながら、OMFスミス=ロウにパスしドリブルを促しました。

 OMFスミス=ロウはディレイに来たCBラッセルズと完全な1on1になる形に持ち見ました。体重移動、目線の移動、シュートフェイントで半歩前にでたシーンは彼のスキルが詰まっていました。そして仕上げはOMFスミス=ロウはマイナスのクロスをRSHサカに届けました。パスを受けたRSHサカは流し込むだけでした。

 そのタイミングで飛び込んでくるRSHサカは、ニューカッスルの2ラインが乖離していることを見逃しませんでした。ラインが下がった要因としてスミス=ロウのドリブル、CFラカゼットのポジショニングが考えられます。簡単なゴールのように見えますが、それぞれの要素が重なり合って生み出された、チームプレーで奪ったゴールでした。

 この偉大なる英国出身のデュオ(スミス=ロウ&サカ)は、PL史上初の記録を打ち立てました。21歳以下のデュオで3ゴールを生み出したのはこの長い歴史を誇るPLで彼ら2人だけなのです。両者ともにアカデミー出身ということで大変誇らしい限りです。

 “We’re so close off the pitch as well and I think that’s just showing on the pitch really,” Smith Rowe said. “We’ve known each other for such a long time, so as soon as we step on to the pitch, we know each other so well. I’m happy to assist him today.”
「サカとはピッチ外でもとても仲良しなんだよ。今日はそれがピッチ上でも魅せれたと思うよ。お互い長い付き合いだから、ピッチに上がっても互いのことがよく分かるんだよ。今日は彼にアシスト出来て嬉しいね。」
“I think it makes it that little bit more special knowing we’ve come up together through the academy.”
「サカと一緒にアカデミーで過ごしお陰だよ。アカデミーのことから知っているのはちょっとだけ特別な要素になっていると思うんだ。」

 彼、スミス=ロウの発言からも分かるように、若い選手でトップチームに昇格して間もなくとも、アカデミー出身者同士であれば理解し合えることが簡単であることに加え、周囲の選手を巻き込んだ深い連携を築くことができるという相乗効果を生み出すことが分かります。

後半<ニューカッスル>

〇ロングボールに活路を見出すしかないニューカッスル
〇“ちぐはぐ“の原因は?

〇ロングボールに活路を、、、

 チャンスらしいチャンスを生み出すことが試合終了までできませんでした。

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強いてあげるなら、55分のCFキャロルのシュートくらいでした。(下図)

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 アーセナルからするとロングボールはどちらに転がるかわからないため、厄介ではありますが、一方でボール回収し、弘サイドに展開すれば一気にカウンターのチャンスになります。(実際に、1,2点目はその形でした。)アーセナルCBの寄せが甘かったおかげもあり、少しばかりシュートまで持ち込むことが出来ましたが、運要素が強く、継続して勝ち点を得るには効率が悪すぎます。

〇“ちぐはぐ”の原因は?

 4-5-1や5-4-1を今季のフォーメーションとして用いてきたブルース監督ですが、起爆剤にしたいのか、このゲームでは4-4-2(フラット型)で開始させました。ビルドアップ時もミスマッチを指摘しましたが、戦術どうのこうのの前に、選手の距離感ライン設定の意思統一ファーストディフェンダーラインの設定の曖昧さと勝てないときのチームの典型的な要素が盛り込まれていました。

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 前線は前からプレスを掛けたいけれど、最終ラインが前線に呼応した押し上げが足りませんでした。そうなると中盤2CMFの負担が非常に大きくなります。そもそもアーセナルはセンターに3枚揃え、ニューカッスルは2枚でした。数的不利に加えて、広大なスペースの管理も任されれば、守備が破綻するのは火を見るよりも明らかです。

 そのため、人選として4-「4」-2の「4」のサイドには中盤センターも務まる様な選手を置くべきです。(※今回SMFはCFタイプ+技巧派OMF)
<活路を見出すには、、、>
☆プレス開始時の意思統一
☆SBとSMFの連携からのクロス攻撃を極める

 CMFには空間認知能力にたけたシェルビーが存在し、サイドチェンジには困らないはずです。サイドに数的優位の状況を以下に創り出し、巨漢2CFにいかにPA内での仕事に専念させられるかが重要になってくると考え、ブルース監督に提案したいです。

結果

<アーセナルvsニューカッスル>3-0
得点者:‘50 ’77オーバメヤン(ARS) ‘60サカ(ARS)

試合ハイライト

エピローグ

 アーセナルは、前半は危なっかしい戦いぶりでしたが、後半に入り、中盤で自由にボールを触れるようになり、圧倒の3得点を奪いました。あれだけ緩いプレスとスペースを与えられるとさすがの活躍でした。エースストライカー&キャプテンLWGオーバメヤンにも久しぶりの2ゴールが生まれ、ゴールセレブレーションではハッピーオーラを振りまいており微笑ましい光景です。
 得点者に目がいきがちですが、CMFパーティの存在感は期待以上のもので、怪我明けということからフルタイム出場は回避しましたが、月末vsマン・ユナイテッドまでには完全にフィットするでしょう。 
 そして、あのアーセナルが公式戦5試合連続クリーンシートを達成しました。これは08-09以来初めての出来事であり、暗いニュースばかりだった今季に明るいニュースを届けてくれました。CBホールディングは先週契約延長をし、最近は安定した姿を見せ、大怪我からの完全復活の兆しです。

 一方、ニューカッスルは、全くと言っていい程いいところなしに敗れました。これでvsアーセナルは5連敗、得点1失点12という、最悪の相性になりつつあります。今季は残留争いは早くも絞られた感があり、ニューカッスルは回避したかのように思っていましたが、このまま怪我人が帰ってきても“ちぐはぐ”な状態が続けば、残留争いに飲み込まれてしまうかもしれません。

会心の勝利で、この1週間を気持ちの良いスタートを切れましたね。

このあとは、「エジル退団関連記事」「アーセナル選手名鑑20-21~FW編~」等の準備を進めていきたいと思います。乞うご期待。

それではこのへんで、、、

ばいころまる~

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