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ソーセージは粒マスタードを食べるための棒きれや

 マスタードソースならばマクドナルドのナゲット、ハニーマスタードならば唐揚げやサラダにかかっているなどの場面でよく見かけるけど、粒マスタードって本当にソーセージを食べる時だけしか使い道がないのではないかって思う。
 イタリアンレストランでバイトをしていたとき、粒マスタードが置いてあったが、案の定ソーセージを提供するときにスキレットの隅っこにちんまりと配置するためだけに使用されていて、他の用途はまったくなかった。
 粒マスタードとは、ソーセージの需要の増減にただ振り回される悲しき存在。そしてソーセージは、"粒マスタードを食べるための棒きれ"である。

 ソーセージと粒マスタードのように、ある特定のものを食べるときにしか出番のない関係性というのは、ある種とても愛おしい。普段は離れて暮らしているのにいざとなれば抜群のコンビネーションを発揮する、それはまさに数年ぶりに再会してもカッコイイGIGを見せてくれる布袋寅泰と吉川晃司みたいな関係。お互いの信頼と実力のもとで成り立つ関係性はカッコいい。

 そういう関係性が他にもある。

うどんは天かすを食べるためのヒモ
 私は天かすが昔から好きで、キッチンの引き出しにあった天かすをつまみ食いしていたら母によく怒られて、しまいには隠されてしまった。
 コナモン文化直撃の関西人としては、たこ焼きや焼きそばに天かすをよく使っていたが、それよりも初めて丸亀製麺に行ったときに衝撃を受けた。天かすとネギが"常識の範囲内"で入れ放題、これはもはや天かすが主役になっていて、うどんの名のもと、天かすを食べるためのヒモになっているではないかと。
 これはタイトルに「天才バカボン」と謳っておきながら、実質的な主役はバカボンのパパが務めているのと同じだ。

カレーは福神漬けを食べるための泥
 考えてみれば福神漬けもカレーを食べる時しか見かけない。しかし私の実家では、カレーを食べるとき母は福神漬けを用意していなかった。そのため、外食に行ってカレーを頼んだときはじめて福神漬けの存在を知ったのだ。
 カレーは基本的に辛口で味も濃いので、食べていると食傷気味になりかねない。そんなとき口の中をスッキリさせてくれるのが福神漬け。暴走しがちな主人公の傍でストッパーの役割を果たすヒロインのようだ。

アイスクリームはカラースプレーを食べるための粘り気(け)
 今やSNSでバズるためにはアイスクリームにカラースプレーをかければいい、とまで言われる時代。そんなカラースプレーも、アイスクリームを食べるときにしか出番がない。
 カラースプレーは様々な色のツブツブから構成される甘味(?)だが、基本はチョコレート味で色それぞれで味は同じらしい(香料による差はある)。つまり鼻をつまめば同じ味、かき氷のシロップと同じ仕組み。
 多分カラースプレー単体で食べてもそれなりに美味しいんだろうけど、アイスクリームにかけることでさらに美味しくなる気がする。ていうか実質チョコ味のアイスクリームになってるようなものだな。そら美味しいわ。

 こんな布袋と吉川みたいな関係性、愛しているのさ狂わしいほど。

 

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