とさみつん

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  • 可燃記

    可燃ごみの日(月・木)に書くことを目指す日記。

最近の記事

2024/4/25 たくさんの長い足

朝からリビングの網戸の外側に巨大なゲジゲジが張り付いている。すぐにズレるソファのクッションを元に戻そうとした時に気がついた。うひ、と思わず手を引っ込めたが、内窓、外窓、網戸、の外側なのだから、考えてみればだいぶ遠いのだ。 しかしたくさんある長い足を目一杯広げて、堂々たる佇まいだ。人間で言えばジョジョ立ちくらいの決めポーズなのかもしれない。 虫がものすごく苦手というわけでもない。カマキリ、バッタ、蝶、黄金虫くらいなら掴める。蝉は厳しい。青虫は平気。毛虫は嫌。蜘蛛は大きさによ

    • 2024/4/23 猫に時間の流れる

      昨日が月曜日であったことに、今朝気がついた。日記を書き忘れた。 昔からそうと言えばそうだが、やはり加齢とともに日付や曜日がスキップしたりループしたりすることが増えた。アレクサに毎日何度も「今日は何日?」「今日は何曜日?」「今日の気温は?」「天気は?」と聞いては聞き流している。これは時間感覚の話ではなくて、記憶力と脳の働きの鈍化の話。 時間は万物に平等に流れているのに、もたらす効果も体感も全然違う。そのことに気付いた次男がぼそっと「なんで楽しい時間は短いんだ…」などとつぶや

      • 2024/4/18 負けらんねえ戦い

        口内炎になりそうでまだなっていない部分に、ビタミンBとその他の何がしかでできたスプレーを噴射しまくる。穴だけは開かないでほしい。その一心で。 スプレーは甘いミント味で、珈琲とは相性が悪い。口内の左側にスプレーを噴射し、右側だけに珈琲の液体を通すべく顔を傾けて飲む。スプレーしないという選択も、珈琲を飲まないという選択もない。 体調が悪い、の手前で踏みとどまっている時、大抵口内炎ができる。今は「できそう」なので、体調が悪くなりそうに「なりそう」。全てが前段階。どちらに転がるか

        • 2024/4/15 噛むと奥歯がきしきしして鼻の奥がぎゅっとなるもの

          爆撃を受けて焼け野原になった街に時計が立って、そこから一晩のうちに街が綺麗に元通りになってしまうという夢を見た。 漫画みたいに「はっ!」と目を覚ますとまだ明け方で、左の腰のあたりに猫3がくっついて寝ている。右の頬に冷たい感触がするのは猫1の鼻面で、年老いてへなへなになってしまったヒゲもついでにまぶたからこめかみあたりをさわさわしている。布団のはしっこをめくって入れてやった。 いやしかし悪夢だった。爆撃よりも、すぐに元通りになってしまった街が怖かった。何もなかったみたいにに

        2024/4/25 たくさんの長い足

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          16本

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          2024/4/11 ゴリアテ

          所用で区役所へ赴く。 我が家は居住している区の端っこも端っこにあるので、区役所はおいそれと歩いて行けるような場所ではない。電車で二駅、または車で15分の距離にある。当然、ダントツ、車が便利なので、大概車で行くことにしている。 区役所へ行くにはいくつかルートがあるが、最短は最寄駅の東側の踏切を渡るルートである。最短であるが、少し厄介なルートだ。狭いヘアピンカーブを越え(いつも塀で鼻面を擦ってしまいそうで怖くて一旦バックして切り返してしまう)、狭くて自転車やら歩行者がしっちゃか

          2024/4/11 ゴリアテ

          2024/4/8 むくんでサボって

          先週末から新学期が始まり、今朝も早くに家族が出払ってしまった。唐突に家の中が静かである。 テレビをつける習慣がないので無音。いや、キッチンに埋め込まれた食洗機の中で水が渦巻く音と、食器が触れ合う音、猫たちの寝息、ドラム式洗濯機の中身が重たくてごとごと揺れる音がする。 生理でだるくて動きたくない。足がむくんでいるのが不快で、椅子に座ってごりごりマッサージしてみる。何も改善しないのでひとりでぶすくれる。あー、と天井に向かって声を出してみる。わいんっと響いた。 今週は仕事がゆる

          2024/4/8 むくんでサボって

          2024/4/4 全部間違い。かすりもしない。

          週に一度、生協に食物などなど持ってきてもらうよう注文している。 野菜や生肉はあまり頼まない。平日の夕食に一切の手間をかけたくない自分のために、味付き肉とか、干物とか。 副菜としてミールキットも使うがこれがなかなか面白い。説明書通りにお利口に材料の袋を破いて足していくと、いつの間にか炒り豆腐やら野菜炒めやら、いつもとは違う味でできている。何も考えずに順番通りに組み立てると立ち上がる、量販店の家具のようで楽しい。 午前中のうちに、笠地蔵よろしく玄関前に置いておいてくれるのもう

          2024/4/4 全部間違い。かすりもしない。

          2024/4/1 匿名動物の仕事

          春の行事をいくつか終えた今日は月曜日。いつも通り自分のデスクの前、新しく買ったヘッドレストがついたワークチェアに座って、ぎこぎことリクライニングの調子を確かめるふりをしてサボっていた。 週末に提出した原稿(Googleドキュメント)に「匿名カピバラ」が提案モードで注釈を書き込んでいる。それほど多くの人間がチェックするわけではないので誰だかはなんとなく分かっている。このドキュメントはリンクを共有しただけなので、編集する人はみんな人間としてのアカウント名は表示されず匿名の動物に

          2024/4/1 匿名動物の仕事

          2024/3/28 お土産の効能

          人にものを教えるのが下手である。 明子が1分に何ページ本を読むのか、米Aは1kgいくらなのか、さとるが走るとたけしの自転車にいつ追いつけるのか、なんとなく必要な数字を前提から割り出してごちゃごちゃすれば答えが出るわけなのだが、その「ごちゃごちゃ」の説明がたどたどしくて子に伝わらない。 タスクをばらすんだよ。何をすればここに辿り着くのか、まず必要なタスクを洗い出してから小分けして並べて順番にだな、とますます抽象的な説明になる。 うんうん言いながら計算をして、なんとか格好をつけた

          2024/3/28 お土産の効能

          2024/3/25 パノラマ

          酒を飲みながら洗濯物を畳んでいる。 前方ではテレビがついていて、木梨憲武が死ぬドラマをやっている。 ご飯をあげすぎてむくむくふくらんだかつて子猫だったものが、にゃごにゃご鳴きながらうろうろしている。 子どもの習い事のための裁縫がやりかけのままこたつの上に、氷結無糖のロング缶は汗をかいて、A4のコピー用紙にやりかけの計算が、ドリルの丸付けは途中で放棄して、怪談本は読み終わって、文芸誌は読みかけで、ボックスレスのティッシュが多分あと一枚くらいしかなくてぺったんこで、それぞれ

          2024/3/25 パノラマ

          2024/3/21 揺れない

          地震があった、ということをSNSで知った。 なんだかあちこち切羽詰まっていて、朝からパソコンに張り付いてごそごそやっていた時間だ。打ち合わせが終わって、ぎゅーっと伸びて、blue skyだかthreadsだか開くと、みんな「揺れた」「緊急地震速報が鳴った」と騒いでいた。 ニュースサイトを開くとやっぱり地震の速報が出ている。家の辺りも結構揺れている様子。スマホの通知を開いてみたが、穏やかなものである。はて。 後期も残すところあと2日であるところの子どもたちがけたたましく帰

          2024/3/21 揺れない

          2024/3/18 ざらざらとした粉にまかれる

          登校班というものがある。 同じ小学校に通う子どもたちが集団で登校するというやつだ。 この辺りのものは任意の集団で、なんとなく近くに住む子どもたちがなんとなく集まって行く、というゆるいものだったが、まあ大体毎日なんとなく同じメンバーで登校していた。 ほんの数名の集団で、特にけんかすることもなく、それほど気が合わない者もおらず、そこそこ仲良く穏やかな関係である。その中の6年生も明日で卒業だ。聞けば一緒に登校できるのは今日が最後だということで、私も保護者らしく最後に揃った写真なぞ

          2024/3/18 ざらざらとした粉にまかれる

          2024/03/14 粗くなるドット

          最近うっすらと目が見えにくい。眼鏡を作り直さねばならぬかと思うが、ひとまず画面の中のいろんなものの「+」ボタンを押しまくる。ワード、エクセル、ドキュメント、XD、全部200%ぐらいにして、さらにモニタのアームをぐいー、と伸ばして物理的に近づける。 40を超えて久しく、めっきり身体に対する解像度が落ちたような気がする。彩度が落ちた。ドットが粗くなった。いろんな言い方ができる。走れないし眠れないし起きれない。全体がふんわりぼやっとしている。 20代くらいの時はあんなにビビッド

          2024/03/14 粗くなるドット

          2024/3/11

          長男のドリルの採点をする。 赤ペンを持って、解答を左側にに置いて、正答なら左下から右上を通ってまた左下に戻るやり方で丸を、誤答ならレ点。 しゅ、しゅ、と赤ペンの先が紙を擦る音がする。採点を終えて、「はい、やり直しね」と渡すと、長男が炬燵の天板にがっくりと伏す。 わー、「お母さん」ぽい、と思う。 下唇を出す長男に、「こことここだけだよ、頑張んな」と言う。 ひゃー、「お母さん」ぽい。 子どもを産んで11年、自分の親っぽい振る舞いに慣れない。脱走したり漏らしたり食べ物投げ

          2024/3/7

          猫にも個性がある。我が家には3匹猫がいるが、そのどれもが同じ銘柄のフードを食べず、虫や鳥に対する興味もばらばらで、私に怒られた時の態度もまだばらばらだ。 一番最近来た猫(猫3とする)はまだ若く、始終飛び跳ねており、食卓やシンクに乗るなと3000回言っても乗る。先住の老猫2匹にも若い頃はあった(そして片方は性格が激しかった)が、いたずらの角度が全然違うから、初めて猫を飼うような気持ちになる時があるくらいだ。 そんな猫3は、あらゆる袋を噛みちぎりたいという衝動を常に持っている

          2024/3/4

          確定申告を終えた平日の、なんと眩しいことよ。 無敵である。 年度最後の個人面談のために小学校へ赴く。 さんざん迷って厚手の上着を着て外へ出ると、意外とあったかい。選択を誤ったか、と思う。(出掛けに長男に、「結構あったかいよ?」と言われたにも関わらず) 道にはいつもこの時間帯には見かけない、ジャージ姿の中学生たちがぞろぞろ歩いている。上履きとハンカチだけが入った小さいカバンをぶらぶら振りながら坂を下っていると、「みつんちゃーん」と呼ばれる。 対岸の道にジャージの塊。近所の