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当事者であり支援員だった私からみた障害者雇用

障害者雇用とは

障害者雇用は、「オープン雇用」とも呼ばれます。
その名の通り、障害を開示して働くことです。
逆に、障害を開示せずに働くことを「クローズで働く」「クローズ雇用」と言ったりします。(私もその一例です)

障害者雇用の対象者は、身体、療育、精神の手帳を持っている方、また難病の方も対象です。
(精神障害者には、精神疾患、発達障害、てんかん等を患っている人が含まれます。)

就業時間は基本週20~30時間程度(一般企業、特例子会社の場合)です。
企業側が障害者雇用で算定できる時間数が週20時間以上なので、この場合が多いんだと思います。
そのため、就労移行支援事業所も上限マックスで通うと週20時間になるようにできています。

就労形態の違い

1.一般企業への就職

一般企業に障害者枠として合理的配慮を得て入社することです。
正社員登用も存在し、これが一番入社や就労継続へのハードルが高い(どちらかというとうまくマッチングするかが賭けな)イメージです。
一般企業に入社するため、そのオフィスにひとりないしは数人だけが障害者雇用として入社した人材がいると想像してもらえると良いと思います。
定期面談等は行われると思いますが、「障害がある」と認知されるだけで、支援機関の関与がないとあまりクローズ雇用と変わらないと思います。(関与があると仲介をしてもらえるのであらかじめ伝えた合理的配慮や働くうえで感じたお困りごとへの対応が通りやすくはなります)
ただし、障害年金を受給している場合等、バレる心配がなくなるのは大きいかと思います。

2.特例子会社への就職

上記と似ているのが特例子会社への就職です。
各オフィスに障害理解のある人材をつける必要がなくなるため、障害者雇用専門の子会社を作った感じのものです。
(そのためこれは大企業に多いです。)
同僚はほぼ障害をお持ち(障害者区分は基本されない)で、専門の支援員とまではいかないが、理解のある(とされている)上長またはサポートスタッフが存在します。また、ジョブコーチなどがついてる場合もあります。

3.福祉的就労

一般企業への就職が不安、または困難な場合に一定の支援がある職場で働くことができる障害福祉サービスです。
あくまで障害福祉サービスなので、福祉的就労と呼ばれます。
一般企業への入社が難しい、または職歴がなくハードルが高い等の場合に一時的、または継続的に利用すると考えてよいと思います。

・A型:雇用契約を結ぶことができるため、最低賃金が保証される
・B型:雇用契約を結ばないため、工賃(生産物に対する成果報酬)が与えられる
   そのため、最低賃金は保証されない
B型は通所が安定しない、より重点的な支援が必要な方等が多いので、その分雇用契約を結ぶことができないという感じです。

障害者雇用のメリット

個人と企業に分けて考えますね。

・個人

1.障害理解が得やすい
(体調・通院・服薬の必要性に応じて色々調整してもらえる等)
2.支援制度の幅が広がる
(就労定着支援を利用していた場合企業へ介入してもらえる、ジョブコーチ制度が利用できる、障害年金を取得した場合もバレてしまうという不安がない)

・企業

1.対象者のことを理解できる
2.障害者雇用人数にカウントできるため、様々な助成金を申請可能

障害者雇用のデメリット

・個人

1.職種の幅が狭まる可能性がある
2.キャリアアップがしにくい
3.給与が低い

・企業

1.雇用や管理コストがかかる
2.業務創出や就業環境、人事制度を整備する作業が発生
3.現場でサポートする人員が必要になり、生産性が下がる

障害者雇用で働くには?

1.障害者手帳の取得

まず「障害者手帳」の取得が必要です。
就労移行支援や自立支援を利用するのには「自立支援医療」の受給者証で大丈夫ですが、障害者枠で働くということは正式な書面を求められるため(企業側の算定等も関係している)、オープン雇用で働くと決めたら申請することが必要です。
ここはあくまで制度的な話ですが、企業が障害者雇用促進法に基づいて助成金等の申請をするのにも必要になります。
※申請から取得には時間がかかるため早めの相談と申請がおススメです。
(障害者手帳についてはこちら→)    

2.自身の症状や特性、配慮が必要な点を理解しておく

一般雇用と障害者雇用の大きな違いは合理的配慮があるかないかです。 同様の診断名を持っていても症状や必要な配慮は人それぞれであるため、予め企業側に説明をして理解してもらうことが必要です。
障害者雇用の就活では、基本的に履歴書、職務経歴書の他に「障害について」の説明文の提出が求めらることがほとんどです。
必要ない場合も、面接時に自分で説明できる状態がマストなので、予め作ることで自己理解も深まります。
健常者の方の就職活動時に履歴書だけでなく職務経歴書も提出する感覚と同じです。

3.障害年金の受給を検討

障害者雇用では基本的に月額収入が下がります(クローズで働いていた期間が長い人ほどそう感じるかも)。
そこで障害年金を受給すれば、合わせて一般雇用の人々の最低ラインに届く目安です。
手帳同様障害福祉課に連絡することで手順はわかります。
(障害年金についてはこちら→)

求人はどこに出ているのか

1.ハローワーク

ハローワークインターネットサービス参照
(左の真ん中の「求人情報検索」をクリック)


ハローワークインターネットサービス参照
(「障害のある方のための求人」を選択)

ハローワークを利用したことがなくても、まずインターネットサービスで求人を探すことができます。
「障害のある方のための求人」を見るのには何の証明書もいらないので誰でも検索がかけられます。

福祉的就労の求人も含め、一般企業の求人も載っています。

あまり条件は絞らないで調べてみることをお勧めします。(条件設定が細かいためすぐはじかれてしまう)

あとは下のAND検索で「A型」や「B型」「特例子会社」などいれてみるのもおすすめです。

2.エージェントを通す

あえておすすめは記載しないでおきますね。

3.支援機関を通す

自作
(就労移行支援と自立支援について)

支援機関の紹介

就労移行支援は、就労できると(行政に)見込まれた人(18~64歳まで)が障害でトータル2年間だけ利用できます。
なので言ってしまえば、1年で就職してまた退職して1年間だけまた利用とかも可能です。
基本は月~土の10時頃から15時頃まで開業していてて、その時間に少しずつ慣らしながら通所を増やしていくイメージです。
就職までにどれだけ早くても半年、通常は1~1年半かかると思っていたほうが良いでしょう。
プログラムの内容はあくまで2年以内に就職を目指すためのものなので、コミュニケーションやセルフケアのものもありますが、半年くらいすると就労系のプログラムに移行していくことを勧められます。
基本的には一般企業または特例子会社への就職を目指すので、就労継続支援を目指すのであれば自立訓練のほうがおすすめです。

一方自立訓練は、身体機能のリハビリテーションを行う「機能訓練」と、生活能力の維持・向上を目指す「生活訓練」があります。
生活訓練が就労移行支援の前段階というイメージでも良いかもしれません。
プログラムの内容が、例えば「金銭管理」等「自立した生活」を目指すものがメインになっているので、事業所によってはお昼寝が許されているようなところもあります。
その分、特支や通級卒の方等で一度生活訓練(同じく上限2年間)を挟んで、就労継続支援や就労移行支援の利用を目指すなんていうパターンもあります。

※利用料

利用料は、行政から受給者証がおりることで自立支援医療のように自己負担額が設定され、事業所には行政からお金が代わりに行くといった感じです。
福祉機関の「世帯収入」は、「本人とその配偶者」に限ります。
なので、親御さんがいくら稼いでいようと上限額が高くなるなんてことはありません。
経験上、1件だけご主人の収入が高すぎて最大料金の方がいましたが、他で最大料金の方はいないといった割合でした。

※メリット

・自立支援又は就労移行支援支援を一度でも利用しておくことで、就労後に就労定着支援を利用できる
・気軽に相談できる人ができる
・企業との中間の立ち位置になってくれる人ができる
・企業が何らかの支援機関を挟んでいることで安心してもらうことができる

これらを利用するメリットとしては、一度でも利用しておくと障害者雇用で就職した際に「就労定着支援」を利用できることです。
あとは、書類の添削や企業及び関係機関との連絡調整、通院同行、就活時の面接等への同行(必要であれば助言も)とフィードバックを得られることでしょうか。

※注意

・基本的に学生でないこと、働いていないことが利用条件
但し、休職中で復職を目指すためにも通ることがある
→まずは見学を兼ねた相談に行って行政に確認してもらうことが必要
・医療費の自己負担が軽減される自立支援医療か、障害者手帳を持っていることで利用可能になる
(持っていない期間は体験実習という形態で利用することも可能な機関はある)

注意しなければいけないのは「働いていないこと」が条件なので、収入が1円でもあると利用できないことです。(利用中にバイトなどはできない)
但し、休職中で復職を目指すために利用決定が下りた場合や、卒業が確定している学生さんで利用決定が下りた例はみたことがあります。

就労定着支援について

就労後に使えるサービスで、就労半年後から人生のうちで最長3年程利用することができます。
空白の半年間は就労移行支援利用時の延長サービス的形で支援が続けられる機関も有ります。

※就労移行支援、就労継続支援、自立訓練、生活介護等の障害福祉サービスを利用して「一般就労」した障害者の方が対象です。

プロフィール

zurs(ざうるす)
セクシャルマイノリティ、発達障害(ASD/ADHD)、統合失調感情障害の当事者。
理系四年制大学を卒業後、就労移行支援・就労定着支援の支援員として従事。
現在は思春期精神科にて医療ソーシャルワーカーとしてカウンセリング業務などを行う傍らで、四年制大学に編入し心理学を学ぶ。

👇Instagram👇

セクマイカップル👭
https://www.instagram.com/hime_and_haru

障害者の私🧜‍♀️
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