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世紀末グルメ

食べなければ生きられない。

その言葉が胸を貫いた世紀末。

周りで残ったやつは俺1人。

お気に入りの一丁羅と空腹が手荷物だ。

荒廃した水平線を見ながら今日も歩く。

焦げた土、焼けたビル、スカスカになった車を変えぬものかとヨダレを垂らす。

世界は何もかも変わってしまった。

腹をすかせた俺の前に少し大きめの水溜まりがある。

水を手ですくうと懐かしい冷たさが伝わる。

それを一気に飲み干し生きてる実感を取り戻すと、水たまりに何かいる。

魚だ、緑の魚が泳いでいる。

こんなところに魚がいるわけない。

この世界は随分と変わってしまったようだ。

だが俺は何ら躊躇なく捕まえそれを獣のように食った。

生臭くて、美味しくないのに、食う手が止まらない。

贅沢は言えない、こうなったら何でも食ってやろうじゃないか。

翌日は芋虫を食った。

どう見ても毒のありそうな奴だが何なく食べた。

次の日は缶詰を食べた。

開けると黄色と赤色に分離した何かが異臭を放っているが2分で平らげた。

次の日は偶然見つけた冷蔵庫の中から紫色の肉を見つけた。

火なんてありはしない。

だから生のまま骨ごと味わった。

食べなければ生きられない。

その言葉を胸に世紀末グルメを楽しむ。

意外と悪くないものさ。

食べた後は苦しいし痛いけど、ずっと生きてられる気もする。

そういえばこの間俺と同じく人が歩いてたんだ。

だけど俺の顔を見た途端に悲鳴をあげたんだ。

昔はイケメンで通ってたんだ。

今だってそうさ、落ちてる鏡で見ようじゃないか。

ほら、顔が変色して牙は生えたがいつもの俺だ。

お、あんなところにキノコが生えてるぞ。

赤くて美味そうだ。

今日はあいつを楽しもう。

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今回の話の元になったジコマンキングの作品「世紀末グルメ」はこちらから↓





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