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玩世不恭ーー「益になることをしない自分」が許せない

(1211字・この記事を読む所要時間:約3分 ※1分あたり400字で計算)

【玩世不恭】

ピンイン:wán shì bù gōng
意味:不真面目に適当に日々を過ごす生活態度を表す言葉。

『「益になることをしない自分」が許せない』

 全くもって、自分は時間を大事にし過ぎているのだと思う。
 
 
 スケジュールは分刻みで決めるし、時短・効率化といったワードにはすぐ飛びつくし、1秒たりとも無駄が出ないようせっせ、せっせとぐるぐる回っている。
 
 「益になるか、ならないか」で一日の行動を決めている。
 
 
 こんな私の姿を見て、しっかり者じゃあないかと褒めてくれる人は多い。
 「いえいえただのひと癖でして」と条件反射的に謙遜し嬉しそうな笑顔を浮かべつつも、当の本人はいたって窮屈で、いつになったらもっと人間らしい暮らし方が出来るのだと悩んでいるのである
 
 
 「1秒たりとも無駄が出ないよう」と書いたが、実のところ、私は心底から「無駄」を欲している。
 
 そもそも、「無駄」が多いからこそ「日常」でもあって、これを省いた日々なんて無機質でたまらないものだ。
 
 
 ざっくりと計算してみる。
 
 1日は24時間、うち、仕事にあてる時間は8時間。
 食事・睡眠・沐浴といった生理的欲求を満たす為に使う時間は、およそ10時間。
 
 加えて更に家事や移動に2時間使ったとしよう。そうだとしても、少なくともまだ4時間の自由が残っているはずである。
 
 
 ただし、ただし!
 
 私の場合、せっかくのこの4時間を全部、スポーツや自己啓発の勉強にあててしまっているのだ。
 
 従って自由時間はゼロ。
 味気の無い料理を取り敢えず腹いっぱい詰め込んだだけの食事をしたかのように、一日が終わった頃の顔は無表情、麻痺し切った脳は枕に叩きつけられ強制終了を迎える。
 
 
 真面目か!
 
 いつから、私はこういった生活を過ごさなければ気が済まなく、日頃から「合理的」を求めないと罪悪感を持つようになってしまったのか。
 
 向上心なんて、一日に1~2時間もあれば十分だ。
 
 暮らしに必要な真面目はせいぜい3割で結構。
 残り7割は不真面目しているのが丁度良いのだ。
 
 「心に余裕を」と現代社会はうたっているが、それにはまず適度に不真面目することを許容することから始めなければならない。
 
 
 友達と数年前のネタを何回も掘り返しては馬鹿笑いする時間を許せ。
 オーブンに入れたパイ生地がじんわりと膨らむのをひたすら眺める時間を許せ。
 スーパーに行くついでに雑貨屋まで遠回りする時間を許せ。
 大好きなさけるチーズを可能な限り細かくしてから食べる時間を許せ。
 
 
 そんな「益になることを全然しない自分」を許せ。
 
 無駄を、不真面目を許せ。

 
 
 ーーなーんて。
 そんな気持ちを声高にエッセイで語るも、結局いつものスケジュールで生きる私がいる。
 
 なぜか。
 
 もっとお給料をもらいたいので、仕事でつかえる知識とスキルを増やしたいから。
 取りたい資格があって、それが手に入れば視野が広がると思っているから。
 なんとなく、こうしないと自分が退化しそうだから。
 
 ただのひと癖だから。
 
 
 真面目か!
 
 
 全くもって、自分は時間を大事にし過ぎているのだと思う。

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