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とある会社の「社員の個人事業主化」の話

<おじさんDX Vol192>

知人が、勤務する会社方針の転換でそれまでの雇用形態を変更し、社員から個人事業主化になったのですが、なかなか大変だった様子です。


✅労働者としてのメリットが無くなる❓

🍀「個人事業主」になると労働者ではない。

労働者のメリットは、法律に守られている事ですが、これが個人事業主となると無くなります。労働基準法の対象外となりますので残業代の発生もありません。

🍀労働時間の裁量権があるので好きな働き方が出来る❓というけど...

「8時間労働」「週40時間まで」という、労働時間に縛られた働き方は、時折「時間だから」と言うことで制限を受けてしまうのです。

短時間で仕事を終わらせるという意識と行動は必要ですが、経営サイドからしてみれば「あと少し残業してくれれば...」となる場面も多いようです。

働き方改革で労働時間の制限が厳しくなりましたが、企業からすれば改革するにも原資は必要です。海外のように単に生産性を上げると言っても...と思うところはあるのです。

🍀生産性を上げようとして、実際の収益が減ってしまう...。

個人事業主ならばその制限がありませんので、依頼する側にも都合が良いですし、報酬がきっちりオプションで支払われるならば、請け負う側も収入が上がる可能性もあります。


✅業務委託契約

労働者の場合は、解雇について制限がありますが、業務委託契約ですので、契約解除が可能です。基本的に損害を与えないよう契約期間等の契約を守ることが求められています。

✅契約期間が短いと社会的安定に悪影響な可能性はあります。
✅契約書にどのように解除規程しているか、確認しておいた方が良い。
✅契約期間満了後の再契約の保証はない⇒雇用が不安定になる可能性も。


余談ですが「社員は、簡単に解雇出来ない」と言われていますが、正当な理由で手続きを踏めば一ヶ月程の時間で辞めて頂くことは可能なケースもあります。

🍀正社員だからと言って完全無敵ではないと私個人は思っています。


不当解雇に問題があるのであって、雇用形態で難易度が変化するのは、そもそも雇用の安定に反すると思うのです。

✅生活が懸かっているのは事実。
✅雇用の使い捨て文化はいかがなものでしょう。
✅自分がもし、そうした立場に立たされたら...明日は我が身です。

社員であろうが個人事業主であろうが、会社に何らかの利益と貢献が無いと、仕事がなくなるのは共通するのですが、昨今の雇用情勢を見る限り日本人らしくないな...と個人的に思うのです。

🍀海外に合わせないといけないのでしょうか。


✅問題な事例

彼が勤務していた会社は、業績不振による方針転換によって社員の個人事業主化を推進したのですが、その実態は、単なる人件費削減だった様子です。

会社が労働者を雇用するには、経費負担があります。(健康保険料の半額、厚生年金保険料の半額は会社負担など)

全ては、報酬次第なのですが、個人事業主となると労働者時代に支給されていた手当などは一切なく、トータルで収入が下がったのです。

✅実質収入が低下⇒同じ時間働いても残業代がない。各種手当がない。
✅休日が大きく減少⇒裁量制度があるが、あってないようなものだった。
✅労災等の適応外。※特別加入の説明なし。
✅休業補償なし。傷病手当金の支給対象外(健保に加入しないため)
✅契約解除が、簡単に行われていた。(再契約のハードルが高い状況)
✅雇用保険の対象外なので、失業時に手当がない。
✅健康保険が国民保険になり(扶養家族分)全額自己負担。
✅国民年金のみ(個人年金等で補う必要あり)

個人事業主なら当たり前のことなのですが、会社員から何も知識がない状況で個人事業主になってしまうのは、リスクが大きいのです。

その会社が行ったのは、個人事業主として契約をするか、社員として遠方に転勤するかの二択。仮に遠方に転勤しても個人事業主になってもらうと言う話だったそうです。


✅個人事業主化をしたいらしく、メリットばかりの説明だった。

安易な判断は、大変な事になります。彼はそこまで考えていなかった様子で実質年収は大幅に下がったそうです😅


✅考えてみると🙄

企業が、社員を個人事業主化するメリットは、なんでしょうか。

社員のメリットを差し引いても、得られる報酬で賄う事が出来るのであれば良いのですが「報酬の高い個人事業主」を企業が選択するには、専門性やスキル等がないと厳しい状況になります。

求められる人材であり、会社に貢献できる人材であるのは大前提としても、それが人件費の削減目的となると、微妙な雰囲気になってくるのです。

✅企業が、契約するのは、自社を優先する個人事業主です。
✅勤務時間にせよ、勤務場所にせよ、企業に都合が良い方が良い。
✅報酬は、抑えたい。
✅社員並みの保護もしたくない。

個人事業主化によって、非正規社員(派遣社員)雇用時に人材派遣業者に支払っていた手数料分だけ企業は削減できる...😅


✅正社員は、解雇が難しいので都合が悪い。
✅非正規社員は、都合が良いが派遣業者に支払う手数料がかかる。

個人的に私は、この非正規社員を「都合よく扱う企業」が大嫌いです❗
人を雇用するという事を何だと思っているのか😅


彼が元在籍していた会社では、一方で実質支配下に置きもう一方で個人事業主として扱うのです。本来の趣旨とは異なり、この辺りも整備が必要な状況です。

それも「契約という手札」をぶら下げてですから、脱法的に都合の良い所だけを企業が取り上げているような気もするのです。

実際にこの脱法的な手段は、問題化しているのです。


✅経営者なのだから

個人事業主は1つの会社の経営者なのですから意識改革が必要です。


個人的に会社員時代は、搾取されて来た経験もあるので、個人事業主化の試みは良いと思っています。ただしやり方次第では、長時間労働の温床になりそうなのです。

業務委託契約ですし個人事業主ですから、前述のように労働基準法上の労働時間の制限を受けないのです。

行う仕事は、所属していた「名目上、元の会社」の仕事をするのですから、完全な個人事業主とは、やや性格が違うのではないでしょうか。


✅急速な変化が、時として社会問題化する可能性も高い

実施するその企業のシステム次第ですが「社員の個人事業主化制度」は、今のところ自由度が、低いと個人的に思っています。


✅ハイブリッド型が出来ないのかな❓

企業にも働く側にも双方にメリットがある方法は、出来ないものでしょうか。

✅「会社員のメリット」×「個人事業主のメリット」のハイブリッド型雇用

社員雇用しつつ残業など労働時間が、制限を受ける範囲については「副業として」個人事業主として業務委託するというものです。

扱い方によっては、これも脱法行為に繋がり易いので法整備こそ必要ですが、社員も企業もメリットが高いのではないか?と素人ながらに思いました。


例えば、タニタのように社員の個人事業主化を導入した背景にあるような状況の場合あえて独立させる必要が、あるのかと思ったのです。

働き方改革が残業の削減や有給休暇の取得だけに焦点を当てられてきたことに違和感を持っていました。もちろん、過労死を招くような長時間労働は絶対に無くすべきです。ですが、全員が1日8時間できっちり仕事を切り上げることが、日本経済にとっていいことなのかという疑問がありました。
 問題は、たくさん働きたい人に対して、きちんと報いる仕組みがないことではないか。例えば仕事を始めたばかりで、早く覚えるためにもたくさん仕事をしたいという若い人がいて、会社もその人を応援したくても、残業規制によって与える仕事を抑制せざるを得ない。

<日経ビジネス記事引用>

いずれにしても「一方だけにメリット」がある働き方は良くありませんが、傾向として日本の働き方は、少ないパイを奪い合っているような気がします。

そんな、おじさんの話でした。


🍀駄文を読んで頂き誠にありがとうございます。 ✅1.ガリガリ君の購入資金に充てます。 ✅2.ボンコツな愛車の維持費の足しにします。 ✅3.神社のお賽銭か盲導犬に募金します。