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マイク・リー監督『秘密と嘘』全編アドリブ!?驚きの人間ドラマ


<作品情報>

1996年・第49回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた、イギリスのマイク・リー監督によるヒューマンドラマ。かつて養子に出した娘が訪ねてきたことをきっかけに、家族をめぐる秘密と嘘が明かされていく様子を、徹底したリハーサルと即興演出でリアルに描き出す。私生児の娘ロクサンヌと2人で暮らす中年女性シンシア。彼女の弟で写真家のモーリスは2人のことが気掛かりで、妻と話し合ってロクサンヌの誕生日に2人を自宅へ招くことに。そんな折、シンシアのもとに、彼女の娘だという女性ホーテンスから電話が掛かってくる。確かにシンシアには、若い頃に出産し顔も見ずに養子に出した子どもがいた。戸惑いながらも、ホーテンスと会う約束をするシンシアだったが……。シンシアをブレンダ・ブレシンが熱演し、ゴールデングローブ賞、カンヌ国際映画祭、英国アカデミー賞で女優賞を受賞。

1996年製作/142分/イギリス
原題:Secrets & Lies
配給:フランス映画社
劇場公開日:1996年12月21日

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆ 

<短評>

上村
舞台出身の監督ということで台本を用いず即興で演出するのが特徴とのことです。確かに即興でしか出せないリアル感がありました。
ただ、あまり好きな作風ではないかもしれません。肝心の話に新鮮味がなくあまり楽しめませんでした。
シンシア役のブレンダ・ブレシンは素晴らしいですが、演技頼りな演出のように思えてあまり好きではなかったです。
パルムドールにしては普通の話だなというのが正直なところです。リアルな作家性は認めますが。
ただ、最後の「秘密と嘘、誰もが痛みを抱えてる」というセリフは印象的だったかなぁ。

吉原
脚本なし、全編アドリブで作られた物語ということを鑑賞後に知り、あまりの違和感のなさには驚きました。出演者全員の表情は、全く即興には見えず非常にリアル。マイク・リー監督は舞台出身の監督らしいが、その経験が十分に活かされているのだと思いました。
ただ、2時間半弱の尺を使うほどの内容か?とも思ってしまいました。母と娘の再会までが1時間以上だったので、物語の核心に迫るまでが少し長すぎる気がしました。まぁ、前半よりも後半が印象的な作品なので、「終わりよければ全てよし」という考えならいいのかもしれませんが…
誰にでも秘密があり、痛みを少しでも和らげるために嘘をつく。誰か、特に家族に言えない秘密がある方には響くものがあるのではないでしょうか。
マイク・リー監督がのちに制作した「ヴェラ・ドレイク」でも同じようなテーマが扱われています。是非、本作と合わせて鑑賞してみて欲しいです。

<おわりに>

 全編にわたって即興で構成されているという変わった作品です。彼らが抱く「秘密と嘘」とは何でしょうか?考えさせられます。

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