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57歳パパが、8家族が集う「子育てコミュニティ」に力を注いだ理由

この春、6歳になった息子は保育園を卒業し、都内のオルタナティブスクールへの入学が決まりました。

私が父親になったのは、55歳のとき。

自分自身が成長から成熟へと向かう時期だなと思っていたタイミングで子どもを授かり、まだまだ成長の途中だなと感じる日々です。

これまでで特にエネルギーを注いできたのは、家族が集い子育ての助けとなる地域コミュニティをつくること。子どもたちが保育園を卒業したタイミングである今、4年間かけて育ててきたコミュニティは解散し、それぞれがまた新しい道へと進み始めました。

最後のお別れ会では「このつながりを一生の財産にしたい」と言ってくださった方も。私自身も家族同士の絆を感じ、改めて地域で育て合う価値を実感しました。

このnoteでは、私がなぜ子育てのコミュニティをつくろうと思ったのか、その理由とともに、具体的に何をしてきたのかを振り返っていきたいと思います。


月2回のリトミック教室。自主企画でキャンプ、スキー、潮干狩りも

子育てのコミュニティをつくろうと決意したのは、息子が2歳になった年。まずは、自宅マンションの共同スペースであるキッズルームを使って、何家族かの小さな集まりから始めることにしました。2019年12月のことです。

その後、参加家族が増えたり減ったりしながら、最終的には8家族で月2回、日曜日の午前中に30分間のリトミック教室を続けていくことになりました。リトミックとは、楽しく音楽に触れながら体を動かし、子どもの感性や表現力を育てていく教育法です。

2020年春には感染症の流行で一時的に中止したものの、同年10月からは再開。その後の3年半で、計75回リトミック教室を開講することができました。リトミック教室を中心に置きつつも、レッスンを終えてからの時間は、「アフターリトミック」という位置付けでパパやママたちが工作教室やクリスマス会を開催してくれました。

また、リトミック教室とは離れて、「スピンアウトイベント」としてメンバーの方の企画で収穫体験やキャンプ、スキー旅行、潮干狩りなどもやりました。全家族が集まると30人くらいになるのでなかなか運営は大変です。時に旅行会社のイベント実務担当になった気分も(笑)ですが、子どもたちにとってもパパやママにとっても、いろんな家族との交流があることは良い刺激になったのではないかなと思います。

そうなったのも、「家族育児に加えて、地域コミュニティでの相互育児で支え合いたい」という私の思いに反応し、じわじわと関わりを深めてくれた皆んなのおかげです。

親ができるのは、子どもが育つ「環境づくり」

地域でいろんな人が関わり合うコミュニティがあることの価値は、私自身の幼少期の体験から感じていました。

実家は商売をやっていたので、家には住み込みで働く人がいつも6人くらいいました。まるで合宿場です。家に帰ると知らないおじちゃんがいることもよくあって、近所にはお節介なおじちゃんやおばちゃんがいた。祖父母や従兄弟も近くに住んでいました。まさに、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』のような雰囲気です。

生活の中にたくさんの人が関わり合うことで面倒なこともあったけれど、自然と他人との距離感や近づき方を覚えていきました。

そんな経験があるので、子育てにおける親の仕事は「環境づくり」だと思っていました。親だけで子どもを育てようとするのではなく、いろんな人が関わり合う環境の中で子どもが育っていくといいなと思ったんです。

さらに言うと、我が家は核家族で子どもは一人っ子。息子は基本的に日中は保育園へ行き、帰宅してから関わるのは私と妻の2人だけです。関わる人の数があまりにも少ないことが気になっていました。

2歳になった息子を見ると、「少し知っている」くらいでは大人と絶対に目を合わせない。普段からいろんな人がいる環境にいないので仕方がないなと思いつつ、このままではまずいなという気持ちもありました。

また、親である私と妻も、2人だけで子育てをしていくことで煮詰まった感を持つこともありました。段々と余裕がなくなり、夫婦で言い合いをしたりも。息子にとっても私たち夫婦にとっても、コミュニティがあることはきっとプラスになる。そう思って、コミュニティづくりに向けて動き始めました。

なぜリトミック教室?何をするかより、誰にお願いするか

コミュニティづくりを思いついたとき、目指そうと決めていたのは「自走するコミュニティにしたい」ということ。子どもを中心にして、パパやママたちも一緒に育っていく場になっていくといいなと思っていました。

具体的に何をしてどれくらい活動してくのかは、走りながら決めていくような感覚でした。ただ「子育てのコミュニティ」というだけだと、あまりにも枠が大きすぎる。何か中心となるテーマが必要だと思っていました。

そんな中で出会ったのが、リトミックを専門として教えている愛子先生でした。

愛子先生は、子どものことをよく観察してくださり、それぞれの個性を理解して関わってくださいました。子どもを管理するでもなく、放任するでもない。愛子先生との関わりを重ねていく中で、「この先生に子どもたちを見てもらいたい」と思うようになりました。

なので、最初からリトミック教室をやろうと決めていたわけではなく、お願いしたいと思った先生の専門がたまたまリトミックだったというわけです。
仲間を集めるときに大切にしていたこと

リトミック教室を始めた経緯からもわかるように、教室のねらいは何かのスキルを身につけることではなく、ともに子育てをしていく仲間をつくること。その思いに共感してくれる家族に入ってもらうことは重要だと思っていたので、声かけは慎重にやっていきました。

保育園の送り迎えのときにはあいさつやちょっとしたやり取りをすることがあるので、そのときに、「コミュニティとともに育つことに関心がありそうか?」「しっかりと我が子に向き合いつつ、他の子にも目が向いているか?」というアンテナを立てていました。そういう親であれば、きっと子ども同士もいい影響を与え合うだろうなと想定していました。

ただ、最初は「コミュニティをつくろう!」という言い方はしていませんでした。どちらかと言うと「月に何回か集まることで楽しく子育てができるといいよね」という感じ。

平日は保育園に行くとしても、土日はお休みです。週末の過ごし方には、毎週のように頭を悩ませていました。そんな状況はどの家庭でも起こっているのではないかなと。なので、月2回リトミック教室で会う機会をつくって、それをベースにいろんな家族でイベントを企画していけると、子育てコミュニティとして続いていくんじゃないかなと思っていました。

メンバーに入ってくださった方が最初からコミュニティの価値を強く感じていたかはわかりませんが、徐々にその価値を感じてくださっていたのではないかなと思います。

最後に

自分でコミュニティをつくり、それを運営し続けることは決して簡単なことではありません。メンバーの希望に沿えず複数名が同時に辞め、愛子先生への謝礼に困ったこともありました。悩みは尽きませんでしたが、4年間のコミュニティ運営を終えた今感じるのは、「コミュニティをつくり、汗を流すと、子育ては“逆に”楽になる」ということ。

コミュニティを運営していくことの大変さ以上に、得るものは多くありました。息子が多くの人と関わりさまざまな体験ができたことはもちろん、親である私自身が視野を広げながら子どもの成長に関わっていけたと思っています。

そして、コミュニティを解散してからも、また集まりたいと思える多くの家族とのつながりができました。

親だけで頑張ろうとするのではなく、近くにいる仲間の力を借りることで、子育ての楽しみはぐっと広がります。今まさに子育て中の方、ぜひ周りを見渡してみてください。きっと、ともに子育てをしていきたいと願っている仲間がいるはずです。

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