孤島パズル ネタバレ・感想
こんにちは、zawatoです。
いや~、低気圧に弱い人間なので、最近ずっと暑いし変な天気で体調をずっと崩してばっかです。おかげでなかなか本も読み進められず、薬を飲んでおとなしく寝る怠惰な生活が続いています。早く夏終わらないかな~。
と、まあ最近の天気の愚痴はこのくらいにして読んだ本の感想を書いていきたいと思います。
*感想だけでなくあらすじや内容、犯人などにも踏み込んでいるのでネタバレ注意です。
はじめに
今回読んだ本は、有栖川有栖さんの「孤島パズル」
発行元は創元推理文庫です。
有栖川有栖さんの代表作「学生アリス」シリーズの2作目です。
1作目の「月光ゲーム Yの悲劇'88」は読破済みで感想の方もnoteにあるので気になった方はご覧ください。
前作の「月光ゲーム Yの悲劇'88」は火山の噴火によるクローズド・サークル物でした。火山の噴火という命に関わる非常事態なので(殺人事件もだいぶ命に関わってるよ)登場人物の性格の掘り起しやバックボーンの描写も控えめな感じだったので、
今作の「孤島パズル」は江神、アリス、そして新キャラの英都大学推理小説研究会の紅一点、有馬麻理亜(マリア)がどんな人物なのかもうちょっと詳しくわかればいいな~と思って読み進めました。
今作、織田と望月今回不参加なの悲しい~。
織田はお姉さんの結婚式、望月は自動車学校のため島に行けません。
では、あらすじ、内容、感想について述べていきたいと思います。
あらすじ
感想(ネタバレ注意)
〇 主要人物、江神、アリス、マリアについて
● 江神二郎
しれっとまた留年してる長老。エンドレスエイトか。
殺人事件が起きても動揺しないし冷静にタバコふかしてる名探偵。
気になった所は質問するくらいであんまりズカズカ捜査しないタイプで、後輩のアリスたちにも憶測で推理は語っても犯人を語らないので好感度高いですね。ちゃんと犯人を名指しできる事実ができてから追及する探偵、人間ができてる。あと結構冷めてる印象。
● 有栖川有栖
名前が面白い人その1。
誰かさんと違ってちゃんと進級して2回生になってる。
前作ではもっと落ち着いてるキャラクターなのかなと感じましたが今作結構子供っぽいところもありました、まだ大学2年だもんね。
結構いいところに気が付くけど惜しい、もう一声!という推理力レベル
● 有馬麻里亜
名前が面白い人その2。
アリスと同学部同級生の女の子。赤毛のセミロング、可愛い。
「少年探偵団」と「赤毛のアン」が好きと作中で明記されてるんですが、性格もアンみたいに活発で行動的な女の子でした。今回の事件どう乗り越えるんだろう、頑張ってほしい。
〇 個人的に良かった所・驚いた所
● 研究会メンバーの絡みが良かった。
兄と弟と妹みたいな会話してて面白かったです。
行きの船とか島探索、海水浴でのやり取りも文章を見ていて楽しかったですし、事件の捜査の時は3人でそれぞれの意見とか出し合ってディスカッションしてて飽きずに読めました。
もともとの性格や価値観からくる意見の違いもあると思いますが、この研究会みんな小説読むのでキャラクターが引用する作品によって、そのキャラの思考も見えてくるので面白いですね。
アリスとマリアがボートひっくり返すシーン可愛いですよね。
まあ、そのせいでアリスの部屋にハブ入れられるんですけど…。
● 第1の殺人の隠されたに驚愕した。
牧原完吾と娘の須磨子の死は須磨子は英人の復讐として殺され、須磨子と完吾が一緒にいると知らなかった犯人によって完吾は殺されてしまったんだろうと思っていました、実際その解答が正解でした。
が、問題はその後です。
須磨子の父の完吾は資産家で、須磨子の夫の純二はお金が必要でした。
それを知っている須磨子は父の体の上に自分を被せて先に完吾が死亡したという事実を作り、財産を夫に相続させるためにあのような状況を作ったと知り、正直犯人判明時よりも驚きました。
〇 個人的にう~んとなった所
● 家庭環境複雑すぎる
養女、義兄、異母弟など家庭環境複雑すぎて最初の方は内容と登場人物名の所を反復横跳びして読んでいました。作中の登場人物はお互い見知った親しい人間同士なので基本的に名字じゃなくて名前呼びなんですよね。それがさらに拍車をかけてました。
「読者への挑戦」
英人の復讐という理由で英人の婚約者だった礼子か、スナックの経営がうまくいっておらずお金が欲しかった、また妻の須磨子と画家の平川が浮気紛いなことをしていた恨みの線で純二の2人を犯人候補として考えていました。
が、読者への挑戦の最初の1文
という文と
次々明らかになっていく事実から犯人は有馬礼子だなと確信しました。
作中に登場した他者の作品
「孤島パズル」でも結構出てきました。推理小説研究会所属だから江神もアリスもマリアもみんな読書家だからなのかな、それとも有栖川有栖さんの作品全般に共通していることなんでしょうか。
「ナイン・テイラーズ」「種の起源」「少年探偵団」「赤毛のアン」「首のない女」「黄色い部屋の謎」「ルバイヤート」「物自体」「大鴉殺人事件」「モルグ街の殺人」「職業としての政治」「断腸亭日乗」「夜は千の目を持つ」「ブラウン神父の不信」
推理小説だけじゃなくて幅広いジャンルの本が登場してますね。
作者・作品名不明
この世界がそれ自体迷宮であるのに、また迷宮など建てる必要はないのだ。
ボルヘス
われわれの惑星に比べて、より多くの怪奇と躍動に充ちた、無知覚で無情な、地獄のような別の惑星からやって来たものと思えてならない
ベルギーの詩人
優雅な生活が最高の復讐である
美術評論家
上記3つはなんの作品かわかりませんでした。
探偵 江神二郎
文庫本解説を担当している光原百合さんの江神二郎への考察が面白かったです。
解説では、
江神の推理というより犯人の名前を発言するシーンって興奮しているわけでもなく、怒りの感情をみせているのでもなく、同情を感じているわけでもなく、ただ冷静に犯人の名前を述べているだけなんですよね、名簿に書いてある名前をごく普通に呼ぶ感じ。
そこがこの江神というキャラクターの魅力でもあり、怖い部分だとも思います。
全員の前で犯人を追及するのではなく、今作は同室のアリスと江神とそして犯人だけの会話でした。(向こうから訪ねてきたので偶然といえば偶然なんですけど)
そして犯人を言い当てたらそれで終わり、椅子に縛り付けたりするわけでも皆に報告したりするわけでもないんですよね。
まだ2作目ということもあって、まだまだ謎がある人だなと思いました。
総評
前作の「月光ゲーム」は、個人的に面白いけどデビュー作やシリーズ第1作目ということもあって荒いところも結構あるなという印象を持った作品でした。
「月光ゲーム」と比較すると2作目である今作「孤島パズル」は内容に疑問を感じる部分も特になかったので十分に楽しめた作品でした!強いてあげるなら犯人が絞りやすくてわかりやすい所ですかね。
おわりに
学生アリスシリーズ、次は「双頭の悪魔」ですね。今読んでます、めっちゃ分厚いです。700ページ近くあります。マジ?
個人的にマリアが不安ですね…。今作読み進めていて強い女の子だなと思ったんですがそれと同時に打たれ弱い子だとも感じたし、起きた事件が事件なので次作でどうなっているのか心配です。
「双頭の悪魔」あらすじから不穏だったので…。
小耳に挟んだ情報によると次作の「双頭の悪魔」には「作家アリス」シリーズの探偵、火村英生のモチーフになったキャラクターがいるそうなので楽しみですね。
「双頭の悪魔」も分厚いし、その次の「女王国の城」も上下巻あるので適度に休憩を挟みつつ、「学生アリス」シリーズ読破できるように頑張りたいと思います!
有栖川有栖著 孤島パズル ネタバレ・感想だいぶ長文になってしまいました。
ここまで読んでくださった方ありがとうございます。
また次回のnoteもよろしくお願いします。
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