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月光ゲーム Yの悲劇′88 ネタバレ・感想

こんにちは、というよりもうお久しぶりですよね。zawatoです。

前回の自己紹介から次のnoteを投稿するのに時間がかかってしまいました…。
自己紹介のnoteにやりたいこととして読んだ本の感想などを書きたいと記載しましたが、これがなかなか難しくて自分の思ったこと、言いたいこと、頭に浮かんでることを言語化するのにだいぶ苦労していました。小説家やライターの方々ってほんとにすごいんだなって作業中改めて実感しました。

いや、ほんとにずっとヒィヒィ言いながら書くことを考えてタイピングしてました。

とりあえず、なんとか形にはなったので早速読んだ本の感想を書いていきたいと思います!初めてなので駄文でしょうが許してください。これから頑張って成長します!

*感想だけでなくあらすじや内容、犯人などにも踏み込んでいるのでネタバレ注意です。



はじめに

今回読んだ本は、有栖川有栖さんの「月光ゲーム Yの悲劇'88 」です。
発行元は創元推理文庫です。

月光ゲーム Yの悲劇′88 創元推理文庫


有栖川有栖さんといえば自身と同じ名前の"有栖川有栖"が登場する「学生アリス」「作家アリス」シリーズが有名ですよね。

最初にこの設定を見たとき独創的で面白いことする作家さんだな~と思いました。しかも有栖川有栖ってヘンテコだけど覚えやすい名前一度覚えたら一生忘れないですよ。設定を作るのが上手い作家さんですよね。

そしてこの「月光ゲーム Yの悲劇'88 」は学生アリスシリーズの第一作目であり、また有栖川有栖さんのデビュー長編でもある推理小説です。

東京創元社のHPには「江神二郎シリーズ」と記載されていたんですがWikipediaには「学生アリスシリーズ」と記載されていてどちらの呼び方が正式なんでしょうかね。

とりあえずここでは「学生アリス」シリーズとして言及していきたいと思います。

「学生アリス」シリーズとは

1作目なので簡単に「学生アリス」シリーズについて説明したいと思います。(といってもまだ自分もこの月光ゲームしか読んでない新参者なんですけどね…。)

英都大学推理小説研究会部長 江神二郎が探偵 
部員 有栖川有栖が助手として事件を解決していくシリーズです。
わかりやすく言うと部長の江神がホームズ、部員の有栖がワトソンです。

探偵と助手がいる推理小説すごい好きなので前々からずっと気になっていたんですよね…。やっと読みました。

では、あらすじ、内容、感想について述べていきたいと思います。

あらすじ

英都大学推理小説研究会のメンバーたち(部長の江神二郎・望月周平・織田光次郎・有栖川有栖)は、夏休みに合宿でやって来た矢吹山のキャンプ場で、雄林大学・神南学院短期大学のグループと共に楽しい時を過ごしていた。しかし、3日目の朝、神南学院短期大学の山崎小百合が下山すると書き置きを残して姿を消していた。皆が戸惑う中、突如として山が噴火する。噴火が治まったところで下山しようとした一行だが、山崩れにより道が閉ざされて下山が不可能となってしまった。

翌朝、雄林大学の戸田文雄の刺殺体が発見され、地面には「Y」という文字が残されていた。いつ来るか分からない救援隊を、噴火と謎の殺人犯の恐怖におびえながら待ちわびる一行に、翌晩2度目の噴火が襲いかかり、噴火が鎮まると一色尚三の姿が消えていた。さらにその翌晩には北野勉も刺殺体で発見され、今度は筆記体で「y」の文字が残されていた。

いつ終わるとも知れず激しさを増す噴火活動を前に生命の危険に晒された一行は、決死の下山行を決断し、互いに励まし助け合いながら道なき道を進むが、再び起こった噴火に大地が大きく揺れて吊り橋が川へ落ち、ついに万事休してしまう。もはや救助を待つよりない一同を前に、江神は一連の事件の真相を解明しようと推理を試みる……。

月光ゲーム Yの悲劇'88 Wikipediaより引用



感想(ネタバレ注意)

〇個人的に良かった所

●まず面白い、面白くないっていう感想よりも先にすっごい読みやすいなこの小説という感情が大きかったです。
普段短編集しか読まない人間で、340ページの長編小説を最後まで飽きずに読めるか不安だったんですけど、途中で飽きることもなくダレることもなくほぼ1日で最初から最後まで読めたことに驚きました。そのくらい自分にとって読みやすい小説でした。

●英都大学推理研究会(ESC)のメンバー4人がすごい好きになりました。
江神が探偵で有栖が助手である。という事前知識はあったので最初はその2人に着目していたんですが、他の部員である織田と望月もめちゃめちゃいいキャラしていて事件抜きの推理研究会の日常とか大学生活とか見たいなとも思ってしまいました。
江神部長が他大学の人たちに自分らの紹介する時、文化系サークルってごまかしたのにテントに推理小説研究会って書いた織田に笑った。

新入生歓迎の時もバスでのしりとりとかテントでのやりとりとか、有栖入部してまだ3か月くらいなのに仲いいなとか思ってました。今作で誰も死ななくてよかったです。いや、これからも死ぬな、頼む。

みんな頑張ってアルバイトして夏合宿の旅費貯めたのにこんな事件に巻き込まれてかわいそうだなと思いました。やたら具体的に各々のアルバイト事情が書かれていて面白かったです。


〇個人的にう~んとなった所

●登場人物が多い
17人ってだいぶ多くないですか?最初かなり大変でした。有栖のいる大学と女子大はともかく男女混合マンモス校雄林大学は実質2グループから構成されているので誰が誰だかごちゃごちゃになってました。話が進むにつれて登場人物たちの性格などちゃんと深堀されてはいくんですがそれでも17人は多いなと思いました。

●自分だったらダイイングメッセージTって書く。
犯人は武、年野武なんですけど周りから武って呼ばれてて誰も名字の年野と呼んでないんですよね、そこがこの小説のミソなんでしょうけど。だったらTって書いた方がみんなに伝わりやすくて良くないか?と思ってしまいました。

●状況にあんまり感情移入できない
この月光ゲームは火山の噴火によるクローズド・サークル物なんですけど地震や津波、台風などの災害のイメージはつくんですが火山の噴火となると状況の想像が難しかったです。火山弾にあたってケガをしたとかそもそも火山弾あたってそのケガで平気なのかとか火山なら観測所の方が事前に異常とか計測してなかったのかなとか考えてしまいました。私の想像力が乏しいだけかもしれない…。

●小百合関連もうちょっと詳しく書いてほしかった
武が尚三を殺した理由には納得はできたんですけど、文雄とベンの殺害に走ったきっかけが小百合に冷やかしの言葉を言って傷つけたからなんですよね。でも2人が小百合にどんなことを言ったのかまでは具体的に書かれていないのでもうちょっと武の殺人の動機付けや小百合が1人で山を下りた理由にもつながってほしかったなと思いました。

「読者への挑戦」

これ見たとき「逆転裁判」や「ダンガンロンパ」で遊んでた時を思いだしてうわぁ…。ってなりました。逆転裁判もダンロンも主人公がわかったぞ!って顔してるのにプレイヤーの私がアホすぎて毎回間違った証拠品出してサイバンチョやモノクマに怒られてた体力減らしてたので解けるか不安でした。

状況的に小百合関連だろうなと思って武に目星つけてたらほんとに武でした。逆転裁判とダンロンで培った経験が生きましたね。

作中に登場した他者の作品

今江戸川乱歩の明智小五郎事件簿も併読しているんですが、「D坂の殺人事件」の中でも登場人物たちが谷崎潤一郎の「途上」について議論をしていたのが印象に残ってるんですけど、推理小説に限らず他者の作品を例に出したり言及したりすることって割とあるんでしょうか。
月光ゲームを読んでいて、結構他者の作品名が出てくるな~とメモを取りながら思っていました。

「Yの悲劇」「九マイルは遠すぎる」「ルパン対ホームズ」「随筆、黒い手帳」「虚無への供物」「87文署シリーズ」「影の告白」「マリー・ロジェの謎」「オランダ靴の謎」「ラフォルグの詩集」「シャムの双子の謎」「白の恐怖」「そして誰もいなくなった」「異邦人」「眠りと死は兄弟」「ハムレット復讐せよ」

漏れあったらすみません。だいたいこのくらい登場していたと思います。

この中で知っている作品は恥ずかしい話「そして誰もいなくなった」と「異邦人」だけでした。学の無さがバレる。

江神と有栖が出会ったきっかけの本、中井英夫さんの「虚無への供物」は読んでみたいなと思いました。7回も繰り返し読んでる部長やばすぎだろ。

番外 ルミの愛読書
「月の魔力」「異端の肖像」「奇蹟を求めて」

総評

続き買います。というよりもう買いました。「学生アリス」シリーズ現在出版されている全作品。通販で買ったので届くの楽しみですね。

江神二郎が謎すぎる、追及したい

部員3人が楽しくミステリしりとりしてるのに、けだるそうに車窓の景色みてるめんどくさがりタイプかと思ったらキャンプ中の飯盒炊爨で部員がアクシデント起こしまくって雷落とすし、火山が活発化してきたときは率先してみんなに指示したり、事件の証拠が固まってきたら冷静に推理してじわじわ犯人追い詰めたり謎が多い人物すぎて気になる。
なんで理代に恋人いるってわかったんですか、、、。

有栖がこの本の序盤に江神二郎のことを「僕にとってミステリそのもの」って言ってるシーンがあるんですけど、私にとっても江神二郎ミステリそのものだよ!!って月光ゲーム読み終わって思いました。
なにもんですか部長。人生3周くらいしてそう。

以上が月光ゲーム Yの悲劇'88のネタバレ・感想です。
多少内容にう~んとなるところはありましたが面白かったです。
主人公の有栖、探偵役の江神含む推理研究会の絡みが面白く、また文体もスラスラ読みやすくて長編小説が苦手な私でも全然楽に読めました。


おわりに

学生アリスシリーズ、次は「孤島パズル」ですね。楽しみです!

今いっぱい積読やら併読やら積みゲーやらがたくさんあるのでいつ読めるかわかりませんが、なるべく早く読みたいと思っています。
「作家アリス」シリーズも気になりますね~

有栖川有栖著 月光ゲーム Yの悲劇'88 ネタバレ・感想だいぶ長文になってしまいました。
ここまで読んでくださった方ありがとうございます。

また次回のnoteもよろしくお願いします。








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