【雑文御免】と【うっかり失敬】を読んで
夜と夜中の間があればいいのに
その隙間でそっと眠るから
浅生 鴨(あそう・かも)
作家、企画者。
1971年、神戸市生まれ。
たいていのことは苦手。
著書『アグニオン』(新潮社)、
『猫たちの色メガネ』(角川書店)、
『伴走者』(講談社)、
『どこでもない場所』(左右社)他
雑文御免の作者紹介より
今日は、私が大好きな浅生鴨さんのエッセイを主に纏めた【雑文御免】と【うっかり失敬】という2冊の本を紹介していきたいと思います。
【雑文御免】と【うっかり失敬】の本を知っている人は、どれ位いるのでしょうか。
たぶんほとんどの人が知らない本だと思う。
この2冊【雑文御免】と【うっかり失敬】は同人誌です。
このnoteをみて興味を持ってくださった人は
をチェックしたりして本を購入してみてくださいね。
そもそも初版は500冊。次に1500冊を発行して、現在増刷を発注中の本なので部数は少ない本です。
このような発行部数が限られている同人誌の良い所の1つとしては以下のような特徴を私は、感じます。
私が以前書いた本のレビュー
『異人と同人』文字として広がる文芸ライブを体験してみて
にも書いたのですが、同人誌は閉ざれた場所で行われている『ライブ感』の感覚が私にはあります。
『異人と同人』がオールスターの作者による豪華な文芸ライブだとすると
【雑文御免】と【うっかり失敬】は、浅生鴨さんの大長編の前編後編がある2部構成のソロライブ。単独ライブ、もう最高です。重要なので2回言いました。
しかも【雑文御免】と【うっかり失敬】はどんな本かといえば、書店で売っているエッセイ本『どこでもない場所』にページの関係で収録できなかったエッセイが沢山掲載されています。
この事実だけで超ワクワクして欲しい。
最初に書きました『大好きな浅生鴨さん』
このnoteをね、読んでくださっている人には是非ともイメージして欲しい、『大好きなミュージシャン』『大好きな芸人さん』『大好きなアイドル』いますよね?
その人がメジャーに発表していない音楽や芸を閉鎖された空間で紹介してくれるんです。
「これはメジャーに発表できなかったものなんだけどね」とか言って。
ファンなら超テンション上がっちゃうでしょ!!!
そもそも、私の悪い癖でどんな事でもとにかく探求してドンドン深堀りしてしまう。
何故、この作品は作られたのだろうか。
どんな想いでこの作品は発表されたのか。
この作品にはどんな意味があるんだろうか。
ファンになった人の作品はドンドン確認して探してみたくなりませんか?私はなります。
もともとに私はエッセイ本という物が大好きで伊集院光さんの『のはなし』が凄く好きなんだけどエッセイの1つ1つには、ほとんど意味は無くて好きな人がどんな感覚で物を考えて感じているのかを知るのが好きなのです。
【雑文御免】と【うっかり失敬】は2冊合わせて700ページ以上もある大ボリューム。
もうね、メチャクチャ面白い。私は大好きです。この本。
これだけ私は、浅生鴨さんが好きと熱弁しておいて、『どこでもない場所』をまだ読んでいないです。エセファンにもほどがありますね。浅生鴨さんのファンの人、怒らないでください正直に言いました。
【雑文御免】と【うっかり失敬】を紹介するとすれば楽しい本、面白い本なのですが浅生鴨さんの全てが詰め込まれているので震災の事もあります。東日本大震災だけでなく神戸の震災もです。
好きになるというのは、私は全て受け入れるという状態なんじゃないかなと思います。
浅生鴨さんが書く文体は何故にこんなにも面白いのか。
何を大切にしていて、何を考えて書いているのか。
そこには楽しい、面白いだけでは無く、人によってはショックを受けるような心の内側を見る場合もあるでしょう。
でも好きという感情は自分にとって都合が良い表面上の物だけではなくて、その人が大切にしている物を全て受け入れての好きなんだと思います。
この【雑文御免】と【うっかり失敬】は、そんな浅生鴨さんの世界をたっぷりとサービス精神旺盛に紹介して楽しませてくれます。
もう、本の最初にある『はじめに』からして凄いんです。いきなり『お詫び』から始まるのです。
世の中の本で『お詫び』から始まる本が、どの位あるのでしょうか。
この本を見てはじめに感じたのは、浅生鴨さんの今までに発表してきた作品で本に残っていない詰め合わせ(私はこれが見たかった!)の文芸ライブを今か今かと劇場でワクワクして待っている訳です。
それで単独ライブが、スタートしようとして前説で浅生鴨さんがスポットライトに照らされて神妙な顔で客席におっしゃる訳です。
「ネタを詰め込みすぎました。大長編です。ごめんなさい。前編後編の2冊になってどちらも350ページ以上あります。」と。
もうファンからしたらメチャクチャ嬉しい話じゃないですか。
編集していくらでも切れるものを余す事無く見せてくださる訳ですよ。
これが見たかった!
何時間でもライブ見ますよの精神なんです。
先ほど書いたようにファンだから、浅生鴨さんの書いたものがとにかく読みたくてnoteとか検索したりして探すのですが、限界がありますよね。
この本には1つ1つが短くてもそんな作品がたっぷりと紹介されています。
【雑文御免】(ライブ前編)は、新刊の『だから僕は、ググらない』に例として書いていたようなアイデアで紹介されていたオマージュが沢山掲載されています。
浅生鴨さんの文体はネタがそもそも面白いから楽しめるのですが、オマージュの元ネタを知っているとより楽しめます。そうくるかみたいな感覚です。
雑文御免の文芸ライブは前編の前半はとにかくネタとして面白いから後半は震災の話に。
この触れ幅が凄い。
震災の話は時系列でまとめていただいているので、考え方の変化も発見できます。
『だから僕は、ググらない』を面白いと思っていただいた人や浅生鴨さんのエッセイが好きな人なら迷わずに買いだと思いますよ。
【うっかり失敬】(ライブ後編)
ライブ後編の幕開けです。
雑文御免での後半で紹介していた震災の話は一部続きますが、本来の雑文、面白いネタが沢山紹介されています。特筆したいのは【うっかり失敬】には、浅生鴨さんがTwitterの投稿内容を一定時間で自動的に削除するようにしているようなのですが、過去にTwitterで投稿した内容が非常に沢山ページの空き枠にビッシリと紹介されています。
思わずクスクスと笑ってしまうものが多いです。
たっぷりと浅生鴨さんの世界を楽しむ事ができます。
まさに鴨さんファンの為に作られた同人誌。この本を読む事ができて、とても幸せです。きっとこれからも何回も読み返して楽しむでしょう。
大ボリュームですから。
凄いとしか表現できないネタの数々。
この【雑文御免】と【うっかり失敬】の2冊は、そもそも同人誌なので儲けようと思って作った本じゃないんです。Twitterでも呟いているように本気で赤字だと思います。
でも、赤字だけど何故にまた増刷するかといえば、私みたいなファンがいるからですね。
読みたい人の声が大きくてファンに読んで欲しいなという浅生鴨さんの声だと思います。
こんなに作者がサービスしっぱなしの本は、かなり凄いと思います。
何故に作るかのもう1つの理由ですが、私個人の推測ですが自分の浅生鴨さんの影響を受けた新たなクリエイターに出てきて欲しいなという願いなんじゃないかなと私は思っています。
本当に読みたい人へこの本が届きますように
増刷して生産中なので書店の人は
をチェックしてお問い合わせください。書店に置いた方が良い本です。
最後に【うっかり失敬】(ライブ後編)の最後のページの1文が私には印象的だったので紹介します。
彼のいた世界。彼のいない世界。
そうやって少しずつ変わっていくんだ。
この先もきっと。
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